「デスクワークだけで完結する仕事はない」経営の核になる事務部門のつくり方―浜脇整形外科病院(後編)

管理部門を充実させ、西日本屈指の整形外科専門病院と評されるまでに成長した浜脇整形外科病院(広島県広島市、160床)。事務職が経営の核になるためにどんな教育制度を取り入れているのか、前回に続き副理事長の浜脇澄伊氏に伺いました。

多くの病院で、事務職が足りない

hamawakiseikeigeka―貴院の成功要因は、何だと思いますか。
医師や看護師のように事務職は、法定人員が定まっていないため、最小限の人数に抑えようとする病院も多い。しかし、病院の未来を見据えると、戦略の実動部隊になる管理部門には一定の規模が必要だと思います。

事務職の適正人数は病院によって異なります。たとえ病床数は同じであっても、医療ステージや外来患者、手術数など、自院のおかれた環境を踏まえて適正な人員配置を探ることが第一歩ではないでしょうか。

―貴院の場合、事務職の採用自体はどのように推進したのですか。
前提として、わたしが着任した1996年当時は、1人の事務職員が総務・経理など、広範な業務を抱えこんでおり、非常にリスキーな状況でした。
「この人が倒れたら職員に給料が出せない」―こんな状況は健全ではありません。まずは総務・経理・営繕課など、一般企業では当たり前の部門を揃えなければならないという危機感から、事務職の採用が進められました。

ただ、実際の採用はそう楽ではありませんでした。そもそも病院の事務職として働くという発想を持っている方が非常に少なかったです。最初は、知人や当院とつながりのあった業者の方など、顔の見えるところから地道にスカウトを続けました。入職してくれた方々は、毎年経営テーマに果敢にチャレンジしてくれたので、その実践の中で腕を磨いていったように思います。

ヘッドハントされるような人材に

_MG_2549―事務職の育成において、意識していることはありますか。
当院の事務職は基本的に、医事・営繕・総務・経営企画課など、一定期間は各部署をローテーションするよう推奨しています。また、医事課以外の職員にも、病院の収益構造を理解してもらうために医療事務の資格を入職時に取得してもらっています。

幅広い経験を積むことで、自分の仕事を俯瞰して見られるようになり、院内での人脈も広がります。病院の全体像を踏まえて、院内の各部署と建設的な議論ができてはじめて、事務職には価値があると思っています。

―具体的に教えていただけますか。
たとえばDPCの疾病別原価計算をしたとしても、それだけでは何も変わりませんよね。現状を把握し、「この診療をしたとしても、感染症を起こすと収益はこのくらいマイナスになります」といった具合に診療現場に提案し、納得してもらえてはじめて経営的インパクトが出せる。「デスクワークだけで完結する仕事はない」というのがわたしの持論です。

事務職が現場とつながりやすいよう、当院の管理部門には看護部長や看護師長の机も配置されていますし、医局も隣接しています。院内の委員会にも管理部門から必ず1名は参加するようにしており、管理部門と現場がつながりやすい環境をつくっています。

事務職に限らず、当院の職員には、よその病院からヘッドハントされるような人財になって欲しい。「履歴書に“浜脇整形外科病院”と書いてあるから、この人は優秀だろう」と思ってもらえるようになれたら、理想的です。

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