医療機関から医師への入職の誘いが日々届けられている、「M3Careerプライム」のオファー機能。しかし、実際にどのようなオファーが効果的なのでしょうか。 医療機関の採用支援を担当している曽根原愛乃氏(エムスリーキャリア・採用支援グループ)が、過去の成功事例をもとに、オファーのNG例と改善点を解説します。 (「M3Careerプライム」についてはコチラ)
今回は、都市近郊の小規模病院×ワークライフバランス重視の一般内科医師のオファー事例です。
医療機関とオファー対象
医療機関の立ち位置:都市近郊の中小病院(ポストアキュート主軸)
オファー対象:一般内科医師(ワークライフバランス重視)
オファーNG例
※オファー内容は、過去事例をもとにした架空の設定です。
※各項目はM3Careerプライムでオファー記入できる項目です。
【関連する募集】
一般内科
【当医師へのオファーや当該診療科の医師募集背景を教えてください】
現在、当院では内科医は〇名体制で、診療体制強化と次世代育成のため、常勤医確保が喫緊の課題となっています。メリハリのあるご勤務が可能ですのでぜひご検討ください。
【当医師に期待したい業務や診療内容を、貴院の地域での役割や機能とともにお教えください】
都市近郊に位置する〇床(一般〇床・地域包括ケア〇床・療養〇床)の病院です。地域での役割は、ポストアキュートをメインに担っています。業務内容としては、〇〇を中心に、外来診療(一般)・病棟管理(地域包括ケア、療養)をお願いいたします。いわゆる総合診療が主体のため、幅広い領域にわたって診療していただければと考えています。
【当医師の希望条件に対して、アピールしたいポイントや条件などがあればご記入ください】
- 残業はほとんどなくメリハリある勤務が可能です
- 医師事務作業補助者によるサポートあり
- 交通費支給あり(特急・高速代含む)
- 医師宿舎への居住可
【想定提示年収】
1400万円~
【勤務日数】
4.5日/週
【当直】
未入力
【オンコール】
未入力
【外来(コマ/週)】
未入力
【入院(受け持ち患者数)(件/月)】
~20床程度
【ご相談可能な事項やその範囲、検査・手術といった業務内容の具体的な提示があれば、ご記入をお願いします】
当直は救急外来業務を主にお願いいたします。
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NGポイント
曽根原愛乃氏(エムスリーキャリア・採用支援グループ):
募集背景などは明記されているものの、当直やオンコールの有無など基本的な項目が未入力で、働き方や勤務条件についてイメージしにくい印象です。ワークライフバランスを重視する求職者に対し「メリハリある勤務が可能」というアピール自体は良いのですが、その内容が具体的にわからないと、求職者にとっては「自分の希望とマッチしているのか判断できない」、つまり魅力の乏しいオファーとなってしまいます。
また、全体的に情報が少なく、医療機関の現状・強みが伝わりにくい内容と言えるでしょう。一般的に、医師が転職で重視するのは以下の5項目と言われています。
- アクセス
- ワークライフバランス
- キャリア(スキル・経験・役職など)
- 年収
- 病院のビジョン
求職者に興味を持ってもらうためには、求職者が“譲れない”ポイントは特に手厚く、それ以外の項目についてもなるべく網羅的に情報を記載しておくことをおすすめします。
改善例
【関連する募集】
一般内科
【当医師へのオファーや当該診療科の医師募集背景をお教えください】
当院は、都市近郊に位置する〇床(一般〇床・地域包括ケア〇床・療養〇床)の病院です。〇〇医療圏では人口減少・高齢化が進む中でジェネラルな医療へのニーズが高まっています。地域を今後も支えていくために診療体制の強化を図るべく、亜急性期~慢性期まで、一般内科の幅広い領域にわたって診療に関わっていただける医師を募集しています。
先生の今後のキャリアプランや、地域医療へのご関心の高さを拝見し、ぜひ当院でお力を発揮していただけないかと考えオファーいたしました。先生のお力添えのもと、より一層地域連携を推し進めていきたいと考えています。
ご家庭でのお時間を確保したいとのことですので、勤務負担を軽減しつつ、先生の思い描く医療を実践いただけるよう、できるだけご希望に合わせて調整させていただきます。ぜひ一度ご面談の機会をいただけますと幸いです。
【当医師に期待したい業務や診療内容を、貴院の地域での役割や機能とともにお教えください】
当院は〇〇という理念のもと、1~1.5次急程度の亜急性期~終末期医療を担う、地域密着型の病院です。地域のかかりつけの患者様および、近隣の「〇〇病院」などから紹介患者が来院されます(入院経路のうち、外来〇%/紹介〇%程度)。当院のようなポストアキュートを担う施設は、〇〇医療圏にとって欠かせない存在です。
先生には、〇〇を中心に、外来診療(一般)・病棟管理(地域包括ケア、療養)をお願いいたします。患者層は外来・入院ともに複数疾患を有する高齢者の割合が高く、入院患者の内科的疾患としては、〇〇、〇〇、〇〇、〇〇、〇〇などが主です。一般内科としてのご対応がメインですが、〇〇の領域は先生にお任せできればと考えております。診療科間の連携がとれているため、専門外の領域については外科含め各科専門医へコンサルトできますし、不在時にはお互いにカバーしあう診療体制で、ワークライフバランスを保ってご勤務いただけます。
【当医師の希望条件に対して、アピールしたいポイントや条件などがあればご記入ください】
- 残業はほとんどなく(月平均〇時間程度※所属医師実績)、オンオフをつけて勤務いただけます。
- 勤務終了時刻を超えてしまった場合は、時間外手当を支給いたします。
- 非常勤医を含め当直制(病棟管理を含む)を敷いており、オフ時の夜間呼び出しはありません。
