勤務医は何度も破産の危機に見舞われる!?―後編―医師への選択、医師の選択【第28回】

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著者:野末睦(あい太田クリニック院長)

 
2度目の破産の危機は、大学生の子どもを抱えている時期に訪れました。この時期に、子どもの教育や養育にかかる費用が極大化したのです。

わたしには5人の子どもがいて、現時点では3人が結婚、独立し、残り2人のうち1人が公立の大学院、末っ子が大学1年生なので、まだ“極大化シーズン”の真っ最中ですが、毎年の収支を計算すると、必ずマイナスです。5人の子どもがいるという特殊事情のせいかもしれませんが、首都圏に下宿させて、私立大学に進学させると、1人年間300万円はかかります。そして、わたしの場合は2人の大学生を抱えた時期が現時点で12年続いていますので、これだけで4000万円ほどの出費です。そこに子どもの結婚、出産なども重なってきますので、よく破産せずに堪えているなあというのが実感です。もしも子どものうちの誰かが、私立の医学部へ進学をしていたらと考えると、ぞくっとします。

ただ正直に申しあげると、この養育費だけで苦しいわけではありません。住んでいる家の住宅ローン、単身赴任地で購入したマンションのローンなどがあり、それらが加わっているのでまさに破産の危機となっているのです。

長期的な収支シミュレーションを

ですから、お子さんが大学を卒業するときまでの金銭的なシミュレーションをしておくことが、とても大事だと思います。最近では生命保険会社所属のファイナンシャルプランナーが、そのような予測をしてくれます。ぜひ、活用されたらいいと思います。わたしも、教授選が始まるときに、ある生命保険会社の方に予測してもらいました。その時の結果は、もしわたしが教授になって、そのまま筑波大学にとどまるとしたら、定年までになんと2億円足りないという試算でした。その時は教授選前でもあり、その結果を受け入れられませんでしたが、今振り返ってみると、まさにその通りだったなあと感じます。教授選に敗れ、その後は民間病院の院長になったわけですが、それにより、何とか破産せずに済んだという感じです。幸い、わたしには現時点で起こっていませんが、もしも離婚をした場合には、心理的にも経済的にも大変な負担でしょう。また両親の病気、介護などでも大きな負担がのしかかる可能性があります。当たり前ですが、「借金はするな。貯金をせよ」ということが最も大事であると実感している、今日この頃です。

「勤務医が経済的な側面で気を付けるべきことは何でしょうか?」への私的結論

勤務医はサラリーマンであることを自覚して、借金をせずに貯金をしていくという現実的な対応が大事。破産の危機は、海外留学直後と子どもの大学卒業時にやってくる可能性が大きい。

≫次回に続きます≪

野末睦(のずえ・むつみ)

初期研修医が優先すべきこと2―医師への選択、医師の選択(野末睦)筑波大学医学専門学群卒。外科、創傷ケア、総合診療などの分野で臨床医として活動。約12年間にわたって庄内余目病院院長を務め、2014年10月からあい太田クリニック(群馬県太田市)院長。
著書に『外反母趾や胼胝、水虫を軽く見てはいませんか!』(オフィス蔵)『こんなふうに臨床研修病院を選んでみよう!楽しく、豊かな、キャリアを見据えて』(Kindle版)『院長のファーストステップ』(同)など。

 

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