「逆境で進化させる“人to人”のコミュニケーション戦略」病院マーケティングサミットJAPAN 2020開催直前!理事座談会

著者:小山晃英(こやま・てるひで)/病院マーケティングサミットJAPAN Academic Director
京都府立医科大学 地域保健医療疫学
京都府立医科大学附属脳・血管系老化研究センター 社会医学・人文科学部門

2020年12月1日(火)から5日(土)まで、病院マーケティングサミットJAPAN2020がオンライン開催されます。開催を前に、理事(竹田陽介、松本卓、岸拓弥)たちがサミットの見所や、注目セッションについて語りました。

初のオンライン開催!従来のコアプログラムに加え、「社会課題×医療」もテーマに

――3回目となる病院マーケティングサミットJAPANですが、今回は初めてのオンライン開催ですね。まずは代表理事の竹田陽介先生(株式会社Vitaly 代表取締役 医師)に、「病院マーケティングサミットJAPAN2020」の内容をお伺いします。

竹田:本年は「逆境で進化させる 人to人のコミュニケーション戦略」をテーマに、約60セッションに及ぶプログラムを5日間に渡って開催します。

病院マーケティングサミットJAPAN2020のテーマは「逆境で進化させる人to人のコミュニケーション戦略」

今年、人類を襲った新型コロナウイルス感染症は、医療問題を越えた未曾有の社会問題として世界中のあらゆる人々に影響を及ぼし、人命のみならず多くの産業、社会活動が多大な制限、損失を受けることになりました。

しかし、「病院の中にいる人間だけでは到底解決できない」コロナ禍において、医療従事者だけではなく社会の一人一人が当事者として感染拡大の防止に取り組めたことは、医療を新たなステージに導く福音と言えるかもしれません。「コロナ」という共通言語のおかげで、職場でも家庭でも誰もが当事者として「医療」について話し合い、正しい感染対策を実施するために医療内外の垣根を越えて多分野の専門家同士が協力しあう姿が多く見られるようになりました。

コロナのような共通課題をきっかけに、医療従事者と社会のさまざまな人々が同じテーブルにつき、課題解決に向けて手を取り合っていくことが、社会基点から医療をアップデートし、「人々の生活に真に貢献する医療」を実現するための鍵となるはずです。

今回は、医療のプレーヤーを「病院の中」だけでなく「病院の外(社会)」にも広げ、社会の全員で「人々の生活に真に貢献する医療」を一緒に考えていける場を創出したいと考えています。そのため病院広報・マーケティングを中心とした従来のコアプログラムに加え、社会課題×医療をテーマとした多様なプログラムを企画しました。

セッション数は昨年比10倍。医療の外からの「厳しくも愛のあるツッコミ」にも注目

――リアルで1日のみの開催だった昨年と比べると、セッション数が10倍くらいになりましたね。

竹田:今年は有志で立ち上げた実行委員会に50名以上の方々が参加していただいたおかげで、この規模にまで発展できたと考えています。さらに、今年から病院マーケティングサミットJAPANの理事に加わった岸拓弥先生(国際医療福祉大学大学院医学研究科循環器内科学 教授)が会長を務める第2回Digital Hypertension Conferenceとの同時開催によることも大きいですね。

――岸先生、第2回Digital Hypertension Conferenceの概要を教えてください。

岸: 2019年に日本高血圧学会総会内で企画されたカンファレンスです。既存の高血圧診療や医療システムでは、高血圧および脳心血管病の克服は不可能であるため、日本高血圧学会では「良い血圧で健やか100年人生」のスローガンのもと、①医療システム ②学術研究 ③社会啓発の三つの柱からなる「みらい医療計画」を策定し、新たな学術領域提唱としてDigital Hypertension Conferenceを開催しています。

本来であれば、病院マーケティングサミットJAPAN2020と同じ会場で合同開催となる予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の影響で、オンライン開催となります。

合同開催である点を活かして、他の学会や研究会では絶対に実現しないヒトとフィールドの融合から「点と点を結んで新たな空間を創出する」企画を行います。

――岸先生の豊富な人脈を生かして、病院マーケティングサミットJAPAN2020でも数多くのセッションを企画していただけました。イチオシのセッションを教えてください。

岸:うん、20個くらいはセッション作ったね、笑。

どれもイチオシではあるけれど、例えば「ここが変だよ!日本の医療〜斜め上から好き放題言わせてもらいます〜」とか本サミットらしい企画。

医療って、閉鎖的でガラパゴス的な世界に陥りがちなんだよね。あえて医療の外から、厳しくも愛のあるツッコミをいれてもらうために、留目真伸さん(株式会社SUNDRED)、志水雄一郎さん(株式会社フォースタートアップ)、孫泰蔵さん(Mistletoe Japan)に登壇いただきます。日本の医療をアップデートするための建設的な議論を行います。

――岸先生は、業界問わず本当に幅広い人脈をお持ちですよね。登壇者は皆さん素晴らしい顔ぶれですが、岸先生の注目の方をあえて選ぶとしたらどなたですか?

