病院人事制度設計の基本~成功する病院は何が違うのか~

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夏の賞与の時期が終わり、評価業務がひと段落ついた各病院から「人事制度がうまくいっている病院の事例を教えてほしい」とご相談をよくいただきます。お話を伺うと、国による“働き方改革”の流れを受け、残業時間の削減を図るとともに職員の生産性を向上させるという課題に向き合う病院が増えているように感じます。

今回、そもそも人事制度とは何かといったお話と、成功している病院は何を意識して制度設計をしているのか、そのポイントをご紹介いたします。

人事制度の骨格は等級・賃金・評価の3つ

そもそも、人事制度とは何なのでしょうか。人事制度は、組織が戦略を進めるために行う人事上のあらゆる取り組みの集合体です。まず、人事制度を通じて職員にどのような行動を起こしてほしいか方向性を定め、それらを達成するための仕組みをつくっていきます。

仕組みの骨格となるのは、等級・賃金・評価の3つです。

(1)等級

等級とは、職員の序列分けをする概念です。どのように等級を分けるかは、職位によって分ける方法や、「〇〇の業務が出来るのでレベル1、△△という技能があるのでレベル2」といったような技能による序列分けなど様々です。いずれにせよ、まずは職員の等級を定めることが、人事制度策定の第一歩になります。

等級が賃金、評価のガイドラインになるため、人事制度の構築では一番始めに取り掛かります。また、一般的に病院では役割等級という、与えられた役割によって等級を決める方法が主流です。役割等級が採用される理由としては、病院では同じ職種であっても求める技能や知識が異なるケースも多いことが挙げられます。

(2)賃金

賃金制度を見直すことは、職員のモチベーションや行動を方向づけ、採用難・離職などさまざまな問題を解決する糸口となりえます。見方を変えれば、見直さないことで問題を放置することにもなります。実際、魅力的な賃金制度になっていなかったことが一因となり、中堅の看護師が次々に辞めていく病院の例もあります。

たとえば以下のうち、どの項目がトラブルに発展する要素だと感じるでしょうか。

・管理職である看護部長と、勤続の長い一般看護師で、基本給が同水準
・積極的に働き、診療の中心となっている40代医師を給与面で優遇していない
・そもそも自院の給与水準を、職種別・年代別に他院と比較したことがない

上記はすべて火種を抱えていると言えます。火種がくすぶっている段階ではなかなか気付きにくいのですが、職員から不満の声が挙がり、一度トラブルに発展してしまうと手遅れです。賃金制度を変えようとしても、その頃には優秀な人材が去ってしまったといった例も少なくありません。

(3)評価

「評価」と聞くと、どんなイメージがあるでしょうか。
「無味乾燥なもの」「期末になると結果を書く、面倒な事務仕事」といった勘違いをされやすいのですが、実は評価制度は職場のコミュニケーションの活性化や、生産性の向上のカギになる仕組みです。

評価制度とは本来、目標と実績の差を部下に認識してもらい、目標達成に向けた改善行動を促すものです。しかし、その視点が抜けて、曖昧な評価項目をもとにA、B、Cと付けていく”作業”に陥ってしまう医療機関も散見されます。そうなってしまうと、現場スタッフにとっては、面倒な運用を求められるだけの定常業務に成り下がってしまい、本来の効果を発揮できません。

本来の機能を発揮させるには、等級や職種にあった評価項目を始めにきちんと設計することが大事です。また、一方的に評価するのでなく、上司から部下へのフィードバック面談を取り入れることでコミュニケーションが活発になり、部下の育成、組織の関係性改善に役立ちます。

実は、離職の原因の多くは上司・職場での人間関係なのです。部下は、上司が自分に何を求め、何を基準に評価しているのかクリアにされることで、ストレスが軽減されますし、定着しやすくなるでしょう。

最低でも、5年に一度は見直しを

「つくりっぱなしで正しく運用・見直しされない人事制度は、まったく意味をなさない」
この言葉は、人事制度を機能させて億単位の医業収益アップに成功した病院の人事担当者が、皆さん口を揃えておっしゃることです。

人事制度はあくまでもツール。原点、つまり、制度を通じて達成したかった目的を見失わないことが重要です。現場でうまく運用できていないと判断した場合は原因を追究し、必要であれば制度趣旨や適切な運用方法を評価者に追加説明したり、評価項目を見直したりすることも必要です。人事制度は一度つくって安心できるものではなく、組織の変化に合わせて刷新し続けるのがあるべき姿です。見直しを5年以上していないようでしたら、ぜひ評価者がうまく活用できているかヒアリングしたり、他院と情報交換したりして、制度のアセスメントを行ってみてください。

人事制度はあくまでも経営上の一つのツールですが、生産性向上を余儀なくされた病院では検討を避けて通れない重要項目です。幸い、国や自治体の各種助成金もあります。これらもうまく使いながら、制度策定にぜひトライしてみてください。

四元美緑(よつもと・みのり)
九州大学文学部出身。エムスリーキャリアにて医師を中心とした医療従事者の採用戦略立案・実行支援に従事した後、現在は、医療機関の人事制度設計や運用支援に携わる。

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