生き残りをかけたSNS~選ばれるためのSNS運用とは―病院マーケティング新時代(15)

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本連載について
人口減少や医療費抑制政策により、病院は統廃合の時代を迎えています。生き残りをかけた病院経営において、マーケティングはますます重要なものに。本連載では、病院マーケティングサミットJAPANの中核メンバー陣がオムニバス形式で、集患・採用・地域連携に活用できるマーケティングや広報について解説します。

SNS活用で、ブランディング&インナーブランディング!

著者:小山晃英(こやま・てるひで)/病院マーケティングサミットJAPAN Academic Director
京都府立医科大学 地域保健医療疫学
京都府立医科大学附属脳・血管系老化研究センター 社会医学・人文科学部門

組織のブランディングは、生き残る上でとても大切な要素です。病院がブランド化されていると、どんなメリットがあるのでしょうか。

①地域住民から信頼がある=集患に繋がる
②その病院で働いてみたいと思わせる=求人に繋がる
③病院で働く人が誇りをもって働ける=離職率の低下に繋がる

考えられることを挙げてみると、メリットしかありません。

ブランディングにおけるSNSの効果

それでは、ブランディングのためには何が必要でしょうか。それは、①受け入れられる、②愛される、③ファンを作る―ことです。そして今回のテーマであるSNSが、ブランディングに利用できます。

SNS(Social Networking Service=ソーシャル・ネットワーキング・サービス)は、まさに字の如く、コミュニティーで使用されるものです。もちろんSNSでの情報発信は、SNSを利用している人にしか届きません。一方、利用している人は、本人が検索などしなくてもコミュニティー内の人や病院が情報を発信さえすれば、その情報には暴露されるわけです。つまり、SNS利用者はその病院を受け入れてくれやすい人たちだと言えます。

なぜそんなことが言えるかというと、心理学に単純接触効果(ザイアンス効果)という概念があります。何度も見たり、聞いたりすると(接触回数の増加)、次第によい感情が起こるようになってくる、という効果です。病院SNS閲覧者が病院の情報に何度か触れて、その病院を受け入れ、さらに暴露が続けば、ファンになる可能性も広がります。
また、職員の中でSNSを利用している人もいるはずです。自院のことを話したくなる「何か」を仕掛ければ、職員を巻き込んだSNS活用法に繋がるかもしれません。
「広報」は、「後方」の存在ではありません。SNS活用は、組織を先導する、まさに攻めの広報の手段となり得るでしょう。

狙いを持って運用を。そして投稿の質向上を。

著者:松本卓/病院マーケティングサミットJAPAN Executive Director
小倉記念病院 経営企画部 企画広報課

小倉記念病院ではLINE、Facebook、InstagramのSNSを運用しています。
それぞれの狙いや運用方法について、病院広報実務担当者として感じていることや、気をつけていることをみなさんと共有できればと思います。

LINE「集患要素NO.1。爆発的なスタートダッシュ」

結論からお伝えすると、集患のためにSNSを利用するのであれば、LINE@(以下、LINE)が一番のオススメです
まずLINEの導入に至るまでの経緯をお伝えしますと、当院では市民公開講座(年12回)・出張講座(年40回)でコミュニケーションをとった生活者を合わせると7,000名近くになります。
またアンケート調査で、参加者の94%が家族・友人に講座の内容を伝えていることがわかりました。

当院の市民講座に対するスタンスは当初、「講座参加者がこの先、病気で困ったことがあれば当院を利用してもらいたい」というものでした。しかし、その考え方自体がもう古く、講座はインフルエンサーマーケティングとして捉え直したほうがいいと感じるようになりました。
この講座参加者が継続的に当院の発信者になってくれる、つまりは講座参加者のメディア化が重要だと考えると、参加してもらった講座の内容だけでは情報量が乏しい。継続的に情報を手元に届ける方法はないかと考えた結果が「LINE」でした。

もちろん、当院に受診していただいている患者さんはすでにファンですから、外来患者さんにも「LINE」を登録してもらう取り組みもしています。
では、どうやって登録してもらうのか。資料1のような「小倉記念病院 公式LINE始めました」という伝え方では、「ふ〜ん」で終わってしまいます。当院では資料2のデザインで統一し、講座でのチラシ配布・正面玄関へのチラシ設置・各外来に設置されている患者呼び出しサイネージでの表示で、フォロワー(友だち)を増やしています。

