4年遅れの臨床医が大学でスピード出世して得たもの―医師への選択、医師の選択【第19回】

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著者:野末睦(あい太田クリニック院長)

 
質問:大学のスタッフになって何を学びますか?
※編注:質問に対する「私的結論」を次回掲載します。

大学院から消化器外科グループの後期研修医1年目に戻り、4年下の人たちと研修を始めた時は、自分の臨床上の無力さに途方にくれました。

多忙な後期研修と初マーゲン

同級生は後期研修を修了して、近隣の関連病院でスタッフとしてどんな手術でもできるようになっていたので、どうしても比較してしまっていたのです。それでも立ち止まっていることは許されません。また専門の研修のスタートですから、周囲の期待も大きく、実際やらなければならないこともとてもたくさんありました。消化器外科医が身につけなければいけない検査の技術だけでも、超音波検査、内視鏡検査、消化管造影検査などありましたが、それらの基礎を1年間で全部身につけるのです。手術の技術に関しても同様です。3年目の最後の頃には「初マーゲン」と言って、胃がんの手術を初めて術者として経験させてもらい、無事に終わったあとは、消化器外科グループのみなさんにお寿司をとってお礼のご馳走をするという習わしがありました。そして皆さんから「おめでとう」と言ってもらうのです。消化器外科医として、中学校の入学を果たしたといったところでしょうか。

“指導される手術”の3倍価値があった若手への指導

その後1年間、関連病院で研修して、5年目はまた大学病院の研修に戻りました。そしてその途中(1月)で筑波大学の講師になりました。筑波大学医学専門学群は始まったばかりだったので、人手不足もあって、とても早い講師就任でした。また他の大学であった助手という身分もなかったので、いきなりの講師就任です。臨床経験がわずか5年弱だったにもかかわらず、講師になると若手の手術を指導しなければなりません。もちろん、虫垂切除術、鼠径ヘルニア根治術、胆のう摘出術などの比較的小さい手術の前立でしたが、自分自身の経験も十分でなかったので、プレッシャーは相当なものでした。

ただ、このように若手を指導しながら行った手術は、先輩医師の指導の下で自分自身が行った手術の3倍くらいの経験価値があったように感じています。とにかく患者さんに害がないように手術を成功させなければならないので、細心の注意を払います。また若手の力量を見ながら、どこまでやらせても大丈夫かを判断しなければなりません。それには、その手術の場面がどのくらい難しいかも判断しなければなりません。判断力、決断力、段取り力などが試されるのです。

≫次回に続きます≪

野末睦(のずえ・むつみ)

初期研修医が優先すべきこと1―医師への選択、医師の選択(野末睦)筑波大学医学専門学群卒。外科、創傷ケア、総合診療などの分野で臨床医として活動。約12年間にわたって庄内余目病院院長を務め、2014年10月からあい太田クリニック(群馬県太田市)院長。
著書に『外反母趾や胼胝、水虫を軽く見てはいませんか!』(オフィス蔵)『こんなふうに臨床研修病院を選んでみよう!楽しく、豊かな、キャリアを見据えて』(Kindle版)『院長のファーストステップ』(同)など。

 

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