「勝負の夏!」採用活動がいよいよ本格化、この夏を制すコツとは―医師採用コンサルタント対談―

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医師の採用活動において、最も重要な時期をご存知でしょうか。全国で医療機関の医師採用支援を行っている吉田力哉氏と柳牛寛行氏は、夏の間にいかに計画的に活動できるかが、医師採用の命運を分けると語ります。前回記事につづき、両氏にこの夏すべきことを聞きました。

「戦略の春」から「勝負の夏」へ

──あっという間に夏が来てしまいましたね。

柳牛寛行氏
今年は梅雨入りが遅く春が長かった印象ですが、暑さも増し、ようやく夏が始まったようですね。

吉田力哉氏
そうですね。来年度を見据えて転職を検討している医師の動きも活発になってきました。夏は休暇を取る先生が多いこともあり、キャリアを見直す機会が増えます。業界内では8月から転職市場の動きが活性化するというのが通説ですが、今年もそのような動きになっていきそうです。

──前回の記事「戦略の春」では、経営方針をふまえたターゲット像の明確化・情報発信の重要性などについて語っていただきました。

吉田氏
弊社主催のセミナーでも、大きな反響がありました。参加者は事務長や採用担当といった事務部門の方が多いのですが、「理事長や院長とのコミュニケーション不足が解消できた」「経営会議の議題にすることで、院内全体の課題として認識できた」など、経営方針や採用戦略の策定・見直しについて大きく前進したというコメントを多数いただきました。

吉田力哉氏

柳牛氏
次はいよいよ「勝負の夏」です。良い医師を探している医療機関と、良い医療機関を探している医師をつなