多くの医師に会うための、採用担当者の5つの心がけ―1から学ぶ医師採用マニュアル【実践編 vol.1:応募・書類受付】

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人材不足が叫ばれる昨今、難易度が高いと言われる医師採用。そもそもコメディカルや非医療職の採用手法とは大きく異なることをご存知でしょうか。医師の場合、採用・定着が病院経営にも直結するので、その入口を担う採用担当者には大きな期待がかかっています。そこで本シリーズでは、今まで暗黙の了解とされていた医師採用ノウハウについて、フェーズ別に解説。今回は医師の応募受付から書類の見方までお伝えします。

採用活動の流れ

市場理解:市場は、6病院で1人の医師を奪い合っている

概要編vol.1で触れた通り、医師の有効求人倍率は約6.15倍(2017年度推計)。有効求人倍率は、有効求職者数に対する有効求人数の割合を表すもので、1人の医師を6~7病院が奪い合う状況を示していますから、医師は引く手あまたという認識を押さえておくべきです。

つまり、決められた応募条件に当てはまる人をただ待っていては、採用までそう簡単につながりません。たとえば、応募医師が入職することで病院のパフォーマンスが上がるのであれば、その人ごとに応じて求人条件を変える、面接には採用担当者から足を運ぶといった柔軟性が求められるのです。

採用体制:理想の体制は、スピード対応できる窓口一本化

以上のような背景を踏まえると、窓口を一本化してスピード対応できる体制を整えることが大切です。複数の医療機関に応募している医師であれば、返事を検討している間に他院で決まっていた、というケースは往々にして考えられるでしょう。医師採用の体制づくりで気をつけたいポイントは、次の3点です。

(1)医師側・病院側のニーズをチェックして、院内で意思統一をしておく

はじめに「自院と先生、両方のニーズが満たせそうか」という点だけは少なくともチェックしておきたいポイントです。たとえば、病院側は手術メインでお願いしたいのに、本人はゆったりと勤務したいとなればミスマッチになるので、今後の対応は注意が必要になるでしょう。

そして、最も意識しておきたいのは、求人に書いてあることを院内のキーパーソンとの間でしっかりすり合わせておくこと。ここでのコミュニケーションがうまくいっていないと、面接で求人に書いていない業務をお願いするといった“手のひら返し”が起こる可能性があります。この種の情報は、医師同士はもちろん、紹介会社の間にも広まりやすいので病院の評判や信頼を落としかねません。採用担当者には応募医師と自院、双方がマイナスにならないような配慮が求められるでしょう。

(2)採用担当者がある程度の意思決定権を持つ

病院には理事長、院長、診療部長、事務長など、さまざまな意思決定者がいますが、応募があるごとに確認していてはとても時間が足りません。内定を出す段階であればキーパーソンへの確認を取るべきですが、応募受付の段階では年収、科目、年齢、スキル・資格など、採用担当者だけで判断できるラインをあらかじめ決めておくとスムーズです。

(3)返事は即時~2日以内を意識する

応募受付時の返事は早いに越したことはありません。医療機関によって差はありますが、早ければ即日、3日かかるとやや遅めの印象を抱かれる傾向があるので、受付から2日までというスピード感を意識しておくと良いでしょう。
ただ、医療機関によっては定期的に行っている院内会議で判断しなければ進まないところもあると思います。その場合は「詳細は◯日までにご連絡します」など一報を入れると、医師の心象も変わるのではないでしょうか。

書類の確認方法:定量情報を見逃さず、定性情報を想像しておく

続いて、医師の応募書類の見方について解説していきます。医師の応募書類は履歴書だけでなく、人材紹介会社を利用している場合は匿名のキャリアシートを使用することがあります。医師によって情報量に差はありますが、書類を確認するときのポイントは次の2点です。

(1)年齢と医師免許取得年、それに応じた転職回数を確かめる

まず確認したいのが、年齢と医師免許取得年です。ここから、医師としてどれくらいの経験を積んでいるのかがわかります。最近は医師のキャリアパスも多様化しており、社会人経験を経て医師になる方も増えています。また、大学院進学や留学期間などがある場合、臨床の第一線から離れていたことも考えられますので、面接ではその期間、どのようなことをしていたのか確認できると良いでしょう。

