【第13回】どんな時に自分の“気持ちが上がる”か、知っていますか―事務長の悩みは99%解決できる

本連載について
人口減少や医療費抑制政策により、病院は統廃合の時代を迎えています。生き残りをかけた病院経営において、マーケティングはますます重要なものに。本連載では、病院マーケティングサミットJAPANの中核メンバー陣が、集患・採用・地域連携に活用できるマーケティングや広報の取り組みを取材・報告します。

梅雨入り。桜の開花もそうだったように、人間界に何が起きようと、変わることなく時は刻まれ、季節は巡ってきます。新型コロナウイルス感染症による非常事態宣言が解除され、明日の命さえも分からない不安と恐怖の生活は一旦和らいだようにみえますが、明らかに今までとは違う日常になりました。「2カ月余りで、こんなに世の中は変わってしまうのか」と、昨日の当たり前が今日は存在していないことを実感しながら過ごしています。

「今は我慢だ、あともう少し」と、“我慢”と言っている人は、これからの生活に適応できずに苦しむだろうと言われています。なぜならそういう人たちは、生活がいつか元に戻ることを信じていますが、「元には戻らない」からです。コロナの流行がある程度落ち着いたとしても、我々は移動にかける時間やお金といったコストを、ITを活用して排除していくでしょう。さらに、これまで当たり前のように行っていたあらゆることについて、不要不急かそうでないかが明確になりました。これからは、それぞれが本当にやりたいこと、好きなことに集中するようになるでしょう。

笑顔の事務長には、めったにお目にかかれない

世間が「ステイホーム」を求められている時期も、病院は変わらず、いや、もっと過酷に切迫した状態で運営が継続されていました。「コロナ対策でゆっくりする時間なんてなかったよ」とおっしゃる事務長も多いことでしょう。

先日訪問した病院でお会いした事務長も、ちょっと疲れた顔をされていました。(失礼を承知で申し上げますが、コロナ以前からどこの病院に行っても、“楽しそうで、ハキハキされていて、元気いっぱいな事務長”には滅多にお目にかかれませんが 笑)。

今日は、事務長が“いい状態”でいることの大切さをお伝えしたいと思います。

あなたの状態は、周囲に伝染します

最近、「自分の状態は伝染する」という、実業家の斉藤一人さんの言葉を聞きました。自分を犠牲にしながら、「人のために」と無理をして頑張っても、あなたの負の状態は周囲に伝染してしまいます。病院勤務時代の私を客観的に振り返ってみると、本当にそんな状況でした。「あの時、このことに気づいて行動できていれば良かった…」。こんな苦い思いは皆さんにしてほしくありません。 事務長、ご自身のいい状態を、スタッフに伝染できていますか。肩の力を抜いてリラックスするための3つの方法をお伝えします。

1.ハッピーの引き出しをいくつも持ちましょう

気分転換は大事です。大人は、自分をハッピーな状態にしておく責任があります。そのためには、できるだけ多くのハッピーの引き出しを持っておくことが必要です。どんな時に自分は気持ちが上がるかを知っていれば、あの手この手で、自分を快適な状態にできるか試すことができます。もし、分からない時は(何となく分っている方も)紙に書き出すといいですよ。

逆に、どんな状態がイライラしたり、焦ったり落ち込むのか、という状態を知っておくことも大事。分かれば、避けることができます。私は、時間に追われる(待ち合わせに遅れそう、仕事の締め切りが重なるなど)、事務処理が重なる、という状態になるとイライラ焦るので、避けたいと思っていますが、そういう状態になってしまうこともしばしば。そんな時は「ほら、やっぱり、こうなったらイライラするでしょ」と、自分を戒めて落ち着かせるようにしています。事務長も、自己分析をしてみることをお勧めします。

2.開き直りましょう

「よし、嫌なことは忘れてパーッと遊ぼう」と開き直りましょう。

「気分転換しようとしてみたものの、そんなに心は晴れなかった」という経験はありませんか。それは、その事態を諦めて開き直っていないからです。心に引っかかるものがあると全力では楽しめません。嫌なことを、どこか忘れられずにいると、せっかくの気分転換も楽しめない。どうせなら、ひとまず仕事はスパッと忘れて、その時を全力で楽しみましょう。 仕事の失敗や借りは、仕事でしか返せない。家で悩んで考えても、後悔しても反省しても、何も解決しないのです。だから私は、「仕事をしている時に全力で考え、いまはオフの時間を満喫しよう」と開き直ります。家に持ち帰って、考えて解決するならどれだけでも時間を使いますが、そうではないからです。

もしどうしても開き直ることができないなら、楽しめない気分転換をしている時間がもったいないです。それくらいなら、いっそ仕事していましょうよ。どんな状態も全力で楽しむ。自分の気持ちの切り替え次第です。

3.「好きなことをやっているだけ」

3つ目は私だけかもしれませんが。医療福祉の経営コンサルタントをしていると、時に「立派なお仕事されているんですね。大変ですね」と言われ、とても真面目な、無私の心を持った人間だと思われることがあります。そんなことはありません。好きだから、自分のためにやっているだけです。 皆さんは、知らず知らずのうちに、「医療従事者」というプライドや、世間からの期待を背負ってしまっていないでしょうか。そのことが負荷になっていないでしょうか。「自分はこの仕事が好きだから、やっているだけ」。そう思えるなら、それだけでいいんです。

事務長が肩の力を抜いても抜かなくても、病院運営に影響はない

事務長が肩の力を抜いたとしても、あるいは抜かなかったとしても、病院の運営には大きな影響はありません。スタッフの日々の業務は事務長に関係なく進んでいきますし、病院の時間は流れていきます。でも、肩の力を抜くと、自分が楽になります。きっと、いい状態になります。だから、肩の力を抜いてください。

いい状態を相手に与える、悪い状態を与える。周囲に与えた影響は、良くも悪くもまた自分に返ってきます。必ず、です。

これからの世の中も、何が起きるかはわからない。けれど病院の場合、さまざまな変化に対応していく指揮官は、事務長です。ただ、対応するのは、一人ではありません。スタッフに寄り添って、患者さんに寄り添っていれば、必ず大変な時には助けてくれます。

日頃から事務長の良い状態を周りに伝染させて、笑顔いっぱいの病院にしていてください。

変わってしまった日常の中で、それぞれがいろんなことを考えながら、自分を見つめ直していることと思います。激動の時代と言われる今を生きるのは確かにエネルギーがいりますが、そんなことも一旦置いて、リラックスしてみましょう。

ハッピーが事務長にたくさん返ってきますように。 楽しそうで、ハキハキされていて、元気いっぱいな事務長に、たくさん会えますように。

【読者の皆さまからのご質問をお預かりしています】
連載で取り上げるテーマの他にも、みなさんの「今」のお悩みについてもいっしょに考えていきたいと思っています。「事務長の~」というタイトルではございますが、お役職問わず、お気軽にお問い合わせください。ご質問はコチラから。

≪≪【第12回】アフターコロナで働く医療者から、信頼される病院に―事務長の悩みは99%解決できる

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