地域包括ケア病棟、はや曲がり角―量的整備は一段落?―医療ニュースの背景が分かる

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地域包括ケア病棟、はや曲がり角―量的整備は一段落?―医療ニュースの背景が分かる
医療介護CBnews記者 兼松昭夫

地域包括ケア病棟入院料と地域包括ケア入院医療管理料が、2018年4月の診療報酬改定で大きく見直されそうです。厚生労働省は、急性期病棟を退院した患者を受け入れているのか、それとも在宅療養中に容体が急変した患者を受け入れているのかなどによって評価にめりはりを付けたい考えです。

全国ベースで将来的に大幅な需要増が見込まれる回復期機能を想定した報酬なだけに、国はこれまで、これらの報酬の算定要件を緩めるなど量的な側面にウエートを置いて整備を後押ししてきました。ここへきて、なぜ大幅な見直しなのでしょうか。

病床の機能分化が狙い

地域包括ケア病棟入院料と入院医療管理料は2014年度の診療報酬改定に伴って新設されました。それぞれ2段階に点数が設定され、入院料は病棟単位、入院医療管理料は病室単位でどちらも最高2558点(60日まで)を算定できます。

これらの報酬をつくった大きな狙いが病床の機能分化を促すことでした。この時に厚労省が挙げた役割は、▽高度急性期や急性期の治療は一段落したものの、そのまま在宅復帰するのは困難な患者の受け入れ(ポストアキュート)▽在宅療養中に容体が悪化した患者の緊急受け入れ(サブアキュート)▽これらの在宅復帰・生活支援―の3つ。

容体が不安定な患者に濃密な急性期医療を提供する病院と、長期療養が必要な患者を受け入れる慢性期の病院、在宅医療などとを橋渡しし、なおかつ軽症な急性期の患者の治療もカバーするようなイメージでしょうか。ただ、これらの役割ごとに点数設定の違いはなく、これまでは一律に評価されてきました。

厚生労働省の資料から抜粋

創設から2年半で5.2万床

しかし、創設から4年後となる2018年4月の診療報酬改定で、これらの報酬が転機を迎えそうです。中央社会保険医療協議会(中医協)の5月17日の総会。厚労省保険局の迫井正深・医療課長は、地域包括ケア病棟入院料と入院医療管理料を念頭に、「機能に応じた適切な評価の在り方についてどのように考えるか」と議論を促しました。

全国ベースでこれから先、大幅な需要増が見込まれる回復期機能を想定しているとあって、2016年度の診療報酬改定でこれらの報酬の包括対象から手術や麻酔の費用を外すなど、国は地域包括ケア病棟(病室)の整備を促してきました。

そのかいあってか、届け出病床は順調に増えています。厚労省によると、創設半年後の2014年10月時点が計2万4645床だったのに対し、わずか2年後には5万2492床。2000年に創設された回復期リハビリテーション病棟入院料の7万5433床(2015年6月末現在)と比べると、かなりハイペースで整備されています。

中医協「入院医療等の調査・評価分科会」の資料から抜粋

国の思惑通りといえそうですが、5月17日の中医協・総会で幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、迫井医療課長の呼び掛けに応える形で「急性期からの受け入れや在宅・生活復帰支援、緊急時の受け入れといった3つの機能を発揮しているのか、検証が必要」と述べました。

幸野委員は、3つの役割のどれかに偏って整備が進んでいないかというのです。地域包括ケア病棟(病室)による患者の受け入れ状況は、中医協のこれまでの議論の大きな焦点です。

軸足はポストアキュートに

地域包括ケア病棟(病室)による患者の受け入れはどんな実態なのか、中医協の「入院医療等の調査・評価分科会」が行った調査や、厚労省の分析結果を見てみましょう。

まず、地域包括ケア病棟(病室)の患者がもともとどこにいたかの分析です。この点は、全国1777病院のDPCデータ(2016年10-12月分)を使い厚労省が集計しています。それによると、全体の45%に当たる792病院では、地域包括ケア病棟(病室)の患者の9割超が「院内からの転棟」で占められました。

中医協「入院医療等の調査・評価分科会」の資料から抜粋

一方、分科会が行った調査の結果によると、回答した137病院のうち48病院(35%)では、入院前に「自宅等」(自宅や介護施設など)にいた患者の割合が全患者の1割にも届きませんでした。

分科会の調査に回答した病院が少ないことが気になりますが、これらの数字を見る限り、受け入れに関しては、在宅患者(サブアキュート)よりも、特に院内のポストアキュートの患者への対応に軸足を置く病院が多いようです。

中医協「入院医療等の調査・評価分科会」の資料から抜粋

量的な整備から次の段階へ

さらに分科会では、入棟(入室)前にいた場所によって患者の状態がどのように違うかも調べました。その結果、急性期の治療を行っていて退院の見通しが立たない患者の割合は、院内からの転棟が8.6%、他院からの転院が3.2%。これに対し、「自宅等」では26.7%と断トツです。容体悪化のリスクがあり、退院の見通しが立たない患者の割合も「自宅等」(31.9%)が最高で、サブアキュートの方が重症な患者が多いことを示唆する結果です。

中医協「入院医療等の調査・評価分科会」の資料から抜粋

一方、分科会が9月に固めた中間取りまとめでは、転棟と転院の患者の間に「医学的な理由」や疾患などに「明らかな違いはなかった」という指摘の後に、転棟と転院患者の受け入れでは、さまざまな点で異なることに留意すべきだとの文言が最終的に追加されました。引き続き中医協では、▽ポストアキュートとサブアキュート▽ポストアキュートのうち、転棟と転院―の受け入れに対する評価をどう差別化するかが論点になりそうです。

創設当初は手厚い点数設定で量的な整備を促して、それが一段落したらサービスの質担保に路線変更し、やがて制度としての役割を終えたと判断したら評価を廃止するのが厚労行政の一般的な流れだといわれます。

地域包括ケア病棟(病室)は2018年春の診療報酬改定で新たな段階を迎えそうです。

提供:医療介護CBnews

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