世界有数の大都市としても知られる東京都。規模や機能もさまざまな医療機関が点在し、地方に比べて医療資源も豊富な一方、今後急速に高齢者層が増加すると見込まれており、医療機関には経営転換が求められています。都道府県ごとに事務職のキャリアについて考察する本シリーズ。今回は、東京都の動向を取り上げます。
東京都の地域事情
全国第1位の人口1323万人を擁する東京都には、13の医療圏に646施設の病院、1万3000施設ほどの診療所が存在しています。最も多くの病院を有する区西北部医療圏には、都内の15%に当たる95施設の病院が位置しており、次いで八王子医療圏(79施設)などと続きます(「平成25年医療施設調査・病院報告の概況」より)。
ほかの都道府県に比べ、規模も機能もさまざまな医療機関が各地に点在している東京都。現在検討が進んでいる地域医療構想では、「誰もが質の高い医療を受けられ、安心して暮らせる東京」を実現させるために、大学病院等の医療機能を今後も進展させ、高度急性期から在宅療養に至る医療資源がより密に連携しあうことなどを盛り込んだ基本目標を設定しています。
東京都の病院事務職の年収相場は?
『2016年版病院賃金実態資料』(医療経営情報研究所)によると、東京都が位置する関東地方で働く病院事務職(大学卒)の年収推移は以下の通り。
調査対象病院に多少の偏りもあり、転職市場の相場と比べると高めの数値となっている点には注意が必要ですが、関東圏の病院事務職の給与相場は全国水準と照らしても高い傾向にあることは分かります。同調査によると、役職別に見ると事務部長で1010万円、事務課長で685万円、事務係長で562万円、事務主任で457万円が平均とされていますが、都心になるほど物価なども連動して高まる点には留意しておきましょう。
東京都の求人動向
実際に、エムスリーキャリアに寄せられている求人から病院事務職の需要を探ってみると、医療機関が多い分、東京都はほかの都道府県と比べ、病院事務職の求人も比較的多い傾向。募集職種をより詳細に見てみると左図のような内訳となりました。
事務長・事務長候補、医事課長など役職付き求人が多いことからも、医療機関側から経営幹部を務められる人材のニーズが高まっていることがうかがえます。
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