燃え尽き症候群とは?従業員がなりやすい環境や職場が行うべき対策を紹介

ストレス社会と呼ばれる現代社会において、燃え尽き症候群になってしまう人は少なくありません。職場においては、真面目に働いていた従業員が、急に仕事ができなってしまうケースが多いため、職場にとっても損失が大きいです。
この記事では、燃え尽き症候群の特徴と、職場が行うべき対策についてご紹介します。従業員の健康管理のためにもぜひ参考にしてください。

目次

「燃え尽き症候群」とは

燃え尽き症候群は、モチベーションが高い人がやる気を失う状態です。

努力に見合った結果が出ない際や大きな目標を達成した際に陥るケースが、よく見られます。例えば、時間をかけて作った企画書が却下になった、1年など長期のプロジェクトが終了したなどが挙げられます。

燃え尽き症候群はアメリカの心理学者1980年ハーバート・フロイデンバーガーが提唱しました。
バーンアウト症候群とも呼ばれ、医学的にはうつ病の一種とされています。

「燃え尽き症候群」の症状は?

燃え尽き症候群の身体に現れる症状は以下のようなものが挙げられます。

  • 疲れやすい
  • 眠れない
  • 無気力感
  • 免疫が低下し、病気しやすくなる
  • 頭痛がする
  • 食欲の低下

症状は明確なものは少なく、なんとなくいつもより具合が悪いというような感じが続くようです。そのため、何となく体調が悪いけど病気ではないのでは、と思う人も多いです。

燃え尽き症候群には、精神的な症状もあります。
精神的な症状はMBIと呼ばれる判定ツールで診断できます。MBIでは3つの症状(情緒的消耗感・脱人格化・個人的達成感の低下)から定義されています。MBIの精度は100%ではありませんが、現時点では燃え尽き症候群の判定に最も適していると言われています。
この3つの症状の中でも、特に一番目の「情緒的消耗感」が燃え尽き症候群の中核症状となります。また、この3つ以外でも副次的な症状が起こることもあります。

この3つの症状について詳しく解説します。

情緒的消耗感

情緒的消耗感は、仕事を通じて情緒的に力を出し尽くし疲労した状態です。
情緒的という限定がついているのは、この消耗間の原因が情緒的なエネルギーの枯渇にあると考えられるからです。エネルギーが枯渇することにより、燃え尽き症候群における身体の諸症状が現れます。

脱人格化

脱人化とは非人間的な対応を取ってしまうことです。
特に看護師や介護士、教師など人を支援する仕事の人に多い症状です。

具体的には、

  • 思いやりのない行動をとる
  • 単一の対応をとってしまう
  • 相手の人権や感情を無視する
  • 相手に奇怪難解な問題を投げかける

などの症状が挙げられます。
相手の状況や感情に配慮した対応が出来なくなってしまいます。

個人的達成感の低下

情緒的消耗感や脱人格化によってやる気や仕事の質が落ちた結果、達成感を感じにくくなってしまいます。
また、症状が進行すると達成感が得られないだけではなく、絶望感や虚無感を強く感じることもあります。初期の個人的達成感の低下では以下のような心理的な症状がでます。

  • 自分にはこの仕事が向いていないのではと感じてしまう
  • 自分には仕事をやる能力がないのではと考えてしまう

個人的達成感の低下では、離職したい気持ちや仕事をしていることへの不安を感じるという症状が出ます。

「燃え尽き症候群」になりやすい人の特徴

燃え尽き症候群になりやすい人とはどんな人なのでしょうか。
アメリカの社会学者ホックシールドが燃え尽き症候群になりやすい人についてまとめています。
以下のような点が挙げられます。

  • 職務上付与された役割と自分の人格とを分けて捉えることができない人
  • 職務上の役割に伴うクライエントからの苦情を自分個人に向けられたものと捉え、思い悩んでしまう人

仕事と自分の線引きがうまくできずに必要以上に仕事のプレッシャーを背負ってしまう人に多いようです。

特に仕事で苦情を多く受ける、コールセンターやお客様窓口などはこの傾向が顕著です。仕事でのクレームで自分自身が否定されたと感じてしまう人がいるようです。このような自己と仕事の線引きが難しいことも燃え尽き症候群になりやすい要因となります。

「燃え尽き症候群」に陥る原因は?

