【第20回】こんな時代だからこそ、病院の進む方向を事務長が指し示す―事務長の悩みは99%解決できる

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野々下みどり(ののした・みどり)

株式会社LHEメディカルコンサルティング代表取締役。熊本大学法学部を卒業後、約20年間にわたり医療法人社団シマダ 嶋田病院に勤続。その間、医事課長、診療情報管理課長、情報システム課長、診療支援部長、企画広報部長を歴任。2018年、医療福祉の経営コンサルタントとして起業し、現職。医療経営・管理学修士(九州大学大学院医学系学府)、診療情報管理士指導者の資格を持つほか、日本診療情報管理士会評議員などを務める。

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再び発令された緊急事態宣言……

2021年最初のコラムとなる今回で、連載を始めてちょうど20回目になります。2019年2月にスタートさせていただいてからこれまで、読んでくださっている方のおかげで続けてこられました。感謝申し上げます。20回記念に何か楽しい話をと思いましたが、いま、世の中はそういう明るさを拒んでいるかのような現実と雰囲気を感じます。

2021年がスタートした途端、日本を襲った大雪。私が住む九州でも積雪し、銀世界に包まれました。こんな日は、病院勤務時代に前日から病院に泊まり、朝からスタッフと雪かきをしていたことを思い出します。そして、再び発令された新型コロナウイルス感染症拡大防止のための緊急事態宣言。病院では例年この時期は、緩やかなお正月ムードなど感じる暇もなく、年末年始の業務や患者さんの対応で忙しいところが多いと思いますが、今年は特に慌ただしいのではないでしょうか。

筆者撮影:年始の九州。10センチ以上積もっていたのではないでしょうか

不安だからこそ、「どこを目指すのか」共通認識を

私は普段リアルタイムでテレビを観ることはほとんどないのですが、雪の日の在宅ワーク時、テレビから流れる情報番組やニュースでは「医療崩壊」が取り上げられていました。医療現場のことにあまり詳しくはないような、さまざまな業種のコメンテーターの方々が話す意見が、あまりに無責任に感じ、怒りと悲しみでテレビを消してしまいました。

医療に関わりが深い人、そうでもない人に関わらず、それぞれの立場から今の医療に対して「そうすべきではない」「ああしたほうがいい」「こうするべきだ」という意見はあるでしょう。私も今は医療、病院という現場にはいません。勤務していたとしても、自分の病院や近隣、知り合いのいる病院のことしか分からないかもしれませんし、それぞれに地域の特性や病院の役割がありますから、日本の医療に起きていることの全てを語ることはできないでしょう。日本の医療はどうなっていくのか、どこを目指していけばいいのか。

組織の3要素は「共通の目的」「協働意思」「コミュニケーション」。診療情報管理意士の認定試験用のテキストにそう書かれています。不安になったり、慌てたりすると、これからどうするべきかという思考が麻痺してしまいがちです。チーム、部署、部門、病院という組織だけでなく、日本という大きな組織でも共通認識を持って、協力していくことが大事だと思います。 病院でも、スタッフが不安を感じているであろう今こそ、事務長が笑顔で向かうべき場所を指し示してください。この未曾有の状況の中、その設定自体が困難だと思いますが、「まずは、ここまで。今は、これを」ということだけでも伝えていただきたいのです。みんなが共通認識を持つことで、組織は強くなり、団結していくはずです。

仕事のコミュニケーションは、たった1つのことだけできればいい

先程お伝えした組織の3要素の一つ、「コニュニケーション」についても改めて考えてみましょう。みなさんはコニュニケーションに対して、どんなイメージをお持ちでしょうか。

インターネットでコミュニケーションと検索すると、「コミュニケーション能力をアップさせる」という内容の記事や、コミュニケーション能力を上げるための研修を案内するウェブサイトが多く出てきます。私もコミュニケーションといえば、「話が上手、話題が豊富、場の雰囲気作りがうまい」など高度な能力をイメージしていて、自分は得意ではないと感じていました。しかし、「仕事の場合、コミュニケーションは“あること“だけうまくできればいい」とシンプルに考えるようになったことで、気持ちがとても楽になりました。

