これまで診療報酬改定について取り上げてきましたが、疑義解釈1が3月末に公表され、施設基準の届出も4月16日が期限ということで、各病院ともかなり忙しい時期を迎えているのではないでしょうか。
ただし、今回の改定では施設基準の届出で省力化が図られ、かなりの負担軽減となっています。そのため、届出担当者はすでに周知のことと思いますが、各地の厚生局ホームページをしっかり確認するよう心がける必要があります。具体的には、次のような点です。
問)施設基準で届け出た従事者の変更は届出が必要ですか。
答)原則不要です(平成30年4月から変更になりました)。
ただし、神経学的検査、画像診断管理加算1及び2、麻酔管理料(Ⅰ)、歯科矯正診断料並びに顎口腔機能診断料について届け出ている医師に変更があった場合には、その都度届出が必要です。
また、届出にあたり使用する機器を届け出ている施設基準、CT撮影及びMRI撮影について届け出ている撮影に使用する機器に変更があった場合にはその都度届出が必要です。
(関東信越厚生局 東京事務所より引用)
届出時、直近3カ月の集計値を求められる加算に注意
では、施設基準の届出に対して、筆者が気にしている部分を取り上げてみましょう。
これは今回に限ったことではありませんが、後発医薬品使用体制加算のように、届出書に記載する数値の算出において、医薬品使用状況を「届出時の直近3カ月(1カ月ごと及び3カ月間の合計)」として複数項目の集計が求められるものがあります。
このあたりは、届出経験者でないとわからないことですが、例えば今回の4月16日届出とした場合、直近3か月の数値となれば、3月分の数値も求められます。それが保険請求情報に関連した使用実績となれば、レセプト情報からの算出も考えられるので、集計作業は往々にして保険請求が終わった4月10日以降になるでしょう。
この届出作業は、日頃の医事統計業務に絡み、医事システムの集計処理に併せて行うこともあると思います。よって、届出前の4月の2週目は極めて忙しい1週間になります。
さらに加速する後発医薬品の使用促進
さて、後発医薬品使用体制加算を例にとって解説してきました。この加算は今回の改定でDPC対象病院に対して機能評価係数IIから、機能評価係数Iへの置き換えが行われています。これは読者の皆さんもよくご存知かと思いますが、旧e算定要件にあった「後発医薬品使用体制加算の算定対象は、DPC対象病棟に入院している患者を除く」という部分が改定によって削除され、DPC制度への対応が整ったことになります。
同時に、この後発医薬品使用体制加算は、求められる使用割合が85%以上(加算1の場合)にアップし、非常に厳しくなった印象を与えています。
一方、収益性についてはあまり分析されていないかもしれませんが、筆者が注目しているのは、むしろDPC対象病院でかなりの減収となった点です(筆者の医療機関では、月数百万円の収入が数十万円まで落ちました)。経済的インセンティブのある政策誘導から一定の成果が得られ、体制整備が終わったということなのでしょう。
次回以降は各改定項目の算定と施設基準、そして疑義解釈と運用について解説を行ってまいります。
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国立研究開発法人 国立国際医療研究センター医事管理課長/診療情報管理室長、国際医療福祉大学院 診療情報管理学修士。1987年、財団法人癌研究会附属病院に入職後、大学病院や民間病院グループを経て現職。その間、診療情報管理士、診療情報管理士指導者などを取得。現在、日本診療情報管理士会副会長、日本診療情報管理学会理事、医師事務作業補助者コース小委員会 委員長などを務める。
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