- 電車・マイカー通勤がしやすい立地です(〇〇駅から特急で1時間、常勤医の多くが都心から通勤しています)。特急代や高速代を含め交通費は支給いたします。
- 医師事務作業補助者が〇名在籍しており、カルテの入力や入退院サマリー作成などをサポート。本来業務に集中いただける環境です。
- 医師宿舎への居住(家賃なし)、病院周辺の住居借り上げも可能。転居の場合は転居費用を支給します。
- ご面談はテレビ電話等を活用した WEB 面談でも可能です。
- ご面接時の交通費は支給いたします。
【想定提示年収】
1400万円~
【勤務日数】
4.5日/週
【当直】
あり(月1回程度)
【オンコール】
なし
【外来(コマ/週)】
1~2
【入院(受け持ち患者数)(件/月)】
~20床程度
【ご相談可能な事項やその範囲、検査・手術といった業務内容の具体的な提示があれば、ご記入をお願いします】
- 週 4 日勤務の相談、当直・夜間帯勤務免除のご相談も可能です。
- 詳細な業務内容は先生のご経験・ご意向に応じ、ご相談の上決定させていただきますので、懸念点などありましたら遠慮なくお知らせください。
- 給与額は業務内容(勤務日数/外来コマ数/受持ち患者数など)を考慮しご相談できればと思います。
- 当直には月1回につき年収ベースで〇万円のインセンティブあり。救急外来業務が主ですが、準夜帯に軽症患者を〇名程度のため、業務のご負担は大きくありません。
●基本情報
- アクセス:〇〇線・〇駅から徒歩〇分
- 診療科目:内科、外科、整形外科、皮膚科、泌尿器科、麻酔科、リハビリテーション科(※内科は専門別に分けておりません)
- 病床数:〇床(一般〇床・地域包括ケア〇床・療養〇床)
- 内科病棟は〇床程度(内科常勤医:〇名、在院日数:〇日程度、病床稼働:〇%程度)
- 開設:〇年〇月
- 理事長:〇〇先生(専門:〇〇科/〇〇大学出身)
- 院長:〇〇先生(専門:〇〇科/〇〇大学出身)
●その他勤務条件・福利厚生など
- ご勤務時間:〇時~〇時
- 休暇:有給休暇(法定通り付与、有休消化率〇%※所属医師実績)
- 夏季休暇:5日(就職月による制限あり)
- 早番・遅番:現行体制で対応できているため当面はお願いいたしません
- 学会参加費、交通費、宿泊費支給あり(年間2回が上限)
- 定年制度:65歳(再雇用制度あり)
- 退職金:勤続〇年以上で、60歳までの確定拠出企業年金にて支給
- カンファレンス・委員会への参加:業務時間内でお願いさせていただくことがございます
- 生命保険:法人で民間の生命保険をかけております
改善のポイント
曽根原氏:
今回の改善ポイントは3点あります。順に説明します。
1.求職者の希望にマッチしている点を明記
まず、求職者のキャリアプラン・地域医療に対する関心と絡めて募集背景を記載していて、求職者個人に宛てたオファーであると感じさせる内容になっています。残業時間や夜間呼び出しの有無、医療クラークによるサポートなど、オファー対象であるワークライフバランス重視型の求職者が気にしそうなポイントをふまえて自院の魅力を伝えている点も、求職者の興味を引くのに有効です。
2.情報量が豊富
求職者がどのような診療・働き方をできるのかイメージしやすくするとオファーの効果を高められます。そのためには業務・診療内容が具体的であることに加え、施設の基本情報や勤務条件、福利厚生などの情報が網羅的に記載されていることが大切です。
たとえば当直業務について、単に「救急外来業務をお願いします」とするより「軽症患者が〇名程度」と実態がわかるように伝えることで、求職者が受ける印象も大きく異なります。残業・当直・通勤手当といったインセンティブや、「実際に〇〇から通っている先生もいます」などの実例が示されているのも、説得力を増すポイントです。
3.「(年収や勤務時間など)このくらいまでなら相談可能」と提示条件に幅がある
ワークライフバランス重視型の求職者にとって関心が高そうな項目(勤務日数や当直・夜間帯勤務)に「相談可能」と記載されていることで、求職者に「もしかしたらマッチするかもしれない」という印象を与えることにつながります。交渉の余地がある条件に関しては、その旨を明記しておきましょう。
もし希望条件の内容だけでは求職者像がつかめない、というときは、オファー内容に疑問点も明記いただければ、担当のコンサルタントから医師に確認し回答させていただきます。その他、オファーに関する疑問点などがありましたらお気軽にお問い合わせください。
◆オファーに関するお問い合わせはこちら
(回答対象はプライムをご利用いただいている医療機関様に限らせていただきます)
曽根原 愛乃(そねはら・まな)
エムスリーキャリア株式会社 医師キャリア事業部 採用支援グループ
早稲田大学文化構想学部卒業後、損害保険会社に新卒入社。保険金サービス部に配属され、全国の法人・個人顧客への示談交渉と顧客満足度向上プロジェクトを担当。その後エムスリーキャリアに入社し、医師採用コンサルタントとして全国の医療機関の採用を支援。現在はカスタマーサポートチームにて新サービス「プライム」の運用改善と医療機関の採用支援を行う。
【即戦力の医師をスピード採用!】
医師採用のスピードを上げるためには、転職意欲の高い先生にアプローチしていくことが大切です。
スピード採用成功の3つのステップ
- エリア内の候補者数や希望年収など、最新の採用データをチェック
- 毎週配信される求職中医師一覧(匿名)から、要件に合う先生を選ぶ
- 先生の希望・相場をふまえ“医師に響く求人”でオファーを出す
この3ステップにより、効果的、効率的な採用活動が可能になります。
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