医師採用を成功させる事務長、4つの条件
-医師採用を成功させられる事務長には、どんな資質が必要だと思いますか。
武久代表
医師採用に限ったことではありませんが、事務長には大きく、「現場感覚をもつ」「すぐ動く」「医師に臆さない」「人に任せる」の4つの資質が求められると考えています。
医師採用を成功させる事務長の条件(1)「現場感覚をもつ」
-4つの資質について、詳しく教えてください。
武久代表
まず、事務長に大事なのは、「現場感覚」です。その考えの下、各病院の事務長やグループ本体の幹部職はほとんど現場スタッフから登用しており、9割が国家資格取得者です。
岡事業部長
スタッフを確保するための“解決策”は現場にあると考えています。医師採用であれば、現場の医師がどんなことに満足していて、どんなことに不満なのかが分かれば、勤務先としての病院の魅力や、改善すべき課題が見えてきます。
わたしの場合、理学療法士だったときから今まで、たとえば現場で人手が足りないとなったら、皿洗いや掃除、入浴介助など何でも手伝ってきました。やったことがないのは、法的に認められていないことで、診療行為くらいです。現場に入り込み、周囲の医師や職員と一緒になって仕事をすることで、現場から見える病院の実情を肌で感じることができます。
医師採用を成功させる事務長の条件(2)「すぐ動く」
岡事業部長
次に、事務長に求められる資質として、「すぐ動くこと」は外せません。医師採用は売り手市場ですから、応募者や紹介会社からの問い合わせなどには素早く対応しないと、医師の興味が他の医療機関に移ってしまいます。
わたしはメールや電話で問い合わせがきたら、迅速に回答を示すように心がけています。そのために、採用の最終決定権を握るグループ本部役員とは、日頃から病院の方向性や求める医師像を共有していて、外部からの問い合わせへの初期対応にはわたしが素早く回答できています。
ただ、その中にはわたしの権限では即答できないものも時折あり、最終決定者である本部役員に確認を取っています。そのようなケースでも、問い合わせのあった日のうちには回答できるように心がけています。
医師採用を成功させる事務長の条件(3)「医師に臆さない」
武久代表
それから、「医師に臆さないこと」も必要です。
当グループでは、医師資格さえあればとりあえず誰でも採用するということはしていません。「この手技はできますか?」「こういう患者の対応はしていただけますか」など、多少切り出しにくいことがあっても、面接では臆さずに聞く。面接に来るすべての医師が、当院の求める医師像に合致するわけではありません。面接時の確認不足によってミスマッチが起こることは、医師・病院の双方にとってマイナスですから、臆さずに気になるところをチェックすることは大切です。
岡事業部長
「医師に臆さない」という姿勢は、医師が入職した後も重要だと思っています。組織を一つの方向に向かってまとめていくためには、間違った方向に向かったとき、率直に苦言を呈する存在が必要ではないでしょうか。もしも、患者目線だと言えないような診療を医師がしていたら、内容や程度によっては事務長が医師をただす役割を担うことになります。
ただ、そうは言っても医師に対して及び腰になってしまう事務長もいると思います。わたしも、事務長になった当初は医師に何かをお願いするのに、心苦しさを覚えていました。ただ、だからこそ、医師と日頃からなるべくコミュニケーションを取って、苦言があるときは率直に伝えるように気を付けています。
医師採用を成功させる事務長の条件(4)「人に任せる」
岡事業部長
事務長業務は幅広いですから、採用以外の仕事をいかに効率よく進め、採用業務に割く時間を確保するかも大事です。
わたしは、グループ本部の仕事をこなしながら、複数の病院の事務長を担当しています。それでも医師を採用でき、業務が滞らないのは、早い段階で他の職員に仕事を依頼しているからです。
ただ、これは事務長自身が率先して動きまわっていることが大前提です。事務長が真摯な姿勢を見せ、他の職員と信頼関係が構築できていれば、自分が不得意なことや分からないことがあったとき、それを得意としている職員が快く引き受けてくれると思います。
武久代表
当グループはこれまで、自力では立ち行かなくなった病院を数多く譲り受けてきました。譲り受け後の病院再建にあたっては、当グループからの人員派遣や新規採用も行いますが、いつも大きな力になるのは譲り受け以前からいる職員です。現場を熟知していますし、自身の職場をよりよくしていくことに対して非常に協力的です。医師採用に限らず、こうしたスタッフの協力があってこそ、病院再建は可能なのだと感じています。
● 「現場感覚をもつ」ことで採用の“正解“が分かる
● 「すぐ動く」ことで、問い合わせのあった医師の熱を冷まさない
● 「医師に臆さない」ことで、採用すべき医師を見極める
● 「人に任せる」ことで採用に必要な時間を確保する
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