人見知りのわたしが病院長になる決断をした理由―後編―医師への選択、医師の選択【第30回】

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著者:野末睦(あい太田クリニック院長)

 
徳田虎雄氏に会った翌週から、各地の徳洲会の病院に見学に行きました。徳田氏には「千葉あたりの病院の副院長として入れてもらい、ゆくゆくは院長職に挑戦したい」との希望を伝えたので、まずは千葉徳洲会、千葉西徳洲会病院、その後徳洲会のリーディング病院である湘南鎌倉総合病院、葉山ハートセンターにもいきました。葉山ハートセンターでは、従来の日本では見られないようなロケーションと建物の美しさにド肝を抜かれました。

いきなりの院長職、しかも単身赴任に戸惑い

その後2月最初に再び、徳田氏と面会した時には、「徳洲会にお世話になります」と伝えたのでした(余談ですが、徳洲会を紹介してくれた親友のT氏も「野末が入るなら、おれも入るよ」と言ってくれ、ともに徳洲会入りしました)。そんなわたしに徳田氏が発した言葉は「副院長などやっている暇はない。余目(あまるめ)に院長で行け」でした。「余目ってどこですか?」と尋ねるわたしに、「山形だ。2月11日に見学に行ってこい」とのこと。単身赴任になることに抵抗もありましたが、2年後には成田に徳洲会の病院ができるから、そこに戻ってこいという言葉もあり、とにかく見学に向かいました。

縁なき地での決意

羽田空港からわずか1時間の庄内空港に降り立ってみると、そこは雪景色。病院に向かう道すがらの田んぼは雪に覆われています。わたしが将来院長となる庄内余目病院につくと、あまり人の気配がしません。それでも手術室では虫垂炎の緊急手術が行われていて、そこには筑波大学の後輩で、バレー部の後輩でもある女医さんが偶然いました。そしてなぜか病院の見学はそこそこに、わたしは羽黒山に連れていかれました。とてもきれいな五重塔があるということで。

夕方の帰りの飛行機に間に合うかどうか不安になりながらも、車で羽黒山に上っていく参道の両側に目をやると、そこには懐かしさを覚える光景があったのです。幼少の頃、何度も目にした「○○坊」という看板の連なり。しかも雪の中で、夕暮れ迫り誰も歩いていない。そんな雰囲気が、地元・長野県にある善光寺の宿坊街の景色をフラッシュバックさせたのです。まるで故郷に戻った感じでした。この時、余目への赴任を決意したのです。

余目から戻ったわたしは、早速人事担当の方に、決意を伝えました。そのあとに徳田氏に会った時には、小料理屋に連れて行ってもらいました。歓迎会かななどと考えていたらとんでもない。余目をやめたいと言っていた循環器内科医の説得の場だったのです。「一緒に辞めないように説得しよう」と。

「院長就任に誘われたらどうするべきでしょうか?」への私的結論

病院長になるというような重大な決断を下す場合も、逆に誘う場合もスピード感をもって行うしかない。何とかなるさという吹っ切れた気持ちで、あれこれ考える前に飛び込む覚悟も大事。

≫次回に続きます≪

野末睦(のずえ・むつみ)

初期研修医が優先すべきこと2―医師への選択、医師の選択(野末睦)筑波大学医学専門学群卒。外科、創傷ケア、総合診療などの分野で臨床医として活動。約12年間にわたって庄内余目病院院長を務め、2014年10月からあい太田クリニック(群馬県太田市)院長。
著書に『外反母趾や胼胝、水虫を軽く見てはいませんか!』(オフィス蔵)『こんなふうに臨床研修病院を選んでみよう!楽しく、豊かな、キャリアを見据えて』(Kindle版)『院長のファーストステップ』(同)など。

 

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