地域医療構想で公的医療機関に着目すべき理由―診療報酬請求最前線

2025年問題の対処に向けた動き

医療における高齢者人口の増加の問題は、団塊の世代が75歳になる年を指し、医療・介護の「2025年問題」と称されます。そして、この問題に対処しようと、医療体制の大幅な見直しがすでに始まっています。最近では、2018年度の診療報酬改定が、介護報酬との同時改定になることから「今後を見越して大きな制度改革が行われるのではないか」と心配する推測も聞こえてきています。

さらに視野を広げてみると、2018年度は、新たに第7次医療計画がスタートする年にも重なっています。ご存知の通り、この第7次医療計画には、2017年度までに全国各地で策定された地域医療構想との整合性を図りながら、将来の病床数の必要量が定められています。そして各地ではすでに、地域の病床機能を議論する「地域医療構想調整会議」の場を迎えています。この会議では、医療計画・地域医療構想に基づいて、これからの地域医療で求められる機能分化や連携のあり方を議論することとなります。

医事課も要注目の「公的医療機関等2025プラン」

筆者が勤務する医療機関(特定機能病院)ではいち早く、地域医療構想を踏まえた「公的医療機関等2025プラン」を9-10月にかけて策定する指示が出ています。このプランは、救急医療や災害医療など、高度急性期医療を担う医療機関ごとに、個別の計画と方針を示すものです。対象となる病院には、特定機能病院や地域医療支援病院、そして国立病院機構や日本赤十字社(日赤)、社会福祉法人 恩賜財団 済生会などの公的医療法人が該当しています。

この進め方の背景には、地域で中心的な役割を果たす医療機関が先頭に立って地域医療について議論し、その方針が明確にされることで、中小規模の医療機関の役割も明確化し、機能分化が推進しやすくなると考えたのではないかと推測されます。

この公的医療機関等2025プランは、医事課の職員も注目しておきたいものです。ここには、地域の全医療機関に影響する情報が多く含まれていますから、特に次の部分に着目し、早急に自院の立ち位置を確認することが重要になります。

  • 今後の方針;当該医療機関が今後地域において担うべき役割
  • 具体的な計画;
    1. 当該医療機関が今後提供する医療機能に関する事項
      1. 4機能(高度急性期・急性期・慢性期・回復期)ごとの病床のあり方
      2. 診療科の見直し等
    2. 当該医療機関が今後提供する医療機能に関する具体的な数値目標
      1. 病床稼働率、手術室稼働率等、当該医療機関の実績に関する項目
      2. 紹介率、逆紹介率、地域との連携に関する項目
      3. 人件費率等、運営に関する項目
【著者プロフィール】須貝和則(すがい・かずのり)
国立研究開発法人 国立国際医療研究センター医事管理課長/診療情報管理室長、国際医療福祉大学院 診療情報管理学修士。1987年、財団法人癌研究会附属病院に入職後、大学病院や民間病院グループを経て現職。その間、診療情報管理士、診療情報管理士指導者などを取得。現在、日本診療情報管理士会副会長、日本診療情報管理学会理事、医師事務作業補助者コース小委員会 委員長などを務める。
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