2016年の開業以来、地域の訪問・外来診療を担ってきたよこはまあおとクリニック(神奈川県横浜市)。増患を見込み、常勤医増員を目指してきましたが、都市部の訪問診療クリニックは競合が多く、医師からの応募はなかなかありません。特にネックとなっていたのは、求人票に記載している“夜間オンコール対応”の文字でした。「このままでは採用できない。しかし条件は譲れない…」と悩んだ同クリニックは、求職者へ“オファー”を送る採用活動をスタートします。無事、常勤医の採用に成功した畑中延介院長と河崎(畑中)朋子事務長に、オファーの活用方法や、医師が働きやすい環境づくりについて聞きました。
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目次
「夜間オンコール対応は常勤医」にこだわる理由
――貴院の概要を教えてください。
河崎(畑中)事務長
当クリニックは、院長が2016年、訪問診療医が不足していたこの横浜市緑区で開設して以来、外来診療と訪問診療を提供してきました。現在は、循環器内科、血液内科、脳神経外科などさまざまな診療科の専門医を含む16名の医師が在籍しており(※)、医師同士が連携しながら、患者様に最適な医療を提供できるのが強みの一つです。
※2021年6月現在。常勤医は院長含め3名在籍。非常勤医は13名在籍。さらに常勤医1名が2021年9月入職予定
――医師採用に、どのような課題を抱えていらっしゃったのでしょうか。
事務長
特に訪問診療は増患が続いており、医師体制を強化する必要がありました。「訪問診療を担っていただける先生がいたら、未経験の方でもぜひ採用したい」と、多くの紹介会社に求人を預けていたんですが、なかなか応募がない状態で…。採用活動は困難を極めていました。
ネックになっていたのは、常勤で「夜間オンコール対応必須」という条件です。関東の都市部はただでさえ、医師採用の競合となる訪問診療クリニックが多いエリア。「夜間オンコールは非常勤医が対応」と記載している求人は数多くある中で、「オンコール対応必須」という記載があると、先生方は転職先の候補から外してしまうんですね。
しかし、この常勤医のオンコール対応は、私どものクリニックのこだわりだったので、譲ることができなかったんです。
――常勤医のオンコール対応にこだわる理由は何でしょうか。
事務長
夜間や休日の診療体制を重視するのは、「患者様やご家族に24時間365日住み慣れたご自宅で安心してお過ごし頂く」という当院の理念に基づいた方針です。
自分が患者様やご家族の立場だったら、夜間であっても、日ごろのご状態をしっかりと把握している常勤医に対応された方が安心すると思います。当院はその考えの下、毎日2回の院内カンファレンスに参加して、病状やご家族の雰囲気、介護力などさまざまな情報を把握している常勤医師のみに時間外対応をお任せしています。
そうやって患者様やご家族と良好な関係性を保つことで、トラブル回避にもつながると思っています。
――医師の負担を軽減するために工夫されていることはありますか。
事務長
はい。当院では常勤看護師と常勤医師がペアを組んでオンコール体制にあたっております。まず患者様やご家族もしくは訪問看護師さんからのファーストコールは、医師ではなく看護師が取ります。そして看護師が、医師にその内容を要約して伝え、対応できることについてはナースサイドで動くようにしております。
と言いますのも、医師の場合、日ごろ訪問する患者様は自分の担当の範囲に限定されますが、看護師は担当を持たずにあらゆる患者様の診療に同行しています。このシステムは、勤務する医師たちに、「大きな負担軽減になる」と大変好評です。
ただ、一般的な求人ではこういったことまでお伝えするのが難しく、どうしても「夜間オンコールあり」という言葉のみで判断されてしまうのが課題でした。
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オンコール対応必須の理由を、オファー文と面接で丁寧に説明
――そんなときに、「M3Careerプライム」(以下、プライム)を導入されたのですね。
事務長
求職者それぞれに合わせてオファーができるサービスと聞き、「ぜひ使いたい」と思いました。
第一に、先生方の匿名プロフィールを見て、当院の理念に共感していただけそうな先生にオファーを出せる点が魅力です。また、ネックだった夜間オンコールについて、背景や負担軽減の取り組みまで個別に丁寧にお伝えできる点もよかったです。
