医師の要望を徹底的に傾聴
― 採用業務は、どなたが、どのような流れで行っているのですか。
池田幸一氏(総合犬山中央病院 理事・事務管理部次長)
問合せを受けてから面接を経て採用に至るまで全過程を私が受けもっています。実働部隊は私と部下の係長1人を合わせた計2人体制で、理事長の意向を直接確認しながら医師採用にかかわっています。
問合せが入ったら、直ちに理事長へ報告するとともに、全国どこへでも出向き、医師の要望をお聴きし、働き方や年収を含む条件などをオーダーメードの感覚で詰めていきます。その際、スピーディに動くことと要望に的確に応えることを心がけています。最後に理事長と副院長と私の3人で面接し、採用の合否を決定します。
入職経路は人材紹介会社経由が多いですね。現在、医師の採用だけで4~5社とやりとりし、現時点では12~13人分の案件を抱えています。
医師の要望を、いかに病院の成長につなげられるか
―採用を決める基準は何ですか。
池田理事
その医師が当院で何をしたいのか、その医師の入職によって当院がどう前進できるかといった点を採用の判断軸にしています。
ヨットというのは向かい風の中でも前進しますよね。「医師の要望は風、当院はヨット」と、私は捉えているんです。さまざまな方向から吹いてくる風を上手く帆で受けながら舟を前進させるのが私の仕事です。問合せのあった医師全員のスキルと要望をしっかり把握し、思いを全面的に受け入れたうえで、どう関われば当院の成長へつなげていけるかフレキシブルに考えます。
このような方針で採用ができるのは、理事長が非常に柔軟で、医師に対する理解も深いからです。理事長は85歳ですが現在も臨床診療に当たっており、現場で働く医師の気持ちをよく理解しています。私も医事課出身のため多少は診療の流れが分かりますから、現場の医師の思いを聞けば、「では、これが必要になるな」と先を読むことができます。理事長と私は、もともと考え方が似ているのですが、さらに日頃から密にコミュニケーションをとって情報の共有をしており、それが採用業務のスピードアップへつながっているのではないかと思います。
採用が決まって入職していただいたあとも、私には「医師が活躍して頂く支援」という大切な仕事があります。その医師が当院で何を自らの強みとしてどのような医療を実践できるかを検討し、それを支援する仕事です。
医師の採用と支援を通して最良の医療を地域へ提供する職務に就いていることを、とても幸せに思っています。
● 採用担当者が医師の要望を徹底的に聴き、どう関われば自院の成長へつなげていけるかを見きわめる
● 密なコミュニケーションによって、理事長と採用担当者が情報を共有する
● スピーディに動き、要望に的確に応える
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