小倉記念病院の@LINE

開始から約1年で、フォロワー数は2,925名になりました。5年間やっているFacebookのフォロワー数を一瞬で抜きました。やはりLINEは患者層でも利用率が高いですし、地元の生活者をターゲットにできる施策です(資料3)。

小倉記念病院の@LINE利用者層

資料3(クリックで拡大します)

LINEの運用で大切にしているのは「ブロック者数を増やさない」ことです。
せっかく登録してもらったのにブロック者数が増えてしまっては意味がありません。LINEの発表によると、ブロック者の割合が10~30%はよくあることです。つまり25%程度までが許容範囲のようです。当院は現在、ブロック率が11.5%です。
ブロック率がこれだけ低い理由は、投稿内容です。当院では医師が最新治療や気になる症状を解説するなど、基本的には医師の動画を配信しています。

LINEの基本的な運用として、以下が大切です。
(1)投稿は週1回程度
(2)フォロワーがベネフィットを感じられない投稿はしない
(3)投稿回数が少なくなっても(2)は守る。つまり無駄打ちしないこと。

利用料金は毎月5,500円ですから、このくらいのマーケティング予算はどの病院でも可能でしょう。あとはマーケ専従の担当者がいるとレスポンスよく投稿できるのですが…ここは経営者の判断ですね。

Facebook「HPのブログ的役割・ファン通信・求人者へ病院の雰囲気を伝える」

オープンから6年程度経ちますが、フォロワー数は880名。昔は1投稿で5,000程度のリーチ(※)、100いいね!つけば1万人までリーチしていた時期もありましたが、現在のアベレージは700程度です。これは、投稿表示のアルゴリズム(仕組み)をFacebookが変えてしまったためです。

昔は広告的役割も果たしてくれるから最高のツールだなと感じていましたが、リーチ数の問題はどうしようもないと思っています。Facebookのアルゴリズムをコントロールすることはできないので。もしかすると、これまで以上にうまく運用している組織もあるかもしれませんが、当院ではこれが現状です。

ただ、意味のないツールになっているわけではありません。当院のFacebookに対するスタンスとして、「ホームページのブログ的役割・ファン通信・求人者へ病院の雰囲気を伝える」ことを目的としています。また、インナーリレーションの役割もあるなと感じています。職員がいいね!する数は多いので。
投稿内容はイベントの開催報告や、LINEの投稿をそのままFacebookにも投稿しています。

※リーチ数:投稿の表示対象者数。投稿はいいね!を付けた人などの友達にも表示される

Instagram「ビジュアルコミュニケーションの促進」

オープンから3年でフォロワー数は935名。Instagramに関しては完全にホームページの付属品扱いです。Instagram内でバズらせようとかは全く思っていません
ホームページユーザーが見てくれる程度でいいと考えています。

投稿内容は医療従事者の働いている姿や、当院のホームページTOPでご協力いただいている地域の方々を掲載しています。
撮影は私が基本的に行っていますが、飾らないありのままを撮影するようにしています。ピースサインの集合写真など撮ることもありますが、身内のノリは出さないように気をつけています。Instagramは写真でしか判断されませんから、そのまんまの小倉記念病院を表現することが大切です。…インスタ映えを狙うことも正直ありますが…。

最後に

最後に豆知識をひとつ。
SNSなどで自身の病院が何かしらコメントされていないか気になりますよね。知っている方もいらっしゃるとは思いますが、Yahoo!の「リアルタイム」でチェックできます。検索ワードを打ち込む欄に病院名を入力して、その上にある「リアルタイム」をクリックすると、SNSから検索ワードを引っ張ってきます。私は毎日これでチェックしています。

SNS全般の運用を行っていて感じるのは、それぞれのSNSで情報を完結させるのがいいなということです。
ホームページへのリンクをSNSで投稿するといった方法もありますが、リンクというワンクッションを挟むことで最終目的地までたどり着くハードルが上がってしまいます。
個人的にもSNSはやっていますが、よほど気になったものしかリンクを押していません。ホームページとSNSで同じ内容だとしても、それぞれその場所で完結させたほうが、ユーザーにとって面倒くさくなくていいですし、やっぱりコミュニケーションは「手間暇」かけてもらったほうが心を動かす確率が上がります。
この「手間暇」をどのようにかけていくかが、広報担当者の役割ではないでしょうか。


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