COVID-19流行をきっかけに、ホワイトカラーではテレワークの普及に伴い、社会全体で地方移住への関心が高まりつつあります。それでは、医師の地方志向はどうでしょうか。医師455人から回答を得たアンケートから、医師の地方転居や移住への興味、検討する上での条件を探ります。
※文中のデータは四捨五入したものです
医師採用のお悩みに専門家がお答えします
【無料】 個別オンライン相談へのお申込みはこちら
目次
20~30代医師の過半数が地方転居・移住に関心
まず、地方への転居や移住に興味があるかどうかを尋ねました。
現在、地方以外に住んでいる人を対象に集計したところ、地方転居や移住への興味が「あまりない」「全くない」が54.8%と過半数を占めました。一方、「大いにある」「まあまあある」は41.4%となり、2.5人に1人が地方に住むことに関心を示しています。
年代別に見てみましょう。20~30代は「興味がある」が過半数を占めますが、40代以上になると逆転し、「興味がない」が半数を超えます。さらに、50代までは年代が上がるにつれて、地方への転居や移住に興味がない層が増えていきます。
年齢を重ねて医師としてのキャリアが安定し始めると同時に、家庭や健康面など考慮すべき事情が増えてくることが影響しているのではないでしょうか。
また、転居先・移住先の候補について、現在地方以外に住んでいて、かつ地方への転居や移住に興味がある人に、
(1)Uターン(地方から都市部に転居した後、出身地に転居・移住)
(2)Iターン(都市部から出身地ではない地方に転居・移住)
(3)Vターン(地方から都市部に転居した後、出身地とは異なる地方に転居・移住)
(4)その他
の中から、複数回答で選んでもらいました。結果は、Iターンが最も多く、29.9%。出身地ではない地域への転居を検討する人が多いのは、勤務先の選択肢が多い、医師ならではの傾向かもしれません。
【特集】採用成功事例インタビュー集
地方病院が東京希望の医師を採用したケースもご紹介しております
「忙しい毎日に疲れた」「地元医療に貢献」…地方居住を選ぶ理由
地方への転居や移住に興味がある人や、すでに地方に住んでいる人に、その理由を聞いてみると、最も多かったのは「自然環境が豊か」で41.6%。次に「地元や地方の医療に貢献したい」(26.3%)、「ワークライフバランス」(25.4%)、「通勤が楽」(24.3%)が続く結果となりました。
地方に住んでいる、もしくは地方に住むことに興味がある具体的な理由をご紹介します。
※都道府県は居住地
※一部編集しているものもあります
地元
- ふるさとです(60代/京都府)
- 生まれ育った土地ですので(50代/高知県)
- 先祖代々父祖の土地(60代/東京都)
- 実家の跡継ぎとして戻らねばならなかったのと、勤務先が近かった(40代/岐阜県)
- 長年住んだ地元を離れる選択肢は無い(60代/京都府)
大学進学がきっかけ
- 入学した医学部が地方のため、そのまま残留した。親友もできた(60代/大分県)
自然が豊か
- 自然環境が豊かで子育てに良い(50代/埼玉県)
- 前まで北海道に住んでいた。自然や景色が良いところが近くに多い(40代/愛知県)
- 風景の良い場所で老後を過ごしたいからです(50代/愛知県)
- ちょっと出かけると自然の中にある感じのいい喫茶店さんや食事をする場所があり、癒されます(40代/北海道)
- 医師をリタイアしたら温暖な地方で静かに暮らしたいと漠然と思っているが、実際の動きはない(60代/長野県)
地元や地方の医療に貢献
- 医師の少ない地域で働く(60代/北海道)
- 仕事が大変かもしれないが、やりがいはありそう(50代/東京都)
- 地域医療に多少でもお手伝いができていることが嬉しい(70代以上/北海道)
- 30代は地方で暮らしていたが、できればそのような場所で最先端医療を教示(自分が出来るわけでは無い)したいと思っている(50代/神奈川県)
- 都会でぞんざいにされるより、僻地や離島で大切にされた方が幸せだから(60代/北海道)
- 30年間地方で勤務しました。地域では自分の存在意義を確かめやすく、仕事面では非常に充実していました。定年後は、家庭のことを考え、子ども・親族との交流が容易になるよう、都会に移りました。しかし、その地方の友人との交流は続いており、以前とは違ったかたちで地方に貢献したいと考えています(60代/兵庫県)
ワークライフバランス
- 今の仕事に疲れた(50代/長野県)
- 忙しい毎日に疲れた(30代/神奈川県)
- 都会の満員電車に疲れてきた。のんびり田舎で過ごすのもいいかと思う(60代/東京都)
- 今より時間がとれるようになる。予定が立てやすくなる(40代/大阪府)
- 空気や食べ物、ゆったりできる環境があるといい(30代/愛知県)
- 街での殺伐とした医療に疲れてきたら考えようと思っています。しいていうならワークライフバランスの改善が理由としては近いです(50代/大阪府)
- 穏やかに暮らせそう(20代/東京都)
- 人が少なく、ゆったりとした生活が送れる(60代/山形県)
- 循環器系救急で60歳まで働いたので楽な仕事がしたい(60代/長崎県)
- 現役時代は都会での生活だったが、定年後は、スキー、山登りなど自然に恵まれた地方で、仕事と趣味の両立が可能だと分かった(70代以上/北海道)
