【医師6000人調査】採用・離職防止のポイントは?

医師不足が深刻化する昨今、医師の新規採用はもちろん、在籍医師の離職を防ぐことの重要性が増しています。しかし、医師が転職を考えるきっかけはスキルアップ、職場環境や給与、育児との両立など様々です。最も多い転職理由や、年代別の傾向とは? エムスリーキャリアが2018年度に転職支援した医師約6,000人の転職理由を調査・分析しました。

「過剰な業務負荷・リスクの解消」が1位

分析調査では、エムスリーキャリアに相談を行った医師の転職理由を 20 項目に分類しました。転職理由が複数の項目に当てはまる場合は、それぞれを1件としてカウントしています。

表1: 全体の転職理由ランキング(複数回答、2018年4月1日から2019年3月31日までにエムスリーキャリアへ転職相談を寄せた医師5952人が対象)

全体では「過剰な業務負荷・リスクの解消」が転職理由として最多の15.5% 、0.2ポイント低い「業務方針・内容への不満解消」が2位となりました。1位の転職理由は年齢層別ランキングでも全年齢層のトップ3に入っています。2015年度にエムスリーキャリアが行った調査でも同項目が1位でした。

「経営方針・内容への不満解消」は、2015年度の調査では11.0%の5位でしたが、今回は2.5ポイント増えて13.5%の3位に。年齢層別に見てみると、30代では7.7%と多くありませんが、40代から60代以上では常にトップ3内に挙げられる転職理由となっています(表2)。役職につきはじめて、経営に関わる機会も増える40代以上ならではの悩みと言えるかもしれません。

表2: 年齢層別の転職理由(複数回答、2018年4月1日から2019年3月31日までにエムスリーキャリアに転職の相談を寄せた医師 5952人が対象)

前回の調査では10位以下(7.5%以下)だった転職理由「出産・育児との両立(家族)」が、2018年度では第9位、8.9%という結果になりました。

エムスリーキャリアのコンサルタントによると、「多くの医療機関が、出産・育児と仕事との両立がかなえられる環境づくりに前向きになっている」とのこと。実際に採用ご担当者様から「産休中の医師も在籍中」「子育てしながら働いている医師もいる」というお話を聞くことも増えているそうです。「以前にくらべて、乳腺外科や婦人科など ”女性医師だからこそ集患できている” 診療科目が増えてきたことも、病院側が妊娠・出産・育児の両立制度の整備や充実に取り組んでいる理由になっているのかもしれません」という見方もありました。

転職理由が「出産・育児との両立」のみではなく、「転居」理由とのセットである場合が多いと話すコンサルタントも。「これまで子育てと仕事を両立していた先生たちからは、引っ越し先でも同じように子育てできる環境へ転職したいというご相談がほとんどです」

医師不足解消には、医師を知ることが重要

このように、医師の転職理由は様々です。採用にあたっては、まずは前職を辞めた理由や、その経緯について理解を深めることで、その先生が職場に求めるものがより具体的にイメージしやすくなるでしょう。また、所属医師に対しては定期的にヒアリングをして、特に転職理由のトップにランクインしている要素について不満が高じていないか確認し、環境の見直しが図ることが理想的です。
これらは自院で行うことが基本ですが、医師人材紹介会社を上手に活用することで、効果的・効率的に行えるでしょう。詳しい転職理由や転職先に求めていることを聞けば情報提供してくれますし、採用後の定着についても相談に応じている場合があります。

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