燃え尽き症候群の要因は個人要因と環境要因に分かれます。

個人要因は、例えば仕事に熱中して頑張りすぎたときなどが該当します。特に若く、経験が少ない人は、仕事の理想が高くなってしまい、現実とギャップを感じるので、燃え尽き症候群になってしまうことが多いようです。

環境要因は、仕事で長時間労働やノルマ、身体的負担などがあるという場合です。また、職務内容と給与が見合ってない場合もやりがいを見いだせないと感じてしまいます。

環境要因については特に影響が大きいので、次の項目でまた詳しく説明します。

「燃え尽き症候群」に陥りやすい職場環境とは?

「燃え尽き症候群」に陥りやすい職場環境の具体的な特徴の一例をみていきましょう。

関連性の低い仕事に関わることを強要する

関連性の低い仕事や不要な仕事に関わることを強要する環境です。
その人の業務と関連性の低いミーティングへの出席、資料作成の押しつけなどが挙げられます。
燃え尽き症候群になりやすい人は責任感が強い人が多く、無理に仕事を頼まれても断ることができない場合もあります。

優秀なスタッフほど業務量が多い

優秀であればあるほど業務を増やされたり、ときには丸投げに近い状態で業務を増やされたりする職場では、限度量を超えると燃え尽き症候群になる危険性が高まります。
またこのような状況が常態化すると「業務が多いほど優秀である」という雰囲気が生まれ、従業員が無理をしてしまいます。

長時間の残業や休日出勤などの過重負担

業務量が多いと、従業員が燃え尽き症候群になりやすい人の特徴である「職務上付与された役割と自分の人格とを分けて捉えることができない」という状態になりがちです。
残業時間の管理がずさんで休日出勤が多いと業務の終わりが見えなくなり、仕事とプライベートとの境界線がなくなってしまいます。

職場が取るべき「燃え尽き症候群」の予防策

燃え尽き症候群は環境要因による影響が大きいため職場の予防策が重要となります。
まずは職場で取り組みやすい事柄からやってみましょう。

時間管理体制を整える

長時間の残業や休日出勤を減らすために時間管理体制を強化することはとても大切です。
「仕事をきちんとこなしているか」だけではなく、「休憩をしっかりとっているか、無理をしていないか」も管理するようにしましょう。

従業員の変化に気づく支援体制を整える

従業員の変化に気づくために、1on1ミーティングを定期的に設け上司が部下の状況をみる機会を増やすとよいでしょう。また、メンター制度を導入して上司以外にも従業員に気をかける人物を増やし、変化に気づきやすくすることも大切です。
それ以外にも、業務内で自由な時間を設けたり従業員同士の交流を促進したりして、従業員のつながりを増やすことが有効です。しかし、それが負担と感じる従業員もいますので、適度にバランスを取ることも意識しましょう。
また燃え尽き症候群の判定に有効なMBIを利用し、燃え尽き症候群セルフチェックをする機会を設け、従業員自身で変化に気づいてもらうことも重要といえます。

業務に対する評価体制を整える

燃え尽き症候群を防ぐためには業務に対する評価体制を整えることも大切です。属人的でない明確な評価基準を導入し、モチベーションを向上させる仕組みが大切になります。

いかがでしたでしょうか。
従業員が燃え尽き症候群になることを防ぐためには、まずは職場内の理解を高め、環境を整えることが重要です。
燃え尽き症候群対策をお考えの方の参考になれば幸いです。

【記事提供:エムスリーキャリア「産業医トータルサポート」】

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