9年ぶりの介護報酬マイナス改定 医療機関が押さえるべき4つのこと

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著者:木村憲洋(高崎健康福祉大学健康福祉学部医療福祉情報学科准教授)

2015年度、9年ぶりのマイナス改定となった介護報酬。医療機関にはどんな影響があるのでしょうか。押さえておくべきポイントを解説します。

医療機関への影響 4つのポイント

今回は、以下の4つのポイントをめぐって、2015年度介護報酬改定が医療機関にどんな影響をもたらすか、取り上げたいと思います。

  1. 介護報酬の大幅な引き下げ
  2. 地域包括ケアシステムへの対応
  3. 看取り
  4. 介護職員の処遇改善

(1)介護報酬の大幅な引き下げ

前回解説したように、2015年の介護報酬改定は全体でマイナス2.27%となりました。ただ、マイナス改定による影響の切実さは、施設系・在宅系で多少異なります。

a1130_000410特別養護老人ホームや介護老人保健施設(老健)などの介護施設については、単価が下げられるため収入が大幅に下がります。医療機関にも影響が大きいと思われる老健の引き下げの詳細を見てみると、在宅機能強化型老健の方が、通常型老健よりも引き下げ幅が少ない結果になっています。今後、さらに在宅機能強化型への移行が進んでいくことが予想され、「在宅復帰支援施設」としての老健の役割が一層求められるようになっていくと思われます。

一方、在宅系の介護サービスについては、利用者の区分支給限度基準額が下がっていないため、提供するサービスの数を増やすことで売上を維持することが可能となっています。

(2)地域包括ケアシステムへの対応

今後ますます進む高齢化によって、医療機関を受診する患者層と、介護サービス利用者層は重なっていくことが予想されます。そのため、医療機関と介護事業所との連携が今以上に重要になっていくことは、間違いありません。

c47605cefcee4633f60fd85908cf025d_s医療機関が介護事業所と連携する秘訣は、介護サービスに関する理解です。たとえば「小規模多機能型居宅介護」と言われた時に、それがどんな人に向けたサービスで、どんな専門職が働いているのか理解しておく必要があります。介護報酬も理解できれば、介護事業者の収益構造をつかむことができ、最適な連携の取り方をイメージできるようになると思います。このように医療機関の地域医療連携室は、介護業界の動向についても理解しておくべきでしょう。

(3)看取り

dc7ca2120ecde335cdddc1d3240406d0_s介護報酬改定によって介護現場での看取り対応への強化・充実が図られれば、これまで医療機関で看取っていた患者が介護施設や在宅で看取られていくようになると推測されます。

病院への入院患者数も減少していくこととなるでしょう。

 

(4)介護職員の処遇改善

前回解説したように、今回の介護報酬マイナス改定を乗り越えるための方策の一つが、介護職員の処遇改善です。
これによって介護事業所における介護職員の待遇が良くなれば、地域によっては病院の看護助手・介護職員が介護事業所へと転職してしまう可能性があり、病院でこれらの職種の補充が難しくなることも考えられます。

医療と介護の連携―今後も要チェック

3f23b368d43401dcd09378f096685e06_s2014年度の診療報酬改定で医療機関の入院医療に対して厳しい改定が行なわれるようになり、介護事業者との連携や介護事業への参入を検討し始めた医療機関も多いのではないでしょうか。

これから国が医療と介護の連携を進めていくほど、診療報酬・介護報酬双方の理解が必要になるのは間違いありません。今後も通知などを通じて微修正が図られていくかもしれませんが、その動向に注目していく必要があります。

木村憲洋(きむら・のりひろ)
武蔵工業大学工学部機械工学科卒。国立医療・病院管理研究所病院管理専攻科・研究科修了。神尾記念病院などを経て、高崎健康福祉大学健康福祉学部医療福祉情報学科准教授。
著書に『病院のしくみ』(日本実業出版社)、『医療費のしくみ』(同)など。

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