生涯成長し続けるための読書術とは?―医師への選択、医師の選択【第46回】

著者:野末睦(あい太田クリニック院長)

 
医師として30年目に当たる、「転」の時期。医師は、どのように自己学習をしたらよいでしょうか?わたし自身の経験から、解説します。

医師30年目からの読書術

第一線で活躍する30年目以降の医師にとって、読書ほど成長を促すものはないと思います。本に向き合い、自分自身の思考をめぐらせる。読書の質を高めるためには、著者の言いたいことを読み取りながらも、それを鵜呑みにせず、自分自身の解釈を加えていくことが重要です。

たとえあまり詳しくない分野であったとしても、その分野の本を10冊読めば、自分なりのコンセプトを構築でき、その分野でのある程度のエキスパートになれる。結果、新たな分野に踏み込んでいくことができます。自己啓発、リーダーシップ、時間管理、コーチングなど、自分自身の成長を加速するものから、医療政策、福祉の仕組みなど、医療分野の中で視野を広めることも必要でしょう。

このほか、ひとりの著者の著作をすべて読んでみるというのも、とても面白い変化を自分自身にもたらすことができると思います。わたし自身は「齋藤一人」氏と「苫米地英人」氏の著作をほぼ全部読んでいます。その結果、その人の本当に言いたいことが理解でき、それに沿って、自分自身を少し変えていくことができたような気がしています。一冊の本を何度も読み返すのもとてもいいと思いますが、わたしの性分には合わないので、同じ著者の本を何冊も読むことにしています。

最近は動画でいろいろと教えてくれるものも出てきました。わたしも電子書籍の執筆と発行の方法を動画教材で学んでみましたが、とてもうまくいきました。3冊の電子書籍を発刊できたのは、この教材のおかげです。

「起承転、転、転、転…」 単純ではないからこそ、医師の仕事は楽しい

このように「転」の時期の自己学習とは、自分自身との対話を通じて、新しいことにチャレンジしていくものになると思います。医師としての人生が真の意味で豊かになるかどうかは、まさにこの時期の学習にかかってくると思います。

最近わたしも、起承転結の医師人生について、考えを少し変更しました。人生が長くなって、そして医師不足で、そして医師には定年がないので、いつまでも貢献できる。そう考えると、「転」の時期をどんどん続けていった方が楽しいし、役に立つのではないかと。だから、医師の人生は「起承転、転、転…」10年ごとに力尽きるまで、変化と進歩を重ねていきたい。こんなふうに考えるようになりました。楽しいですものね、医師という職業は。

「医師として成長し続けるためには、どんな心構えを持っているべきでしょうか?」への私的結論

医師人生を起承転結でとらえた時に、転の時期の自己学習が最も大事だと思います。そして、長くなった人生を医師として楽しく過ごしていくには、「転」を繰り返していけばいいのでは。

野末睦(のずえ・むつみ)

初期研修医が優先すべきこと2―医師への選択、医師の選択(野末睦)筑波大学医学専門学群卒。外科、創傷ケア、総合診療などの分野で臨床医として活動。約12年間にわたって庄内余目病院院長を務め、2014年10月からあい太田クリニック(群馬県太田市)院長。
著書に『外反母趾や胼胝、水虫を軽く見てはいませんか!』(オフィス蔵)『こんなふうに臨床研修病院を選んでみよう!楽しく、豊かな、キャリアを見据えて』(Kindle版)『院長のファーストステップ』(同)など。

 

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