- 病床数: 280床の地域医療支援病院
- 場所:都市部
- 職員数:480名
- 軽~中等症の新型コロナウイルス患者を受け入れている
コロナ禍で患者減…原因は地域連携室の営業不足?
都市部にあるA病院は、地域医療の中核を担う地域医療支援病院で、軽~中等症の新型コロナウイルス患者を受け入れている。しかし、2020年10月現在、病院全体ではコロナ禍に伴う患者数の減少に悩み続けていた。
緊急事態宣言後には入院収益が約20%、外来収益は約25%減少(どちらも昨対比)。その後、夏季には患者数が戻りつつも、冬を前に昨年比約10%の患者数減少が続いている。
10月の経営会議の会話
院長:患者数がなかなか回復しない。救急要請件数も減っている。マスク着用や手洗いが国民全体に浸透して感染性疾患が全体的に減っているみたいだから、今年は例年ほどインフルエンザが流行しないかもしれない。
とはいえ、既に前年同様の患者数に回復している地域もあると聞く。当院も手術や検査は通常通りに戻ってきたし、安心して受診してもらえるように、院内の感染症対策も厳しくやっているつもりなのに。
事務長: 今年は全国的にインフルエンザ予防接種の希望が多いようです。でもうちみたいな地域医療支援病院では予防接種のために来院してもらうのは難しいでしょう。一度でも来院してもらえれば、院内の感染症対策のアピールはできますが・・・。
そもそも近隣診療所からの紹介件数も減っています。まずは、地域連携室に営業活動と情報収集を強化してもらいましょう。
経営会議後、地域連携室での会話
事務長:外来、入院、救急、すべてにおいて患者数がなかなか回復しない。近隣診療所からの紹介件数もしかり。まずは地域の診療所に営業回りに行って、1人でも多く患者を引っ張ってきてほしい。うちの感染症対策のアピールもしながら、他院の状況も確認してきてくれないか。
地域連携担当者:・・・検討してみます。
地域連携担当者は事務長からの依頼にやや困惑しています。コロナ禍の地域連携は、どのように行うのがベストなのでしょうか。
- 院長や事務長が、地域連携室の本質的な役割や存在意義を理解するにはどうすればよいのか?
- コロナ禍で地域連携の方法や意識には、どのような変化があったのか?
【解説編】はこちら
社会医療法人社団光仁会 第一病院(東京都葛飾区、一般病床101床(うち、地域包括ケア病床12床)・医療療養病床35床)にて医療福祉連携室室長と経営企画室を兼務。医療ソーシャルワーカー(MSW)として亀田総合病院で経験を積んだ後、医療課題は社会経済、経営、マーケティングの視点からも解決していく重要性を実感し、経営学修士(MBA)を取得。その他、医療経営士1級、介護福祉経営士1級などを取得し、講師業などにも取り組む。(過去のインタビュー記事)
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