なぜ病院マーケティングサミットなのか?8月開催に向けて―病院マーケティング新時代(9)

本連載について
人口減少や医療費抑制政策により、病院は統廃合の時代を迎えています。生き残りをかけた病院経営において、マーケティングはますます重要なものに。本連載では、病院マーケティングサミットJAPANの中核メンバー陣がオムニバス形式で、集患・採用・地域連携に活用できるマーケティングや広報について解説します。

学会の不人気セッションから誕生

著者:松本卓/病院マーケティングサミットJAPAN Executive Director
小倉記念病院 経営企画部 企画広報課

これは竹田さん、小山さん(編注:両者とも病院マーケティングサミットのコアメンバー)との出会いになるわけですが、私は20代後半から毎年、日本医療マネジメント学会で発表していました。当初は人事課に所属していましたので、勤怠管理システムの導入事例などを発表していたのですが、現在の企画広報課への異動に伴い、発表内容がマーケティングや広報関連になっていったわけです。

しかし、日本医療マネジメント学会にはマーケティングや広報関連のセッションはなく、「医療情報」というセッションで発表していました。
この発表の何が嫌だったかって、聴衆が少なすぎたんです(涙)。発表するモチベーションが上がりませんよ。抄録を作ってスライドを準備して、発表時間の5分以内に収まるように台本も準備して、さぁこれから発表という時に、会場が10人くらいなんてこともありました。他セッションの「患者サービス」や「費用削減」、「DPC」「診療報酬」などはそこそこ会場が埋まってるんですが、マーケティングや広報関連は人気がないわけです。そういった状況で、いつも私と一緒のセッションに組み込まれていたのが竹田さんです。

最初の頃は、「また今年も同じセッションですね」くらいのうわべだけの会話をしてましたよ(笑)。だって、当時から竹田さんは高身長でスラッとしたスタイルですし、何より医者なのに社長っていう…… しかもセッションが終わった後に名刺交換で並ばれるのは竹田さんだけ。私はもう嫉妬ですよ(笑)。

でもそんな二人でよく話をしていたのが、「学会って、患者さんが入った後の病院経営手法みたいな発表は多くあるけど、その患者さんに入ってもらうための議論は誰もしませんよね」ということ。患者は勝手にやってくる、患者をコントロールするのは医療提供者側だ、といった認識を持っている医療機関は未だにあると思います。

こうなったら 特に若手に対して上司から積極的に働きかけることが重要 と、小山さんも加わって立ち上げたのが 「病院マーケティングサミットJAPAN」 です。

はじめは産業界が賛同してくれた

2018年3月に初めて 「病院マーケティングサミットJAPAN2018」 を開催したのですが、「病院業界に変わってほしい」と思っていたのは私たちだけではなく、一般企業の最前線でご活躍されている産業界の方々も同様でした。
オリンパス株式会社 宣伝部長、ライフネット生命保険株式会社マーケティング部長、横浜DeNAベイスターズ 経営戦略・IT戦略部部長、LINE Pay株式会社 取締役COOなどなど、私どもの趣旨に賛同いただき、彼らのノウハウを惜しみなく病院関係者にお伝えいただきました。

初回にもかかわらず参加者は200名を超え、微力ではありますが「日本の医療コミュニケーションを変革する」という目標に少しだけ近づけたのではないかと思っています。

こういった活動の成果か、昨年の日本医療マネジメント学会では、発表会場は満席でした。患者さんに選ばれることの重要性や、マーケティングや広報に興味を持つ医療従事者が増えつつあるのを実感しています。

病院マーケティングサミットJAPAN2019は産業・医療の両分野から!

そして今年8月に開催する第2回のテーマは 「病院の価値を創るコミュニケーション戦略」 です。

今回のプログラムは、産業界で活躍されているエキスパートに加え、医療分野のトップランナーにもご登壇いただきます。そのため、自分たちの業界と他業界のノウハウを1日で学べる、一石二鳥なイベントになります。

<産業分野からの登壇者>
・福岡ソフトバンクホークス株式会社 相談役の舘賢治さん
・ポルシェ・ジャパン株式会社 執行役員 マーケティング部長の山崎香織さん
・広告・宣伝業界の専門誌『宣伝会議』編集長の谷口優さん
・アマゾンジャパン合同会社 パブリック・リレーションズ本部 本部長野 金子みどりさん
・GE ヘルスケア・ジャパン株式会社 代表取締役社長 多田荘一郎さん

<医療分野からの登壇者>
・医療法人社団KNI 理事長 北原茂実先生
・東京ベイ・浦安市川医療センター 心臓血管外科部長の田端実先生
・獨協医科大学 総合診療医学・総合診療科教授の志水太郎先生
・国際医療福祉大学三田病院 救急部部長の志賀隆先生

これからの時代、病院全体として患者、紹介元、求職者、そして地域内外から「医療人」として信頼されるための病院広報・コミュニケーション戦略が求められます。
 病院組織が「医療人」として社会から信頼されるためには、単に「良い医療」を提供するだけではなく、病院広報・コミュニケーション戦略が必要です 。院内外のコミュニケーション戦略を通じて患者、医療職から真に信頼される病院づくりを目指す病院関係者の皆様、 病院マーケティングサミットJAPAN2019にぜひご参加ください 。自院を生き残らせるために必要な病院マーケティングの”鍵”を皆様と一緒に学べる機会となれば幸いです。

東京初開催!病院マーケティングサミットJAPAN2019

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