オファーにより面接に来ていただける確率を上げることで「面接の場で院長から直接、当院の思いや取り組みの背景を伝える機会を増やせたら」という思いもありました。
――約20人にオファーを出されたと伺っています。オファーする際にどのような点を意識されましたか。
事務長
その先生が重視しそうな情報を意識的に盛り込むようにしています。
例えば「訪問診療について学びたい」という先生に対しては、院長の訪問診療医としてのキャリアについてくわしく説明し、信頼感を持っていただける文章を心がけました。また、将来開業を考えている先生には、「当院は2016年に患者数ゼロから開業しましたが、現在は300~400人まで拡大しております」と成長力を示す数字を盛り込んでいます。ほかにも、子育て中の先生へは「当院負担でベビーシッターを手配できる」という点を、QOLを重視される先生へは「当院は医師も有休消化率100%」という点をアピールしました。
――畑中院長にお伺いします。採用面接の際に心がけていることはありますか。
畑中院長
採用活動で重視しているのは、入職後に先生が「印象と違う」と感じるようなミスマッチを防ぐことです。
いくらオファー・面接で当院に好感を持っていただいたとしても、入職後に齟齬が生じると、そこから信頼関係は崩れていきます。そのため面接では、業務内容やサポート体制、休暇の取りやすさなどをできるだけ具体的にお話しています。夜間オンコール体制についての説明もその一つですね。
また、当院のブログで事務長がスタッフの日常などをつづっているのですが、面接に来られる先生の中には、「ブログを読みました」と話す方もいらっしゃいます。オファー・求人を見て興味をもってくださった先生方に、当院をより深く知っていただく情報源になっていると思います。
――採用活動の成果はいかがでしたか。
事務長
プライム経由では2名の先生と面接・面談することができ、2021年度はプライムで採用した1名を含めて、2名の常勤の先生に入職いただくことになりました。
お2人とも訪問診療に長年携わられてきた方です。訪問診療の酸いも甘いも経験した上で、当院の「夜間オンコールは常勤が受けた方がいい」という方針に共感していただける先生方に集まっていただくことができました。
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医師の離職を防ぐ、負担軽減の取り組みとは?
――貴院は医師を含め、スタッフの離職が少ないと伺っています。どのような取り組みをされているのですか。
院長
開業から5年間で退職された医師は3名いらっしゃいますが、2名は開業、1名は留学とすべて前向きな理由です。
医師の離職が少ないのは、負担軽減に取り組んでいる点を評価していただいているのかなと思います。例えば、訪問診療医の業務の一つとして、訪問看護ステーションやケアマネジャーなどとの連携が挙げられますが、当院では、看護師が医師と他事務所・他職種との間に入り、調整役となることで、連携をスムーズにしています。そのため、医師が本来の診療業務に集中できる環境になっています。
事務長
こうした取り組みの背景には「職員は、自分の家族同然に大切にする」という思いがあります。
私は看護師でもあり、院長と夫婦でこのクリニックを開業したのですが、育児をしながらクリニック経営を軌道に乗せることができたのは、スタッフの理解・協力があったからこそだと感謝しています。「スタッフが大変な時は私たちが支えたい」という気持ちでいますので、医師が「子連れ出勤したい」というときも、当院でベビーシッターを手配するなどして働ける環境をサポートしております。
――今後の医師採用予定と、クリニックの展望を教えてください。
院長
開業時より、私を含め5名の常勤医で時間外オンコール対応にあたることを目標にしていました。
今後は残り1名の常勤医師採用を目指し、引き続きプライムを活用する予定です。
非常勤医師に関しましても今後も採用活動を進めて参ります。当院は、2021年3月に法人化し、6月1日に訪問看護ステーションを立ち上げたばかりです。医師と看護師、他職種の連携をさらに進め、より質の高い医療を地域に提供できるように努めていきたいです。
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