- 釣りが好き(30代/和歌山県)
仕事
- 医局人事で地方居住中(40代/岡山県)
- お誘いを受けた病院が、たまたま地方にありました(40代/千葉県)
- 開業、または市中病院やクリニック勤務にあたり、条件の良いところに地方が多いため(40代/神奈川県)
待遇が良い・生活費が安い
- 給料が良かった(20代/群馬県)
- 都市部は給料が低く、昨今の物価上昇や増税のため、貯金が増えない(30代/富山県)
- 都内は住居費が異様に高い(50代/東京都)
家庭事情
- 卒業と同時に結婚し、相手の都道府県で就職した(40代/長野県)
- 妻の勤務地と近い(50代/静岡県)
- 妻の実家が近い(40代/滋賀県)
- 約10年九州の大学に勤務していましたが、子供の進学に伴って地元に戻ってきました(60代/広島県)
- 親の介護が必要になったところ、COVID-19の影響で行き来が困難になったため(50代/香川県)
- 地方だと子育て環境が好ましい(70代以上/福井県)
人が多すぎない
- 人で溢れていないのが一番(40代/福井県)
- 満員電車に乗らなくて良い(60代/静岡県)
- 人が多すぎ、自然が乏しい東京に飽きたから(60代/鹿児島県)
- ラッシュが無い(60代/福岡県)
病院長・事務長・採用担当者におすすめ
【無料】病院経営事例集メールマガジンのご登録はこちら
地方居住の一番のネックは…不便さ
地方への転居・移住に興味がない人へも、その理由を尋ねました。
最も多かったのは、「便利な環境で暮らしたい」で28.7%が回答しています。2番目は「育児や子供の教育・介護など家庭の事情」で15.3%です。
地方への転居・移住に興味がない具体的な理由を見てみましょう。
※一部編集しているものもあります
便利な環境で暮らしたい
- 通勤により便利な環境(60代/東京都)
- 田舎は不便だから(40代/沖縄県)
- 東京は日本の中心であり、最も便利だから(50代/東京都)
今の生活に特に不満がない・変えるつもりがないから
- 現在の居住地に不満はない(60代/愛知県)
- 今の住まいで生活設計(60代/東京都)
- 新たな生活環境の形成には時間と労力が無い(70代以上/東京都)
家庭事情
- 子どもの通学を考えると遠方の勤務地の場合には単身赴任を選択することになる(50代/兵庫県)
- 妻が乗り気でない(30代/神奈川県)
- 地方暮らしは妻にとって苦痛の強いものとわかったので(40代/北海道)
- 子供の進学のため(60代/広島県)
教育面・文化面・医療面
- いろんなところに住んだが、文化的に東京が圧倒的に良い、暮らしにお金はかかるがそれに見合う、教育にも良い、などと思うから(50代/東京都)
- 医療資源が乏しく、自分が病院にかかりたい時に不便だから(40代/東京都)
キャリア・スキルアップへの不安
- 学習面や医療面での遅れが地方では大きく、キャリアアップにつながらないため(30代/宮城県)
人間関係など
- 地方でのしがらみが嫌(50代/千葉県)
- 田舎はいまだに相互監視が厳しい社会だから(60代/三重県)
- 田舎出身で、田舎の嫌な点を死ぬほど味わったから。男尊女卑(50代/岐阜県)
地方からのオファー!どんな条件なら受ける?
近年は医師採用の方法が多様化しており、医療機関からのオファーをきっかけに転職を決める医師も増えてきています。現在、地方以外のエリアに住んでいる医師が、もしも地方の医療機関からオファーを受けたとしたら、どのような条件が合えば地方への転居と入職を検討するのでしょうか。
現在、地方以外のエリアに住んでいる医師275人の回答をまとめました。
4割前後の人が回答した条件は、「暮らしやすくなる(便利さ、物価、人間関係など)」(43.3%)、「働きやすくなる(勤務先の選択肢、勤務時間、通勤時間、休みやすさなど)」(40.0%)、「待遇が上がる」(38.2%)の3つです。また、「どんな条件でも地方への転居・移住は検討しない」という人は23.6%にとどまったことから、「条件さえ合えば検討する」という医師のフットワークの軽さが伺えます。
求職中の医師にとって、働きやすさや待遇は、求人情報からある程度推察できるかもしれませんが、縁がない土地の暮らしやすさについては判断が難しく、不安に思うかもしれません。他都道府県に住む医師にオファーを送る際や、採用面接をする際には、その地域での生活についても伝えることをお勧めします。
【調査概要】
期間:2021/3/6~3/14
対象医師:m3.com登録医師455人
貴院の要件に合う求職医師の一覧をチェックしませんか?
「求人は出しているものの医師からの応募がない」
「紹介会社からの打診が少ない」――。
そんな医師採用に関するお悩みはございませんか。
M3Careerプライムは、こうした医療機関の課題を解決するために生まれたサービスです。
M3Careerプライムでできること
- エリア内の候補者数や希望年収など、最新の採用データをチェック
- 毎週配信される求職中医師一覧(匿名)から、要件に合う先生を選ぶ
- 先生の希望・相場をふまえ“医師に響く求人”でオファーを出す
この3つのステップにより、スピード採用に導きます。
コメント