合わせて、転職回数が多すぎないかという観点は、すぐに辞めてしまわないかというリスクヘッジのためにも確認しておくと安心です。大学医局人事での異動が多い分はマイナスではありませんが、退局後に1年未満での転職を数回繰り返しているなら、なぜ転職をしたのか、きちんとバッググラウンドをつかんでおいたほうが良いでしょう。

(2)スキルは、ターゲット像と照らし合わせる

応募医師ができることとやりたいことは、自院の求める医師像と照らし合わせて考えることが大切です。これは「Will=やりたいこと、Can=できること、Must=やらなければならないこと」の3つの輪となるフレームワークを意識できると良いのではないでしょうか。WillとCanを応募医師の意向・スキル、Mustを病院のめざす姿に置き換え、採用活動ではその3つの輪が重なるところを探っていきます。

急性期病院の場合、手術ができる人に来てほしいのであれば病床規模に応じた手術件数やサブスペシャリティの専門医資格の有無などがひとつの指標になるでしょう。そこで若手層に来てほしいのか、指導医層に来てほしいのかによってもレベル感は違います。ただ、専門医資格を持っていない医師の中には、事情があって更新できなかった方もいるはずなので、それだけで判断するのは時期尚早かもしれません。

なお、回復期や慢性期といった医療フェーズでは、スキルよりも人柄を重視する医療機関がほとんどです。それは入院日数も長く、退院調整をするときはコメディカルや家族とのコミュニケーションが生じることが主な理由です。人柄やコミュニケーション力については書類だけではわからない部分ですから、面接で確認すると良いでしょう。

書類を踏まえての面接準備:詳しいパーソナリティは面接へつなぐ

書類をもとにした面接の事前準備としては、手元にある情報をもとに医師の意思決定ポイントを整理して、訴求力のある病院のエピソードや実績を話せるように準備を進めていきます。

たとえば医師の希望を洗い出し、ここは叶えられる、一方、ここはこういった形なら叶えられるという返事を用意しておきます。中でも当直や勤務日数といった条件面の可否は事前に伝えておき、面接では認識を合わせるレベルにまでしておけば、面接では本人の思いや人柄といった部分の話に集中できるのではないでしょうか。

面接準備のための事例

●手術中心から全身管理に軸足を移したい男性医師
→書類からは病棟管理、訪問診療どちらにも興味がありそうだということがわかったので、両方のキャリアパスが用意できることを面接で話せるようにしておく。中でも訪問診療の未経験者には、院長直々に診療同行などを行う体制があると伝える。

●子育てをしながら働きたい女性医師
→「育休復帰の実績あり」という情報だけでなく、当直なしや時短で働いている医師が何人いるのか、実際働いてみての声などを具体的にそろえておく。

書類ではよくわからなかったが、お会いしてみたら理想とする医師だったという事例は多数あります。したがって応募の段階では、門戸を広げ、より多くの医師に会えるように調整をするのが採用担当者の腕の見せ所かもしれません。

<協力:浅見祐樹、福田拓良/取材・文:小野茉奈佳>

浅見祐樹(あさみ・ゆうき)
エムスリーキャリア株式会社 経営支援事業部 採用アウトソーシンググループ
法政大学卒業後、事業系NPO法人にて地域活性化や災害救援に従事。「現場が第一」をモットーに、地域ニーズに合わせた事業開発を行う。その後、エムスリーキャリアに入社し、医師採用のコンサルタントとして全国の医療機関を支援。現在は約130社の医師向け紹介会社と連携しながら、医療機関向けの採用支援サービスの開発・推進を担当している。
福田拓良(ふくだ・たくろう)
エムスリーキャリア株式会社 経営支援事業部 採用アウトソーシンググループ
早稲田大学卒業後、金融機関にて法人・個人向け融資、投資商品の営業活動に従事。エムスリーキャリアに入社後は、医師採用のコンサルタントとして全国の医療機関を支援。現在は採用アウトソーシングサービスのチームリーダーとして、メンバーのマネジメントを行いつつ、採用支援サービスの開発・推進を担当。
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