病院事務職キャリア相談室vol.4:ポスト満席で昇進見込めず…事務長職での転職は可能?

【質問者】事務長補佐 Sさん(仮名)

40代後半、男性、事務長補佐歴6年

病院で事務長補佐を6年務めています。スタッフのマネジメントや採用活動、業務フロー改善、施設基準の届出関係など多岐にわたる業務に従事し、事務長を支えながら成果を出してきました。しかし、事務長が同年代なのでこれ以上の昇格・昇給は見込めない状況です。そのため転職を考えております。最初から事務長として就業することは難しいかもしれませんが、これまでの知識や経験を活かし、事務長を目指せる環境を希望しています。
そのような条件で転職は可能でしょうか。

【回答者】雪竹舞子(事務職専門コンサルタント)

医療事務職キャリア相談室事務長が同年代のため、たとえ実績はあっても今以上のキャリアアップが難しいのではないかと懸念を抱かれているのですね。「現職ではポストの空きが無く転職を検討している」というご相談は、Sさん以外からも数多く寄せられます。

転職に際しては、ご自身の強みと医療機関のニーズを把握することが大切です。事務長に求められる経験・スキルは病院の状況によって異なります。たとえば地域医療構想など今後の医療の流れを汲んで経営方針を転換しようとしている病院では、理事長や院長の右腕として変革を推し進めることのできる人材が求められます。計画立案能力や院内外での折衝力といったスキルが評価されるでしょう。方針転換の他にも、医事課を補強したい、人材の定着を促したい、地域連携を強化したい、コスト削減を行いたい…病院の課題感によって、求める人物像は変わります。管理職の採用時には実績が重視されますから、まずはSさんのこれまでの実績を整理しご自身の強みを理解した上で、病院側のニーズも鑑み検討する必要があると思います。

事務長としてすぐの就業は難しいとお考えのようですが、先に述べたようにSさんのスキルや経験を評価いただける環境なら、即事務長として登用される可能性もあるでしょう。また、新規施設の立ち上げによりポストが空いている医療機関もありますし、施設形態にこだわりが無ければクリニックの事務長を目指すという手も考えられます。

他には、「現事務長の定年が近づいているため、世代交代を視野に良い人材を確保したい」というケースもあります。まずは事務長補佐として入職して現事務長の業務を引き継ぎ、その方が退職を迎えた後に事務長に昇格するというキャリアパスも目指せるでしょう。Sさんは40代後半とのことですので、現事務長が50代後半~60代前半で後任を探しているような医療機関がマッチするかもしれませんね。ただし、引き継ぎ期間は医療機関によって大きく異なります。転職活動の際に医療機関の意向も確認した上で、ご自身のキャリアプランと照らし合わせて考えてみてはいかがでしょうか。

このように、事務長として、あるいは将来的な事務長として転職するチャンスは十分にあります。まずはご自身の得意分野や実績を整理した上で、どのような求人があるか調べていただいたり、エージェントにご相談(※)いただいたりすると、次の一歩を検討しやすいかと思います。

※ 残念ながら病院事務職の公開求人は少ないのが現状です。手前味噌ではありますが、求人をご覧になる場合はハローワークかエージェントを活用するのが現実的かと思います。どちらでも、お気軽にご相談ください。

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雪竹舞子(ゆきたけ・まいこ)
エムスリーキャリア株式会社 経営支援事業部 事務職紹介グループ
大学卒業後、企業にてBtoC営業とセミナー企画・運営に従事。兄弟が先天性の疾患を抱えていたことから、思い入れの強かった医療業界に飛び込むべく、エムスリーキャリアに入社。現在は、前職での営業経験も活かしながら「顧客ファースト」を信念にキャリアコンサルタントとして活動中。趣味はミュージカル・舞台鑑賞で、月1回の鑑賞を欠かさない。

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