医療事務Oさん
30代前半 女性 病院経験11年
大学卒業後、現在の病院に入職し、医事課と医師事務作業補助者として働き続けてきました。最近、離職者が続いており、理由を聞くと「給与が低く、昇給も見込めないから」という声が多いようでした。新卒で現職に入ったため、今まであまり気にしていなかったのですが、そうした話を聞いて、現年収が相場よりも低いのか気になり始めました。
せっかく病院で長く働いてきて経験やスキルも身についたので、このまま定年まで今の職場で働いていきたいと考えています。年齢や役職などで、年収の目安があれば教えていただきたいと思い今回相談させていただきました。
【回答者】雪竹舞子(事務職専門コンサルタント)
ご相談ありがとうございます。それでは年収相場の考え方について、ご説明させていただきます。
弊社でお預かりしている求人を参考にすると、病院事務職の給与は、年代別では20代で250~300万円程度、30代は300~350万円程度です。ただし、役職につくとぐっと額が上がるため、30代で400~450万円を越える場合もあるでしょう。注意すべきポイントとしては、年収に影響する大切な要素として、年齢のほかに医療機関での経験年数がある、という点です。たとえば、年齢が40歳でも医療機関での就業が未経験ですと、専門学校や大学を卒業してすぐに医療機関に就業した20代の方と同程度の給与提示になるケースもあります。
40代以降は職種や役職に応じて変動します。また、医療事務として10~20年の長期勤務をしているから大幅に昇給する、ということは考えにくいです。勤続年数に応じて徐々に400~450万円程度まで上がっていく、というイメージでしょうか。
ただし例外として、公立病院などで公務員として勤務されている方は、所属年数と給与額が連動していますから、長期で勤続すればするほど年収は上がります。
役職ごとの年収相場については、以下の表をご参考ください。
役職 | 年収相場 |
---|---|
病院事務長 | 700~1,000万円 |
病院事務長候補 | 500~800万円 |
病院医事課長 | 500~700万円 |
クリニック事務長 | 600~800万円 |
いずれの役職も、相場には200~300万円程度、開きがあります。これは経験年数や実績、法人が求めるスキルを有しているか、法人の採用意欲の高さ(急募の程度)などにより変動するためです。また、病院運営に欠かせないポストで急な欠員が出た場合など、なるべく早く採用するため高額提示の募集が出るケースもあります。
Kさんは30代前半とのことですので、現年収が300~350万円を下回っているようであれば、より好条件の医療機関に転職できる可能性があります。また、現職での業務内容によっては、主任や係長などの待遇での入職も可能かもしれません。その場合は多少の年収アップも見込めます。
一方で、現職でキャリアアップされ役職がつけば、年収が一気に増額する場合もあるでしょう。現職での昇格の可能性や昇格した場合の年収、また勤務時間や働きやすさといった条件も鑑みて、総合的にご検討いただくのがいいかと思います。
検討のために、他院の求人と諸条件を比較してみるのもおすすめです。エムスリーキャリアでは病院事務職求人.comというサイトを運営しておりますので、「どのような求人がどのくらいの年収なのか見てみたい」という際には、ぜひご活用ください。もし気になる求人などあれば、より詳細な情報などもご提供可能ですのでお気軽にお問い合わせいただければ幸いです。
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エムスリーキャリア株式会社 経営支援事業部 事務職紹介グループ
大学卒業後、企業にてBtoC営業とセミナー企画・運営に従事。兄弟が先天性の疾患を抱えていたことから、思い入れの強かった医療業界に飛び込むべく、エムスリーキャリアに入社。現在は、前職での営業経験も活かしながら「顧客ファースト」を信念にキャリアコンサルタントとして活動中。趣味はミュージカル・舞台鑑賞で、月1回の鑑賞を欠かさない。
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