それは、「話が伝わればいい」ということです。多くの話をする必要もなければ、楽しい、面白い話題を提供する必要もないのです。最低限、仕事上の指示や伝達、情報が伝わればいいと考えるようになりました。

ただ、それは一方的に要件を言えば終わりということではありません。相手の望んでいる状態を理解し、把握すること。そして、同様に自分の望んでいる状態を相手にわかってもらうことに注力します。目指すべきは、仕事の結果を良いものにすることだけ。そう考えると、余計な緊張や感情にとらわれることが少なくなりました。(と言いつつ、私もまだまだ習慣付けるためには訓練が必要です)

仕事の話が伝わるようにするには、相手と同じ共通言語を持つ必要があります。私の場合、仕事の相手は医療現場の方ですので、医師と会話が出来る程度の医療用語や疾患の知識は持つように努めました。それが「この人は分かっているな」と信頼を得ていく近道だったように思います。


職場は楽しいほうがいいですし、人間関係も良好であるに越したことはありませんが、現実には仲良くなれない、苦手だと感じる人もいます。ただ、職場は仕事をする場所です。みんなと仲良くすることは、本来の目的ではありません。

仕事に求められるのは成果です。その成果を上げるためのシンプルコミニュケーションを意識してから、苦手な人も(減りはしませんが 笑)気にならなくなりましたし、成果を出すことで良好な人間関係も少しずつ築けたように思います。

「いつか」と描いている夢の「いつ」を設定してみましょう

困難な現実の中で、誰しもが不安を抱きがちな今。コラム20回記念ですので、最後に少しポジティブなメッセージをお伝えしたいと思います。

先日話をした事務長さんが「実は将来こういうことがしたいんです。いつか実現できればいいな」と夢を語ってくださいました。

みなさんは、そんな夢がありますか。さまざまな理由で「あるけど、今はできない」と思った方もいるでしょう。「いつか」と思っているその夢の実現を、「いつ」に設定しますか? できるためにはどうしたらいいでしょうか? 夢を現実に考えることで、少しワクワクしてきます。

やりたいことを「声」に出してみませんか。笑い飛ばす人もいるかもしれませんが、「やろうよ、いいね」と一緒に考えてくれる人も必ずいると思います。

世界が新型コロナウイルス感染症の脅威にさらされてからもう1年が経ちますが、そんな日々の中で、人々が協力するようになり、優しくなったと感じる機会も増えたように思います。やりたいことがあるとき、手伝ってほしいとき、困ったときには、「助けて」と声を出してみる。そうすれば答えてくれる人が必ずいます。自分が困難だと感じていたことを軽々と超えてくれるアイデアを持っている人は多くいるものです。人生は有限です。人の力を借りたら、あなたの夢はもしかすると「いつか」ではなく、「今から」進み始めるかもしれません。

「いつか」の夢が、勇気と元気をくれることもある

とはいえ、「いつか」の夢を抱くこともいいものです。私も「いつかこうなりたい」と思っていることはたくさんあります。「今年こうしたい」と思っていることもいくつかあります。「今がんばることでいつかこの夢が成し遂げられるかもしれない」と目の前の仕事に取り組むのも、それはそれで楽しい時間です。

先日、友人から外国の老婦人が載っている素敵な写真集を見せてもらいました。そこには顔にシワやシミがあり、杖をついている老婦人が、お洒落をして笑っている写真でした。かっこよくてかわいい素敵な大先輩の姿に、「ああ、私もこうなりたい」と思いました。

これは「私がこんな風になるのは72歳の時」というように「いつ」という時期を設定するものではなく、「いつか」の夢になってしまいますが、その写真から描いた夢は私に勇気と元気をくれました。シワもシミも勲章、私の魅力の1つだ、と威張って言えるように日々を重ねていきたいと思っています。ただし、眉間のシワはほとほどに……。

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