どうなる?2018年度の診療報酬改定~事務職の心構え~―診療報酬請求最前線

診療報酬請求最前線

2018年度の診療報酬改定に関する中央社会保険医療協議会(中医協)の議論もかなり具体化してきました。中でも、多くの医療関係者が注目しているのは、急性期医療における7対1入院基本料の評価体系がどこまで厳しくなるのか、という点ではないでしょうか。

具体的な議論が進んできた今、病院事務職は病院の存続をかけて、改定内容の先読みと、考えられる影響、そして向かうべき方向性を示し、病院幹部に意思決定をさせていかなければなりません。今回からは筆者なりの考えを交え、今後の診療報酬改定について、複数回に分けてお伝えしていきたいと思います。

細分化される、一般病棟入院基本料の数値基準

中央社会保険医療協議会※中央社会保険医療協議会(中医協)総会の資料から抜粋

右の図は、中医協総会で示された資料の一部です。急性期医療(7対1、10対1)における新しい評価体系イメージで、現行の7対1入院基本料の評価を最上段にして、数段階にレベルが分かれることがわかります。ここで示されている割合(%)は重症患者割合で、最上段では判定根拠に「重症度、医療・看護必要度(以下、看護必要度)」とDPCデータ(EF統合ファイル)のどちらかを選択して用い、中間段階ではDPCデータを用いる提案がされています。このように、おそらく一般病棟入院基本料の数値基準は細分化されていくでしょう。ちなみに、最上段の割合は30%(看護必要度を用いた場合)になるのではないかとも見込まれています。

この状況下、診療報酬改定に関する業務は企画戦略部門だけに任せるのではなく、医事課や診療情報管理部門の職員を通じて危機認識を広げていかなければなりません。それは改定の影響によって病院の置かれた状況が悪化した場合、素早い打開策を講じるためです。たとえば、何の前触れもないままいきなり方向転換をすると、現場の医療従事者がついていけなくなるどころか、反感を抱く可能性が高いです。

何となく、医療・介護の同時改定ということや、「惑星直列」(※)で激しい改定になるといったことは聞いていても、それは事務側の仕事と考え、他人事の感が否めない医療者も少なくありません。
※編注:2018年が診療・介護報酬の同時改定に加えて、第7次医療計画・第7期介護保険事業計画の開始など各種施策が同時に始まることを指した表現。

ましてや、入院基本料の基準を下げることに至った場合には、看護職員やその他の職員の配置、さらには人員の見直しといったこともありますので、早めの意識付けと体制変化に備えることが欠かせません。言い換えれば、全病院職員に「当事者意識を持たせる」ことが重要なのです。そのために、特に重要になるのが事務側からの情報発信。わたしも病院事務職の立場におりますので、これから皆さんに参考事例を発信していきたいと思います。

【著者プロフィール】須貝和則(すがい・かずのり)
国立研究開発法人 国立国際医療研究センター医事管理課長/診療情報管理室長、国際医療福祉大学院 診療情報管理学修士。1987年、財団法人癌研究会附属病院に入職後、大学病院や民間病院グループを経て現職。その間、診療情報管理士、診療情報管理士指導者などを取得。現在、日本診療情報管理士会副会長、日本診療情報管理学会理事、医師事務作業補助者コース小委員会 委員長などを務める。
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