亀田の事例に考える、持続的成長を遂げる医療機関の条件-医療法人鉄蕉会 亀田クリニック【後編】

医療機関が成長し続けるためには?

kameda_8-決してアクセスが良い場所ではないにもかかわらず、外来患者が国内外から1日3000人も訪れる亀田メディカルセンターを一つの目標にしている医療機関もあるのではないかと思います。こうした成長を遂げられた要因は、何だと思いますか。

もちろん病院経営に即効薬はありません。ただ、組織を成長させるために大切なのは、高い志を持ち続けることだと考えています。目標が低いと、それ以上にはなりませんから。

そしてもう一つ、組織を継続させていくために大切なことは、良い心を持つこと。人間、どうしても嘘をついて楽をしたくなってしまうことがあるかもしれません。でも、たとえ嫌なことがあっても、誠実に頑張り続けなければなりません。

高い志を持って、チャレンジをするときに、立ち戻れるビジョンをしっかりと持つこと。その上で、良い心を持ってそのビジョンに対して誠実であること。この2つがあるからこそ、組織は継続的に成長できるのだと考えています。

-病院組織がうまく回っていくために、経営者に求められることはなんだと思いますか。

組織として向かうべきビジョンを示すこと。その上で、スタッフが一番力を発揮できるプラットフォームをつくることではないでしょうか。

「『山に登るぞ』では不十分」―経営者はどうビジョンを語るべきか

組織として何かを成し遂げたいとき、たとえば「山に登るぞ」とだけ漠然と指示しても、指示された側は迷い人になってしまいます。そうではなくて、経営者は「“この”山に登るぞ」と言わなければならない。すると、能力のあるスタッフは自分で考えて、まっすぐ登ろうとしたり、独自のルートを見つけ出したり、得意な登り方で山を制覇しようとします。

登頂すべき「この山」の共通認識を示すこと。それは、この社会環境の中で鉄蕉会という組織がどういう方向を向いて、何を目指しているのか、明確に示すということです。

経営者がビジョンを示しただけで、組織内のそれぞれの人たちが自分で考えて、最大限の力を発揮できるなら、それは最高に良いことだと思います。しかし実際には、考え方や能力のベクトルが違う人同士が同じ組織内で働くと、互いがどんなに優秀だとしても、衝突は起こりえます。

kameda_9そうした時、経営者として我々は規制をかけて妥協させるのではなく、スタッフがやりたいことを可能な限りやってもらう方法を考えて、調整します。衝突が起こっているのなら、時にはスタッフ同士の間に立って仲裁役も買って出ます。

ベクトルの全く異なるスタッフがいても、それぞれを尊重する。すると時には、経営者が板挟みになって批判を受けることもあるかもしれません。でも、それでもいいと思います。ゴールさえ間違っていなければ、それぞれが最大限の力を発揮することこそ、組織全体の利益を大きくするのですから。(了)

関連記事

  1. 「院長の右腕」を探す前にお読みください―溝口博重の「院長、それじゃみんなは動きません」vol.1”

コメント

コメントをお待ちしております

HTMLタグはご利用いただけません。

スパム対策のため、日本語が含まれない場合は投稿されません。ご注意ください。

医師の働き方改革

病院経営事例集アンケート

病院・クリニックの事務職求人

病院経営事例集について

病院経営事例集は、実際の成功事例から医療経営・病院経営改善のノウハウを学ぶ、医療機関の経営層・医療従事者のための情報ポータルサイトです。