病院事務職員の転職活動記(8):クリニック経営支援のコンサル会社との面接

2社目はクリニックを支援するコンサルティング会社

前回の記事では、企業立の医療法人との面接と、そこで思ったことをまとめました。今回は、クリニック経営支援のコンサル会社との面接をまとめます。面接した会社の概要は以下の通りです。

  • クリニック経営支援のコンサルタント業務を中心に展開
  • 企業再生が専門の公認会計士がオーナーで、経営サポートの業務がメイン
  • 自前でもクリニックを3県で4施設持っており、そこに加えて600床超の慢性期病院も保有
  • 会社の規模としては小さめで、過去に病院の事務長や経営企画を歴任してきた3~4人のスタッフで行っている

クリニックの経営支援が主業務で、また自らの会社としてもノウハウを蓄積するためにもいくつか医療機関を持っているという運営形態でした。また会社のビジョンは、

  1. 複数の医療機関が統合されていく中での医療の地域遍在を直すこと
  2. オフィス街におけるクリニックの需給のマッチング

としており、それを実践するために「新規クリニックの立ち上げ支援」「既存のクリニックの運営サポート」「M&A(デューデリジェンス)、決算書のチェック、資産(施設・物・人)のチェック」を、クリニックで働く医療職の代わりに行っている、というような具合だったと記憶しています。

初戦の反省もふまえ、面接に

そもそもかなり小規模の会社で、情報が少ない会社ではありましたが、就労条件や大まかな業務内容は調べることはできました。1社目の失敗点である、「分かる情報は事前に集めておくことが重要!」を、今回はクリアできたかなと思いました。

しかし、ホームページは貧弱で、そのうえ事前説明のスライドとかも出てこないのはちょっと不親切だなぁと思います…。やっぱり安心して面接に臨むためにも、ある程度の情報開示はしてほしいなぁと思うのですが、転職活動ってこんなものなのでしょうか?

情報が少なかったこともあり、このコンサル会社がどのようなことをしているのか、なぜ自分が面接しに来たのかというイメージが持てていないままの面接となり、自分の経歴ややりたいことを上手に伝えられなかったかなと思います。あとは、相手方の話を聞いていてクリニックのコンサルにあまり興味が湧かなかったので、正直熱意も足らなかったと思っています……。

面接で感じた、コンサル会社・クリニック事務職に求められるスキル

(1)なぜここで働きたいのか?を明確に伝える

前回のブログ記事にも書きましたが、「自分がこの会社で働きたい理由」を、大きな問題意識からプレゼンできることがとても大事だなぁと思いました。流れで言うと……

  1. なぜ医療業界で働きたいと思っているのか?
  2. なぜ医療機関なのか?
  3. なぜこの規模の医療機関なのか?(クリニックと総合病院の持つ社会的意義の違いとは?

といった感じでしょうか。
今回はコンサル会社でしたが、この話の流れがお互いに腹落ちできるようにストーリーを練る必要があります。当たり前の話なんですが。

(2)財務的な知識の重要性

企業再生系のコンサル会社を受けたということが大きいですが、財務的なスキルはコンサルや経営企画をやる上では必須!というのを面接していて肌で感じました。

決算書を読んで改善ポイントを明確化することが経営の基本で、世の中の病院経営のスタンダードでもあるのかなと思います。銀行さんとお付き合いのある病院がほとんどですし……。

私が勤務している病院で財務的なスキルを磨く機会はあまりなさそうなのですが、勉強して身に着けるのか、経理課に異動願を出すのか、はたまた他職種・他業界に転職するのか。財務面の経験をコアスキルにするキャリアプランは今のところないですが、知識としての概要はきちんと理解している必要があると思いました。

(3)クリニック系の事務職に求められるスキルとは

クリニックは、病床を抱えるような病院と異なり、クラーク(受付スタッフ)を除くと雇われる事務職はごくごく少数です。そのため、一人の事務職が多能工として、全体の業務(医事、連携、財務、総務など)を一通り回せる能力が必要になります。規模は小さいものの、トータルマネジメントの能力を身に着けることができる働き方と言えそうです。

今回は企業再生に強いコンサル会社なので、割り引かなくてはいけませんが、「医療者のための業務改善」という経験やスキルは、ここまでの転職活動で話していてもあまり評価されていない気がしています。一般的な事務職の役割は、管理部門で収支の管理と向き合うことなのだ感じました。

ここについては、一般の医療機関の面接を受けてみて肌感覚を確認しておく必要ありそうです。

面接の結果は……
ここまで読んでお察しされていると思いますが、面接は不合格で、今後のご活躍をお祈りされました。笑 ただ、言い訳がましくはなりますが、この会社に興味も持てなかったというのも事実です。

自分のコアスキルを定義すべし

今回の面接の学びは、「『自身の病院経営に関するコアスキルとは何か?』をきちんと持つのが大切」ということでした。コンサル会社で求められる能力が、いまの自分の置かれた立場で求められる能力とはかなりかけ離れていて、自分に足らないものがよく分かった面接になりました。

そのうえで、自分が病院業界でステップアップしていくコアスキルにするのは、医事なのか、業務改善なのか、経営企画なのか、それとも経験したことのない領域(医療連携、財務経理、人事などなど)なのか。中堅職員の年代に差し掛かり、自分が身に着けていくべきスキルって何になるのだろう、ということを考えていく年齢に差し掛かってきたなぁと感じます。

そして、そのような仕事に自分自身を近づけていく努力が必要で、流れてきた仕事をこなすだけではダメなのだと思いました。

二社連続で落ちているくせに、面接を通じた医療業界批評になっていますが笑、もう少し転職活動記にお付き合いください。

(※本記事は、「病院で働く事務職のブログ」2019年3月9日掲載の記事を一部編集の上、転載したものです)

【プロフィール】
病院事務職歴7年。新卒で500床規模の急性期病院の事務職員として入職後、医事課入院部門、経営企画部門、医療の品質改善部門に所属。診療報酬請求や各種窓口対応などの医事業務から、看護業務改善や病院の機能評価受審の事務局担当といった院内プロジェクトまで様々な業務に従事。現在は再び医事課入院部門に所属し、医事業務全般に加え、医事課スタッフの採用・教育、監査対応や委員会の事務局業務にも携わっている。

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【シリーズ一覧】
(1)転職活動を始めたきっかけ
(2)転職コンサルタントとの面談
(3)「デキる」医事課職員へのニーズの高さ(スタッフ編)
(4)「デキる」医事課スタッフへのニーズの高さ(管理職編)
(5)医事課以外の事務職員の転職市場は?
(6)転職活動を通じて考えた病院事務のキャリア
(7)企業立の医療法人との面談
(9)公立病院の企画室との面接

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