本連載について
人口減少や医療費抑制政策により、病院は統廃合の時代を迎えています。生き残りをかけた病院経営において、マーケティングはますます重要なものに。本連載では、病院マーケティングサミットJAPANの中核メンバー陣が、集患・採用・地域連携に活用できるマーケティングや広報の取り組みを取材・報告します。
人生は、最期に向かって進んでいる
政府の施策などの影響か、街は少しずつ活気を取り戻しつつあるように見えますが、その一方で、著名人が亡くなるなどの暗いニュースも飛び交っています。先が見えない不安に襲われそうになることがあるかもしれませんが、自分は“生かされている”と捉え、せっかくもらった命を大切に、1日1日を生きていきたいです。
私は病院に就職して、患者さんの生死を目の当たりにし、「明日生きているとは限らない」「絶対に来る明日はないし、人は必ず死を迎えるんだ」ということをつくづく実感しました。必ず訪れる最期に向かって重ねていく1分1秒が私の命であり、人生なのですから、自分で納得のいく選択をしながら、その時を生きていきたいと思うようになりました。
とは言え、強い人間ではありませんので、常にそう考えながら行動できているわけではありません。そんな中、あるセミナーで1人の講師が示した数式に改めてハッとさせられました。
毎日1%ずつ手を抜いた人の365日後はどうなる?
この数式は、何を表していると思いますか。
「もう少しだけ、あと少しだけ」と、毎日1%ずつ多く頑張った人の365日後と、毎日1%ずつ手を抜いた人の365日後を比喩したものです。前者は1が37.78になり、後者は0.02に。あくまでも計算上の話ですが、「うーん、なるほど」と納得してしまった数字でした。
もちろん、「もう、今日はこれくらいでいいか」と思う日があってもいいと思います。頑張りをゼロにして、休息するのも大事です。でも、そんな日が続かないように立て直し、リフレッシュして、頑張れる日を作っていくことで365日後は1年前よりも成長していたいものです。
自分がやりたい仕事なのか?やるべき仕事なのか?
「物事は必然」であると私は思っています。今必要なタイミングで物事は起きているのだ、と。最近、それを実感することがありました。
私は今、医療施設のコンサルや事務サポートなどの医療業界の仕事に加えて、障がい者のグループホームの立ち上げなど、新しく「福祉」分野の仕事に注力しております。しかし、なぜだか非常に動きにくさを感じていました。業務や時間の配分が上手くいかず、苛立ちやもどかしさ、割り切れない憂鬱さが募ります。「自分がやるべき仕事なのか、やりたい仕事なのか」「これは私に(本当はもう必要ないと思うけれど)、まだ必要なのかな」――。増えていく仕事の整理ができず、堂々巡りを繰り返していました。
折しも、友人から仕事の相談の連絡がありました。長年頑張ってきた職場だったようですが、最近はとても窮屈そうに見えたので、私が友人に掛けた言葉は、「そこで成長はあるの?楽しい?」。そのまま自分に言っているように響きました。
ちょうど同じ時期に、「ステージを上げる」というタイトルのメールマガジンが届きました。「一生懸命努力することは大事。しかし、小学6年生で習う勉強を繰り返してもそれ以上の力はつかない」「次のステージに行かなければ」という内容でした。
そしてとどめを刺したのが私のメンターです。
これまで私は、ありがたいことにいろいろな方に指導していただいたり、導き助けてもらったりしてきましたが、最近ようやく、メンターと呼べる方に出会うことができました。そのメンターに久しぶりに会ったとき、すぐ「疲れていますね」と見破られてしまいました。そうなのです。私は堂々巡りの思考に、決断できない自分に、疲れていました。
「もうそれは、みどりさんには必要ないですね」
その方は、続けて、「疲れているは、憑かれているとも言えるんですよ。いろいろなものを憑けていませんか?」とおっしゃいました。
最近の窮屈さ、動きにくさ、を正直に話し終えた後、その方に「もうそれは、みどりさんには必要ないですよね」と言われたとき、すーっと心が軽くなりました。そうです。答えは自分の中に既にあって、手放す勇気がなかっただけなのです。前回のコラムで「手放す」重要さをお話しした自分が、また手放せていませんでした。それまでのご縁には感謝しなければなりませんが、次のステージに上がるためには、手放すことも重要です。いえ、手放さなければステージを上げられないのです。
もし事務長が朝起きて、その日のスタートに「今日も頑張るぞ」と思えないのであれば、もし「このままでいいのかな」と思う時があるのなら、「自分は同じ教科書、問題集をずっと解いているだけではないか」と問いかけてみてください。もしかしたら、ステージを上げる時なのかもしれません。同じ業務を繰り返しているうちに、何か物足りなくなった時は、新しいことにチャレンジするワクワク感を思い出してみてください。自分がやるべき仕事を整理し、誰かに委ねていくことは、次の人材を育てることにもつながります。
出会いは突然に。あなたのメンターを探せ!
もう10年くらい前になるでしょうか。管理職とは、リーダーとは――、ということを学んでいた頃、「メンターはいますか」「目指す人はいますか」「頼れる人を作りなさい」と習ったことを思い出します。
事務長のような管理職は、そう簡単に誰かに相談できず、孤独なことも多いと思います。私たちは、病気や怪我、加齢、障がいなどで困った人や不安な人をサポートするプロ集団です。頼ってほしいし、任せてほしいですよね。でも、そんな集団をリードする事務長にも頼る人が必要です。頼っていいのです。ぜひ、メンター、憧れの人、頼れる人…を見つけてください。日ごろから意識しておかなければ、出会いに気付きません。出会いは突然やってきますので(笑)。
私がメンターに最初に教えて頂いたのは、医療業界でも学んだ「生かされている命に感謝すること」です。この命で「誰かの助けになりたい」、改めてそう思っています。さあ、今日も医療や福祉の仕事を楽しみながら進みたいと思います。
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