【第22回】事務長、最近、誰かに“影響”を与えましたか?―事務長の悩みは99%解決できる

この記事は約4分6秒で読めます

野々下みどり(ののした・みどり)

株式会社LHEメディカルコンサルティング代表取締役。熊本大学法学部を卒業後、約20年間にわたり社会医療法人社団シマダ 嶋田病院に勤続。その間、医事課長、診療情報管理課長、情報システム課長、診療支援部長、企画広報部長を歴任。2018年、医療福祉の経営コンサルタントとして起業し、現職。医療経営・管理学修士(九州大学大学院医学系学府)、診療情報管理士指導者の資格を持つほか、日本診療情報管理士会評議員などを務める。

LHEメディカルコンサルティングの公式ウェブサイトはこちら

サクラサク~スタートの季節

暖かい日が続き、桜の開花宣言もあちらこちらで出されています。このコラムが公開される頃には、満開の場所も多いことでしょう。この季節は卒業、入学、入社など、終わりとスタートを意識する時期ですね。

私は2020年度、専門学校で最終学年の学生の副担任をしていたため、先日、卒業式に出席しました。保護者はオンラインで参加するというスタイル。卒業という旅立ちの晴れ舞台に、思い思いに着飾った学生たちはとても華やかで眩しく、私は彼らの初めて見る袴姿やスーツ姿に感激して、思わず涙しそうになりました。式では学生一人一人の名前を読み上げたのですが、この子たちの未来が明るく輝くよう祈るばかりでした。

事務長の職場でも年度替わりや、新しい職員を迎える準備で忙しくされているのではないでしょうか。加えて医療従事者への新型コロナウイルス感染症ワクチンの予防接種も始まり、その対応で息つく暇もないかもしれません。それでも新しい季節のスタートに備えて、ぜひ桜を見て癒されるような時間もとってくださいね。

ご飯や味噌汁の湯気に泣いたことはありますか?

私は今、福祉施設の立ち上げの仕事に注力しています。春は毎年スタートを感じさせる季節ですが、今年はまさにそのサービスの利用者さんたちが、新しい生活、新しい人生をスタートさせるところに立ち会っています。

最近、「生きる、命があるということは大変なことなのだ」と改めて考えさせられています。「大変」という言葉は、ネガティブな印象があり、きつい、困難というようなイメージが浮かぶため、あまり使わないように気を付けているのですが、その言葉しか上手い表現が見つかりません。

福祉サービスの利用者さんが食事のあと、「手作りのごはん、久しぶりに食べました」と言うので、「ん?」と聞き返すと、「自分も母も障がいがあり、ごはんを作るのも困難でした」と話されました。

私は学生の頃など、自分の母親に対して「え、おかず今日これだけ?」などと感謝はおろか文句を言うこともありました。利用者さん、そしてその家族、関係者の方々と関わる中で、これまで日常だと思っていた「朝起きて、夜眠る、ご飯を食べる、仕事をする」と言ったようなことが、当たり前ではないということに気付かされます。

病院勤務時代、患者さんの背景より入院中の疾患、所見、それらに関するデータなどを見ることに注力していました。「現場で、患者さんの入院以外の長い生活に関わりたい」と思ったのが、独立した理由の1つでもありましたが、実際患者さんの生活に触れると、自分の無知を思い知ると同時に「しっかりしなくては」と強い意思が芽生えます。

皆さんは、お椀に盛られたご飯やみそ汁の湯気に泣いたことはありますか?

夕食時、他の利用者さんの顔を「美味しいですか」と声をかけながら覗き込むと、流を涙されていました。どうしたのかと尋ねると、この方も「久しぶりに温かい味噌汁を飲みました」と話されました。お話を伺うと、障害があることで、逃げる様に暮らしていたようです。

「あなたは何も悪くない」と言うしかない私に、その方は「太陽みたい、神様みたい」だと言いました。それは、「いつか言われたい、そんな存在になりたい」と思っていた言葉でしたが、実際思いもかけず言われると、嬉しいと思うよりも前に、「こんな私がとんでもない、そんな存在には程遠い未熟な人間なのに」と恥ずかしく申し訳ない気持ちになりました。

でも……。「もし誰かのそういう存在に一瞬でもなれたのなら、そうあり続けたい」と強く思いました。

こんな先行きも見えない時代だからこそ、誰もが一筋の希望や、明るい未来が欲しい。少しでも光が差していれば、そこを頼りに歩いていけるのかもしれません。

事務長に光のような存在の方はいらっしゃいますか。また、事務長自身は、誰かの光になっていますか。

“人に影響すること”を怖がらない

私は、子どものころ「学校の先生になりたい」と思っていました。小学校時代に強くたくましく見えた女性の先生に出会って、子どもながらに「かっこいいな」と思ったせいでしょうか。その先生が卒業式の日にくれた「志高く、あくまで高く」という言葉は、今も忘れられません。

しかし思春期を迎え中学生になると、「先生という職業は、教室にいる数十名、その家族、数えきれないほどの人々に影響する職業だ」と感じ、自分に自信が持てない私は、「自分には無理だ」と早々に諦めました。その後も、人に影響を与えるようなことは極力避けてきた(つもりな)のです。

しかし、今は「思いきり、誰かに影響したい」と思っています。私に関わった人には幸せになって欲しいし(もちろん、幸せの定義はそれぞれですが)、誰かが迷っている時は背中を押してあげたいのです。

先日ある人に「今は、人に影響を与えられるようになりたいと思っている」と言ったら、「じゃあ、みどりさんが『みどりさんみたいになりたい』と思われるような存在にならないといけませんね」と返されました。確かに、相手の人生の波を響き渡らせる人になるためには、自分で自分をそういう存在にしていかなければいけません。まだまだですが、新しい目標となりました。

そうなるには大変です。きっときつく、困難です。

でも、「大変」という文字は大きく変わると書きますね。大変な時は、大きく変わるチャンス。大きく変化する時は、強い力が必要なので、そう表現するようになったのかもしれません。

こんな時代だからこそ、何かを大きく変えられるチャンスです。これを読んでいただいている事務長も、誰かに影響を与える光のような存在に変化するときかもしれません。春は、変化にぴったりの季節ですね。

【無料】病院経営事例集メールマガジンのご登録

病院長・事務長・採用担当者におすすめ

病院経営事例集メールマガジンでは、以下の情報をお届けします。

  • 病院経営の参考になる情報
    エムスリーグループのネットワークをいかし、医療機関とのコミュニケーションを通じて得た知見をお知らせします。
  • セミナー情報
    医師採用など、病院経営に役立つ知識が学べるセミナーを定期開催しています。
[adrotate group=”9″]

関連記事

  1. 広島国際大学学生論文_CCRCを取り入れるには~広島県東広島市を事例に~
  2. 人事制度

コメント

コメントをお待ちしております

HTMLタグはご利用いただけません。

スパム対策のため、日本語が含まれない場合は投稿されません。ご注意ください。

即戦力の医師を、急いで採用したいなら

病院経営事例集について

病院経営事例集は、実際の成功事例から医療経営・病院経営改善のノウハウを学ぶ、医療機関の経営層・医療従事者のための情報ポータルサイトです。