【第14回】あなたは「デキる事務長」ですか?―事務長の悩みは99%解決できる

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野々下みどり(ののした・みどり)

株式会社LHEメディカルコンサルティング代表取締役。熊本大学法学部を卒業後、約20年間にわたり医療法人社団シマダ 嶋田病院に勤続。その間、医事課長、診療情報管理課長、情報システム課長、診療支援部長、企画広報部長を歴任。2018年、医療福祉の経営コンサルタントとして起業し、現職。医療経営・管理学修士(九州大学大学院医学系学府)、診療情報管理士指導者の資格を持つほか、日本診療情報管理士会評議員などを務める。

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先日、ある病院に入職した臨床検査技師の友人から「ちょっと聞いて」と電話がありました。

「初日に事務長から、『うちの病院は使えない人が多くってね。君の上司も問題があるから頑張ってね』と言われたんだよ」。

私は、入職したてのスタッフになんて事言うんだ…とあきれつつ、「で、実際上司や仕事はどうなの」と尋ねました。

友人:「上司は、1日中スタッフの文句と嫌味ばかり言ってる。あと私の業務は午後はずっと事務作業になってるから、改善したらもっと効率上げられると思うんだけど」

私:「そのこと、事務長に言ってみたら」

友人:「事務長室に行ってみたけど、全然つかまらないの。机も書類の山で…。仕事がデキる人だろうから、忙しそう」

私:「え、仕事がデキる?」

友人:「だって、事務長になるくらいだからそうなんでしょ」

さて、「事務長」と呼ばれる人は、どれくらいいるのでしょう。病院と診療所の数を合わせると約17万9,000施設(医療施設動態調査:2019年5月末概数)なので、同じ数くらいの事務長がいるということになります。17万9,000人いれば、いろいろなタイプの事務長がいても不思議ではありません。

このコラムの読者には、友人の職場の事務長のような方は、いらっしゃらないと思いますが、事務長の2つの役割、管理とマネジメントについて、改めてお伝えしたいと思います。

管理とマネジメントって何でしょう?

「管理とマネジメントって何でしょう?」

こうして改めて尋ねられると、皆さん意外と困ってしまうのでないでしょうか。管理とマネジメントとはそれぞれどういうことか、自分の言葉ではっきりと伝えることができますか。

私は、診療情報管理士の資格を持っていて、診療情報管理士の専門学校の非常勤講師もしていますが、教壇に立って改めて「管理」と「マネジメント」について考えるようになりました。診療情報管理士は、英語表記ではHIM(Health Information manager) とされています。実は、このことを学生に教えるときに、診療情報を管理する人なの?マネジメントする人なの?と、私自身がつまずいてしまったのです。いざ言葉で伝えるとなると、自分の理解が曖昧なことに気づきました。

先日お会いした経営者の方にも、管理とマネジメントについて質問をしました。その方は、初めて施設長になるスタッフの教育や、その施設長と他のスタッフとの関係性がうまくいっていないことに悩んでいました。

私が「その施設長には、管理やマネジメントについて教えないといけないと思います。管理とマネジメントって何だと思いますか」と尋ねると、その経営者からは、教科書のような硬い言葉の最後に「ですかね?」と疑問符を付けた答えが返ってきました。長く経営やマネジメントをされている方でも、人に伝えることは容易ではないようです。

私もしばらくこの「管理」と「マネジメント」について考えていましたが、ようやく腑に落ちる、そしてはっきりとした自分の言葉が見つかりましたので、ぜひお伝えしたいと思います。

事務長の「管理」「マネジメント」ってどんなこと?

事務長は、管理職と呼ばれますが、管理をするとは何でしょう。マネジメントはしなくてもいいのでしょうか。管理とマネジメント。事務長の仕事に当てはめると、どういうことなのでしょうか。

デジタル大辞泉を見てみると、管理とは「ある規準などから外れないよう、全体を統制すること。事が円滑に運ぶよう、処理し、保存維持していくこと。現状を維持し、その範囲内で利用・改良などをはかること」とあります。つまり、事務長であれば、組織のパフォーマンスを維持することが管理するということになるのでしょう。例えば、患者さんが病院に来られたときに、病院が誇れる最高のパフォーマンスを発揮できる状態に常にしておくことです。

一方でマネジメントについて、ピーター・ドラッカーは「組織に成果を上げさせるための道具」であり、マネージャーは「組織の成果に責任を持つ者である」と言っています。成果とは「良い結果」のことです。マネジメントとは、組織のパフォーマンス向上を図ること。つまり、病院が今日よりも明日が、今年よりも来年が、より良い結果になるように導くことが事務長の役割なのではないでしょうか。

部下を押さえつけるように管理していた、病院管理職時代

事務長やリーダーには、管理職とマネージャーの両方の役割があります。自分の担当業務のみに没頭して、周りが見えていない人は、そもそも管理ができていませんし、部下を管理する事が仕事だと思い、統制や環境整備に終始する人は、マネジメントをしているとは言えません。

私は前職で病院管理職をしていましたが、部下を押さえつけるように管理して、部下に成果だけを求めていました。周囲から声を掛けづらい環境を自分が作っていたのに、棚に上げて、部下が失敗すると「なぜ、私に聞かなかったの」と叱っていました。いま、それは間違っていたと後悔しています。

事務長やリーダーの役割は、成果を出せるように、それぞれの部門が活躍できる環境を整え、スタッフのモチベーションを上げていくことなのです。

管理しながら、成果をもたらす役割は、大変ですね。でも、成果の先には患者さんや職員の喜びが待っています。そんな仕事、誰もができるわけではありません。頑張った先に、みんなの喜びというご褒美が待っている仕事なんて、素敵ではありませんか。

事務長って「デキる人」なの?

さて、冒頭に紹介した友人の職場の事務長は、友人の思っている通り、「仕事がデキる人」なのでしょうか。そもそもスタッフに、自分の部下について「使えない」と言っている時点で問題ですが、机は書類の山で、スタッフの声を拾えないくらい駆け回っている事務長は、「管理」ができているとは思えません。

そんな事務長でも、「事務長」と言う肩書きで「仕事がデキる人」だと思われます。あなたも、きっとそう思われています。もし、自分に事務長として足りないところがあると思う方は、そのイメージに合うように自分を磨いていけばいいのです。

自分を磨いていくための1つで、大事にしてほしいことが「言葉」です。

リーダーの条件の一つに、自分の言葉で表現できることがあります。言葉の意味をしっかり理解して自分の思いを乗せなければ、その言葉にエネルギーは宿りません。言葉ははっきりと相手に伝えられるくらいまで、自分の中に落とし込むことをお勧めします。 自分自身を磨いて(管理して、マネジメントして)、スタッフが成果をあげられるように尽くしてください。きっと、変わります。私も今からです。一緒にチャレンジしませんか。

≪≪【第13回】どんな時に自分の“気持ちが上がる”か、知っていますか―事務長の悩みは99%解決できる

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