おわりに―医師への選択、医師の選択【第47回】

著者:野末睦(あい太田クリニック院長)

 
約1年にわたって、わたしの「医師への選択、医師の選択」についての連載にお付き合いいただき、本当にありがとうございました。

この世に生まれてから、現在58歳までのわたしの経験をもとに、医師になるためにはどんな選択をしていくことが役に立つか。医師になってからは、どのようなことに心掛ければ、より医師としての役割を幸せな気持ちで果たしていくことができるかについて、書いてまいりました。

人それぞれの人生ですから、生まれ出た時の環境も違うでしょうし、得意なこと、不得意なことも違うでしょう。ですから、わたし個人の体験をたどっていただいても、皆さんが人生を生き抜いていくうえで、そのまま役に立つとは思えません。願わくは、それぞれの項目に書いた「選択」の根底に流れる心の持ち方に思いを馳せていただいて、皆さん一人一人の選択の際に役立てていただければ、それに勝る喜びはありません。

わたし自身も、この連載を書き続ける過程で、自分自身の来し方を振り返り、感慨無量です。楽しかったこと、つらかったこと、懐かしい人々の顔、そして、多くの方々に本当にお世話になったこと。本当に多くのこと、多くの人々が胸に去来しました。わたしにかかわってくださった皆さん、全員に、心からの感謝を表したいと思います。ありがとうございました。

わたしはとても恵まれていたと思います。そして、書き続けるうちに、もしかしたら、これを読んでいただいている皆さんも、とても恵まれているのではと感じるようになりました。それは、皆さんもいろいろなことを選択する自由を持っているからだと思うようになったからです。わたし自身がいろいろな場面で、一生懸命考え、一番いいなと思うことを選択してきました。それがわたし自身の心からの幸せに結びつきました。皆さんも、ご自身で「選択」できます。一生、選択できます。これほど幸せなことはないのではないでしょうか。

わたしは、訪問診療を中心としたクリニックを2014年秋に開きました。まさにわたし自身にとっての重要な選択でした。現在はその運営に多くの情熱を傾けています。起承転転と来たところです。どんな未来を選択していきましょうか。楽しいですね。またいつか、皆さんとお話しできる日が来ることを願って、筆をおきます。ありがとうございました。

野末睦(のずえ・むつみ)

初期研修医が優先すべきこと1―医師への選択、医師の選択(野末睦)筑波大学医学専門学群卒。外科、創傷ケア、総合診療などの分野で臨床医として活動。約12年間にわたって庄内余目病院院長を務め、2014年10月からあい太田クリニック(群馬県太田市)院長。
著書に『外反母趾や胼胝、水虫を軽く見てはいませんか!』(オフィス蔵)『こんなふうに臨床研修病院を選んでみよう!楽しく、豊かな、キャリアを見据えて』(Kindle版)『院長のファーストステップ』(同)など。

 

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