近年、医療機関で注目を集めている「医師の定着支援」。入職した医師に対し、職場への定着をサポートすることで、高いパフォーマンスの発揮や、早期退職防止につながります。
医療機関の医師定着を支援しているエムスリーキャリア・山本千尋氏によると、医師が定着するためには、入職前からの定期的な支援が必要です。医師が職場に定着するまでの4つのステップと、医療機関に入職後3カ月間で実施していただきたい定着支援施策をご紹介します。
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医師の早期離職を防ぐには、入職“前”の〇〇が重要だった!―医師定着コンサルタントが語るvol.1
目次
医師が職場に定着するための4つのステップとは?
――医師が職場に定着するためには、どのような支援が必要なのでしょうか。
「入職予定者」である医師と「受け入れ組織」である医療機関が、相互理解を深めていくことが重要です。
しかし、「相互理解を深めるといっても、なかなか難しい」と感じるご担当者は多いかと思います。
そこでエムスリーキャリアでは、医師のための定着支援プログラムを開発し、医療機関に提供しています。プログラム開発にあたり過去の事例を分析したところ、医師が職場に定着するまでには4つのステップがあるという結論に至りました。プログラムでは、医師が入職3カ月以内にそれらのステップをきちんと踏めるように、入職1カ月“前”からサポートしています。
以下が、医師が職場に定着するまでの4つのステップと理想的な時期です。
STEP1
入職1カ月前:医師が自らの情報を職場に提供して自己を開示し、職場に関する情報を収集する
STEP2
入職後1週間:職場の全員とあいさつし、職場について認知する
STEP3
入職後1カ月:組織の風土やルールを理解できている状態にする
STEP4
入職後3カ月:「どうしたらこの職場で活躍できるか」ということを言語化できる状態にする
医師が入職後3カ月で、STEP4の状態を描けていない場合、その職場での活躍を具体的にイメージできていないということになります。そのため、職場の期待通りに早期から活躍することは難しいですし、早期離職のリスクも高くなります。
入職後3カ月まで実施しよう!医師の定着支援施策のポイントを紹介
――医師を入職後3カ月までにSTEP4の状態に導くために、医療機関側はどのように支援したらいいのでしょうか。
入職前に取り組んでいただきたいことについては、vol.1でご紹介いたしました。今回は入職後3カ月間に行っていただきたい施策を、ポイントだけまとめましたのでご紹介します。ぜひ貴院の新規入職医師サポートにご活用ください。
【入職後3月間で実施する定着支援策】
1カ月目:インプットの期間
医師が、組織への理解を深める期間です。
貴院でスムーズに働くために必要な基礎情報を伝えてください。
伝えておいた方がいい情報は、以下の通りです。
- 仕事を行う上でのキーマン
- 組織の文化・風土
- これまで組織で受け入れられなかった人の行動特徴 …等
2カ月目:対話のタイミングをつくる期間
医師が、直属の上司・院長・事務長など、医師の抱える問題を解決できそうな人に、些細なことでも相談できるような環境を整えましょう。
相談相手となる人は、医師が声をかけやすい状態にしておいてください。
具体的には、この期間はオープンスケジュールにして、医師に対して「あなたとの面談や会話を最優先にする」という旨を伝えてください。
これによって、この期間に起きやすい、以下のような問題を防ぎます。
- 誰にも相談できず、孤立してしまう
- 一人で問題を抱え込んでしまうことで、必要以上に大きな問題と捉えたり、影響が小さいうちに解決できずに、のちに大きなトラブルを生んだりする
- 相談相手を間違えて、誤ったインプットをしてしまい、のちに働きにくくなる
3カ月目:約束をしていく期間
入職して2カ月が経過すると、医療機関、入職者の双方に、「解決していった方が良さそうなこと」がなんとなく見えてきます。双方が課題に思っていることを明確にし、共通理解として認識しあえる場を持ちましょう。
特に、医師がこの時点で“課題”や“問題”と感じていることについて、職場が一緒になって解決に取り組んでいく姿勢を見せることで、医師が職場に対する信頼感が高まります。
この時点でよく出てくる課題としては、以下などが挙げられます。
- 診療体制(診療を行う上で、ハード・ソフト面において改善が必要なこと)
- 業務範囲(業務量の調整、専門外の診療を行う上でのサポート体制)
――ひと月ごとに取り組むテーマがあるんですね。
そうですね。提案させていただいたチェックポイント以外にも、各月のテーマを踏まえて、「当院ならさらにどんな支援が必要そうか、できそうか」という視点で考えていただくのもいいかと思います。
定着に至るには、双方に摩擦やストレスが少なからず起こりえますし、複数のステップをクリアしていく必要があります。今回ご紹介した定着支援策を見て、もしかしたら「定着支援はやることが多くて面倒だ」と感じた方もいらっしゃるかもしれません。しかし、発想を転換して「定着に辿り着くまでサポートしたいと思える医師を採用すれば良いのか」と捉えるきっかけにもなれば嬉しく思います。
とはいえ、医療機関様からは、雇用者と被雇用者、事務方と医師という立場の違いなどを理由に、「医師への積極的なアプローチがしにくい」「どこまで踏み込んでいいかわからない」という声も多く頂戴しております。同時に医師からも「入職したばかりなので、医療機関側に、困っていることや不安などを伝えにくい」というお話を伺うことがあります。
その場合は、私たちのような第三者が間に入り、双方の橋渡しをすることで、定着への4つのステップをよりスムーズに進めやすくなるかと思います。自院にあった支援策についてアドバイスが欲しいという医療機関様も、ぜひ、エムスリーキャリアの医師定着支援サービス窓口までご相談ください。
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