総務課主任 Nさん
40代前半、男性、事務職歴18年
大学卒業後、ずっと同じ法人内で総務課に在籍しています。所属は総務課ですが、規模の大きな総合病院のため、用度担当として医療材料や薬品の管理や業者折衝、設備管理などの業務をメインに、その他日々の庶務業務や委員会運営に従事してきました。
在籍年数とともに給与も上がっておりますし、主任という立場にも昇格できました。しかし、総務課内の係長・課長のポストが空く見込みは当面なく、院内で他の部署への異動もなさそうなので、外に目を向けてみたいと思うようになりました。家族もおりますので、転職するなら現年収以上の条件を目指したいと思っていますが、私の経歴でそうした希望をかなえることは可能でしょうか?
【回答者】雪竹舞子(事務職専門コンサルタント)
現在の病院では今後のキャリアがあまりイメージできず、転職を視野に入れていらっしゃるのですね。ただ、せっかくご質問いただきましたが、Nさんのご経歴やご希望を鑑みると、転職という選択肢は慎重に検討なさった方がよいかと思います。
恐らく、Nさんが現在お勤めの病院はかなり大規模なのでしょう。そのため、用度専任の職員がいらっしゃるのだと思います。Nさんご自身も、日々、備品管理や業者の折衝などかなりの件数を捌いていらっしゃるのではないでしょうか。しかしながら、転職市場に出てきやすい求人のメインは100~200床クラスの病院です。こうした規模の病院では、用度専任という形ではなく、総務課の業務の一環として他の給与計算や労務管理、採用や施設基準の取得に関わる業務と兼任されているケースが少なくありません。
つまり、Nさんのご経験を活かしたキャリアチェンジとなると、選択肢は「現職と同規模の病院で用度担当の求人」と非常に限定的です。その場合、職場環境自体は現在の職場と大きくは変わらないでしょうから、転職で得られるものもあまり多くはないのではないかと思われます。
また、条件面でも懸念が残ります。前述した通りNさんのキャリアは大病院特有の側面がありますから、中小病院で最初から管理職として入職はすることは恐らく難しいでしょう。このため、現職に18年在籍され、主任職にも就任されているNさんの現年収を担保することは残念ながら難しいかと思われます。つまり、「現職以上の条件」というNさんのご希望がかなわない可能性が高いのです。
まずは、Nさんが転職によって実現したいことを整理してみてはいかがでしょうか。その上で、現在の給与や環境、業務内容と求人の内容を冷静に比較して、転職を検討すべきかどうかご判断いただくのがよいかと思います。もし、Nさんがどうしても転職を視野に入れたいとお考えならば、あまり焦らず、ご経験を活かせる用度や設備管理で管理職の求人が出た際に検討されることをお勧めします。
弊社の転職支援サービスでも、「希望にかなう求人が出たら検討する」という形でご登録いただき、1~2年後に転職先が決定したケースがございます。コンサルタントから実際の求人状況や、年収相場などをお伝えすることも可能ですので、もしも具体的な相談や質問をご希望でしたらどうぞお気軽にご連絡ください。
(1)中小病院の総務課の求人(特に管理職)では、幅広い経験が求められることが多い
(2)特定の業務に長年従事されてきた方の場合、転職時の選択肢が限定的になる場合も
(3)希望にかなう求人が出たら検討するなど、長期的な視点で転職活動に臨む根気も必要
・病院事務職キャリア相談室: 総務課経験者の転職、ニーズはあるのか?ポイントは?
・ジョブローテーションが病院事務職にもたらすもの―千葉県済生会習志野病院 石井仁事務次長
・病院事務職キャリア相談室:ポスト満席で昇進見込めず…事務長職での転職は可能?
エムスリーキャリア株式会社 経営支援事業部 事務職紹介グループ
大学卒業後、企業にてBtoC営業とセミナー企画・運営に従事。兄弟が先天性の疾患を抱えていたことから、思い入れの強かった医療業界に飛び込むべく、エムスリーキャリアに入社。現在は、前職での営業経験も活かしながら「顧客ファースト」を信念にキャリアコンサルタントとして活動中。趣味はミュージカル・舞台鑑賞で、月1回の鑑賞を欠かさない。
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