岸:「移り変わりゆく医師キャリアパス 〜昭和、平成、令和、withコロナ時代〜」に登壇される小川久雄先生(国立循環器病研究センター)でしょうか。ナショナルセンターの理事長から医師のキャリアパスについてお話しを聞ける貴重な機会です。

小川先生のような偉大なる先人と、医師として多様なキャリアパスを送っている医師が一同に介し、多様化した医師のキャリアパスを考えるセッションです。世代問わず、いろんな人に聞いていただきたいセッションですね。

病院マーケティングサミットJAPAN 2019の一幕

自院にも取り入れたい!一流企業から学ぶコミュニケーション戦術

――今年のセッションの裾野の広さを感じますね。

続いて、松本卓さん(小倉記念病院 経営企画部 企画広報課)に注目セッションをお聞きしましょう。

松本:「人や社会と深くつながるコミュニケーション戦術-アイディアを生み出すための思考法-」ですね。ジェットスターグループ マーケティング&PR本部長の永山健作さんと、昨年に引き続き、アマゾンジャパン合同会社パブリック・リレーションズ本部 本部長の金子みどりさんに登壇いただきます。

サミットの原点である、一流企業が社会とどういったコミュニケーションを行っているのか、聞けるセッションが欲しかったんです。病院業界の慣習として「病院らしいものでなければならない」と考えてしまう、つまり他の病院と同じようなことをやっておくと安心するような傾向があります。

それを打破するために、一流企業の方々の実際の施策やその施策にたどり着いたアイディアなど具体的な事例を学ぶことで、硬い頭を柔らかい思考にし、実際に自院で行うコミュニケーションの参考になればというのがこのセッションの狙いです。

――「医療にもっとクリエイティブを 〜病院広報いとをかし〜」のセッションもその観点ですね。

松本:そうですね。病院広報は何かと真面目になりがちで、他病院と同じツール・同じ企画を行うことが常です。一方で、面白さは、人を惹きつける原動力。医療業界において面白さとは悪なのか? 医療業界に面白さは必要ないのか? 面白さの本質は何か?ということを問いたい。 

医療業界における面白さを考えるために、柳澤大輔さん(面白法人カヤック 代表取締役)、津田匡保さん(株式会社ファンベースカンパニー 代表取締役社長/CEO)に登壇いただきます。

――他にもご紹介したいセッションと登壇者ばかりですが、文字数の都合が…。ぜひ一度本会のプログラムページや、登壇者紹介をご覧ください。きっと聞きたいセッション、見たい演者がいるはずです。

「病院の中だけで完結していた医療」は卒業。社会全体で考えていく医療を目指す

――最後に竹田先生、病院マーケティングサミットJAPAN2020への意気込みをお願いします。

竹田:病院マーケティングサミットJAPANは、「人々の生活に真に貢献する医療」を真面目に考えていく医学学会ですが、その反面、学会らしくない学会でもあります。医療をより良くするための垣根を越えた“人to人のコミュニケーション”で一番大切なことは、「楽しさを誰かと共有する」ことです。

例年ご参加いただく病院経営・広報、臨床、研究開発、介護福祉、ヘルスケア関連企業の関係者の方々はもちろん、健康経営、飲食、小売、観光宿泊、ICT、教育、エンターテイメントなどの産業界の皆様や、これまで医学学会なんて他人事だと思っていた学生や主婦、高齢者の皆様もぜひお気軽にご参加ください。

サミットで繋がった誰かと誰かが「あのセッション、面白かったね!」と笑顔で楽しく話をしてくれたら、これ以上嬉しいことはありません。

皆様と一緒に、「病院の中だけで完結していた医療」を卒業し、「社会全体で向き合い、全員で考えていく医療」を目指す第一歩を踏み出す5日間となれば幸いです。誰にとっても散々な年だった2020年ですが、最後くらい皆で目一杯楽しんで「良い締め括り」としましょう!

――今年はオンライン開催の強みを生かしてアーカイブしてLIVE配信を見逃した方も好きな時間に視聴可能となります。登壇者を含め参加者同士が自由に交流できるインタラクティブなオンライン会場(EventHub)を用意していますので、時間が許す限り、コミュニケーションをお楽しみください!

分野、組織、立場を越えた新たな出会い、新たな共創の場として多くの方に本会を活用していただけることを期待しております。

病院マーケティングサミットJAPAN2020

会期:2020年12月1日(火)〜12月5日(土)
会場:EventHubオンライン会場
テーマ:逆境で進化させる人to人のコミュニケーション戦略
主催:病院マーケティングサミットJAPAN2020実行委員会
参加費:14,000円(Withコロナ特別支援価格)
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