教えて!在支診の採用活動:訪問診療医を取り巻くマーケット事情

【 質問 】外来メインの診療所 事務長Aさん

当院はこれから訪問診療部門を立ち上げようとしていますが、
現在、訪問診療医を募集している医療機関はどのくらいあるのでしょうか?

【 回答 】 青木良介(クリニック経営支援コンサルタント)

弊社エムスリーキャリアのデータベースを見ると、現在、訪問診療医を募集している医療機関は全求人の10%程度です。

10%という数字をご覧になって、どうお思いになりますでしょうか?この数字だけ見ると、競合は少なく採用はできそうに見えるかもしれませんが実態は異なります。

まず押さえなければならないのが、訪問診療を希望する医師の割合です。これは転職を希望する医師のうち、わずか1%未満(エムスリーキャリア調べ)。そのため、訪問診療医を採用するには“顕在層”だけでなく、“潜在層”にもアプローチする必要があります。つまり、訪問診療を強く希望する医師だけでなく、今は外来・病棟勤務だけど「訪問診療に少し興味がある」くらいの医師も対象に採用活動をしなければなりません。その場合、競合相手は在宅療養支援診療所(在支診)だけではなく、すべての医療機関となります。

現在、全国にある常勤医師の求人数は推計で約56,000件、紹介会社を通じて転職する医師は約4,500名程度。競合相手が多数いる中で医師を確保するには、採用したい医師像(ターゲット)を明確にし、そのターゲットに自院を選んでもらうための差別化をすることが必須となります。

差別化のポイントは給与や勤務日数、オンコールの有無等の条件だけではありません。医療機関の皆様の日々の診療方針や今後のビジョンが、差別化の大きなポイントになるはずです。

青木良介(あおき・りょうすけ)

大学を卒業後、外資系医療機器メーカーで営業・業務改善に従事し、300床規模以上の医療機関を中心に支援する。その後、エムスリーキャリアに入社し、医療コンサルティング業務に従事。主に、医療過疎地における医療機関の採用をサポート。現在は在宅医療専門チームを立ち上げ、都市部の在宅療養支援診療所を対象に、訪問診療医を対象とした採用支援などに取り組む。

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