病院事務職員の転職活動後記:転職活動を通じて得られた3つの経験

ここまで、病院業界内での転職活動をしていた際のことを振り返って書いてきましたが、今回はその後の転職活動後記になります。

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これまでの概要としては、転職活動を通じて色々考えながら、最終的には医事課への異動が提示されて、いまの病院内に残ることを決めたという結末だったのですが、少しばかりでも転職活動をしたことは、いまの部署で働く中で自分にとって貴重な経験として生きています。

具体的に、転職活動をすることで得られたものは以下の三点でした。

  1. 職務経歴書の作成を通じたこれまでの仕事の振り返り
  2. 病院業界で求められる人材像の把握
  3. 病院業界で働く理由を考えられたこと

転職活動をしてから半年以上がたった今、その振り返りとして、それぞれどのようなことが得られたのかを書いていきたいと思います。

1.職務経歴書を書いたこと

まず1つ目が、「職務経歴書」を書いたことです。新卒採用の時と異なり、中途採用には「職務経歴書」の提出が求められます。「職務経歴書」とは、

  • これまでどのような仕事内容をしてどのような成果を上げてきたのか?
  • それを通じてどのようなスキルを得ているのか?

を、履歴書よりも細かく書いてくださいというものです。

職務経歴書を書く作業を通じて、自分自身がどのような仕事に携わってどのような成果を上げてきたのかを、客観的に見つめなおすことが出来ました。また逆に、どのような経験が足りていないのかも把握することが出来ました。

「社会人には、これまでのキャリアの棚卸が大切」みたいなネット記事を見かけることがたまにありますが、「キャリアの棚卸」の具体的な方法はこの「職務経歴書を作成する」ということなのではないかと思います。

大切なのは「第三者が見ることを意識した文章を書くこと」だと思っています。「文章を書く」という作業を通じてこれまでの自分を冷静に振り返ることができますし、今後の自分にとっての記録が出来上がることになります。

なかなか自分の仕事を振り返ってまとめる機会はありませんので、転職活動を考えたことがない人でも、休日で半日くらい自分と向き合って職務経歴書を書いてみることをお勧めします。また過去に転職活動をした人は、1年に一度程度でよいと思うので、自分自身の職務経歴書をアップデートする機会を持つとよいと思っています。自分もそろそろ、今年一年で何をやったかをまとめていかないと…。

2.病院内で求められる人材像の把握

2つ目が、転職コンサルタントの方との面談や求人情報の紹介を通じて、病院内でどのような人材像が求められているのかを把握できたことです。
転職活動中にどのようなことを考えたのかは、これまでの転職活動記を見ていただければと思うのですが、自分としては

  • 病院の収入に密接に関わる分野への理解度や業務成果(具体的には、診療報酬や地域連携への精通)
  • スタッフ教育や部署内の業務改善などの、部署全体をレベルアップさせるマネジメント能力

が、病院の事務職員として働くうえで重要なのではないかと感じました。そして、いま医事課にいる中で、その人材像に近づくための仕事とは何なのか?を意識しながら働くことができています。

また転職活動を通じた情報収集の中で、「社内価値」=「市場価値」ではない、ということを知ることができたのも、転職活動を通じて得たものでした。一般的に、その会社で仕事ができる人・それなりの地位にいる人は市場価値が高いと思われがちですが、「社内価値」と「市場価値」には微妙なずれがあると思っています。

「社内価値の高い仕事」というのは、その会社特有の仕事であったりとか、うまい具合に上に忖度しながら折衷案を通していくだとか、いろいろあると思うのですが、とにかく「市場であまり評価されていない仕事がある」というのを、体感的に理解することができました。サラリーマンである以上、自分で仕事を選り好みすることはできませんが、どこに力を入れてやっていくべきなのかという強弱をつける基準を自分の中で持てるようになったことは、大きかったように思います。

3.病院業界で働く理由を考えられたこと

3つ目は、もう少し根本的なところで、なんで自分が病院業界に身を置いているのか?どのようなことに興味があるのか?という部分を考える時間を持てたことです。

新卒採用の時に思っていたことと現在の状況の比較や、自分なりに解決したい課題と現在のポジションなどなどを、人と話すうえでもう一度考えることが出来ました。

また大事だなと思ったのが、「他業界の求人情報を見る・求人コンサルタントと話す」ことです。病院と離れた業界でどのような仕事があるのかを知ることで、逆説的ですが自分が病院でやりたいことや働く理由というのを考えるきっかけになります。

ちなみに私は、「ここで働きたい!」とピンとくるような業界や仕事を見つけられなかったというのも病院業界に残った一つの理由でした。「他でやりたいことがないから今のところに残る」というのは、もしかするとキャリア論的にはあまり良くない考え方なのかもしれませんが、自分的には意外と大切なポイントでした。

最後に:よりよいキャリアの形成のために…

あんまり自己啓発的な内容を書くのは好きではないのですが、大切なのは、「たまには自分自身のキャリアと向き合う」ということなのかなと思います。

それは、ここに書いたこと以外でも、例えば友人や会社の同僚に相談したり、キャリアに関する本を読んだり、とりあえず求人サイトに登録したり、方法は様々です。
重要なのは、たまには自分自身のことを考えておくことで、いざという時に動きやすくなったり、日常でも仕事をする上での判断軸を持てるようになったりするのではないかと思っています。

今回の私の転職活動は、結果から見ると正直結構お粗末なものだったと思っています。ただ転職活動の中で自分自身のことを客観的に見つめ直し、これからどのような仕事をしていきたいのかと内省的に振り返ることができたのは、いま思えばとても大切な時間でもありました。

病院経営の重要性がますます叫ばれる今後の医療業界において、事務職が果たす役割はますます多岐にわたり、増えていくはずです。今回の転職活動記が、医療機関の中で働くみなさまのキャリア形成の一助となれば、また医療機関の外にいる方にとっては「医療機関の事務職」という仕事に興味を持つきっかけとなれば、とても嬉しく思います。

(※本記事は、「 病院で働く事務職のブログ 」2019年12月14日掲載の記事を一部編集の上、転載したものです)

【プロフィール】
病院事務職歴7年。新卒で500床規模の急性期病院の事務職員として入職後、医事課入院部門、経営企画部門、医療の品質改善部門に所属。診療報酬請求や各種窓口対応などの医事業務から、看護業務改善や病院の機能評価受審の事務局担当といった院内プロジェクトまで様々な業務に従事。現在は再び医事課入院部門に所属し、医事業務全般に加え、医事課スタッフの採用・教育、監査対応や委員会の事務局業務にも携わっている。

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病院事務職の転職活動記シリーズ一覧

(1)転職活動を始めたきっかけ
(2) 転職コンサルタントとの面談
(3)「デキる」医事課職員へのニーズの高さ(スタッフ編)
(4)「デキる」医事課スタッフへのニーズの高さ(管理職編)
(5)医事課以外の事務職員の転職市場は?
(6)転職活動を通じて考えた病院事務のキャリア
(7)企業立の医療法人との面談
(8)クリニック経営支援のコンサル会社との面接
(9)公立病院の企画室との面接
(10)転職活動を経て、病院内の医事課へ異動

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