院内に「日本一」の分野をつくることがもたらすもの―後編―医師への選択、医師の選択【第40回】

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著者:野末睦(あい太田クリニック院長)

 
この教育関係のセミナーは、ますます発展を遂げ、近年では「医学生、看護学生、薬学生が共に学ぶインタラクティヴセミナーin余目」と銘打って、医学生はもとより、看護学生、そして6年制に移行した薬学部の変化も採り入れて薬学生も参加者として受け入れるようになりました。このセミナーには、大学の先生方も見学に来るようになり、まさに全国一の内容となってきています。

学生向けセミナーが職員意識を変える

このセミナーを、庄内余目病院で開催することによって、職員の意識も変わってきました。それまで職員たちは、「医師も看護師も足りなくても、困っている患者さんがいるなら何とか救急車を断らずに、最低限でもいいから医療を提供していきたい」という熱い志はあるものの、実際に提供できる医療レベルには限界があり、モチベーションも下りがちでした。それがセミナーの成功とともに、自分たちにも、日本のトップレベルのことができるんだと思い始めたのです。

セミナーの中でのケースシミュレーションでは、庄内余目病院の看護師や薬剤師が、セミナーを主導する斎藤中哉先生とともに、講師役を務めるようになりました。シナリオは齋藤先生が提供してくれるとはいうものの、10時間以上にわたって、学生さんの質問に答え、ディスカッションの流れをコントロールし、学生間の理解の差を埋め、皆が楽しめるものにしていくことを、毎回毎回実行していくのです。職員たちはセミナーが終了するたびに、参加した学生さんとともに、大きな達成感を味わいます。そして、大きな進歩を遂げるのです。こうした様子を見て、日本一の分野をつくることは、その病院の進歩にとって不可欠なことだと思っています。

参考までに、セミナー参加者の感想文の一部を引用しておきます。

引用―――また、講師の齋藤先生を始め余目病院のスタッフの方々には素晴らしい指導、サポートをしていただきました。初日からすぐに緊張がほぐれ、セミナーに入り込むことができました。これだけの大人数の学生を受け入れ、指導していくためには、わたし達には想像できない大変な準備が必要で、当日もご迷惑をかけてしまったと思います。しかし全てのスタッフの方が優しく対応してくれたことで、質問をしていいのかということを考えることなく集中することができました。4日間本当にありがとうございました。最高の経験をすることができましたが、終わってみるとここで学んだことは医療従事者 全員が身に付けるべきことだと改めて思います。これから毎年続いていくことでいつかこのセミナーの内容が大学の必修のカリキュラムになる日が来るのではないかと思っています。ぜひまた違う形でも参加したいと思っています。――引用終了

「日本一の分野をつくると、院内にどんな効果がもたらされるでしょうか?」への私的結論

病院内に日本一、地域一の分野を作り育てていくことは必須で、それが職員全員のモチベーションアップ、進歩につながります。

≫次回に続きます≪

野末睦(のずえ・むつみ)

初期研修医が優先すべきこと2―医師への選択、医師の選択(野末睦)筑波大学医学専門学群卒。外科、創傷ケア、総合診療などの分野で臨床医として活動。約12年間にわたって庄内余目病院院長を務め、2014年10月からあい太田クリニック(群馬県太田市)院長。
著書に『外反母趾や胼胝、水虫を軽く見てはいませんか!』(オフィス蔵)『こんなふうに臨床研修病院を選んでみよう!楽しく、豊かな、キャリアを見据えて』(Kindle版)『院長のファーストステップ』(同)など。

 

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