著者:野末睦(あい太田クリニック院長)
ただ、このような大学生活でしたが、現在の私の考えでは、いくつかの点で不十分であったと思います。
大成している人は飲み過ぎない
まず、お酒を飲みすぎました。その頃はお酒を一気に飲むのがヒーローみたいな風潮がありました。また運動部で活躍する、イコール、お酒が強いというイメージもありました。私もそんな輪の中心にいたのです。今の年齢になり、同年代で知的に活躍している人を見渡すと、お酒に弱くて、ほとんど飲めない人の割合がとても多いのです。脳細胞が少しずつ破壊されてしまった結果なのか、それともお酒を飲むために費やす時間に、飲まない人は勉強をしたのかわかりませんが。後悔先に立たずですが、これからは飲酒量を減らしていきたいと思っています。
学生時代はバカばかりやっていればいい?
もう一つ、やっておけばよかったなあと思うのは、医学、医療分野でのサークル活動やセミナーへの参加です。前述したように、医学部の友達に気後れしていた私は、他学部の人たちとの部活動に集中していました。そのため医学的なこと、医療に関することに自発的に取り組んだり、勉強したりすることがありませんでした。むしろ避けていました。今思い返してみると、とてももったいなかったなあと思います。
私が院長をしていた庄内余目病院では、10年ほど前よりいろいろなセミナーを開催して参りましたが、中でも2014年3月には「医学生、看護学生、薬学生が共に学ぶインタラクティヴセミナーin余目」と銘打って開催した4日間にわたるセミナーに、全国から20人を超える学生が参集し、幅広い知識と、高い視点、そして多くのやる気のある仲間を得て帰っていきました。そんな様子を見ると、私ももっと心を開いて、医学部の同級生や他大学の医学部生、さらには医療関係者とも、もっともっと、交流しておけばよかったなと思うのです。
よく「学生時代はバカばっかりやっていて勉強などほとんどしなかった」というような体験記は多く、日常生活においても、知識に基づいた理性的な判断よりも、感情のままに行動することを良しとする風潮がありますが、わたしは、そうではないような気がしてきています。幅広い知識を得て、それに基づいていろいろな経験をすることが、とても大事なような気がしているのです。ですから、大学時代の過ごし方については、少し反省しています。
「医学部時代は何に打ち込み、何を避けますか?」への私的結論
大学時代は部活動を通じて、あるいはセミナーなどを通じて、医学医療を含む様々な分野の人と広く知的に交流し、一生の仲間を作りましょう。お酒は飲みすぎないようにしましょう。
野末睦(のずえ・むつみ)
筑波大学医学専門学群卒。外科、創傷ケア、総合診療などの分野で臨床医として活動。約12年間にわたって庄内余目病院院長を務め、2014年10月からあい太田クリニック(群馬県太田市)院長。
著書に『外反母趾や胼胝、水虫を軽く見てはいませんか!』(オフィス蔵)『こんなふうに臨床研修病院を選んでみよう!楽しく、豊かな、キャリアを見据えて』(Kindle版)『院長のファーストステップ』(同)など。
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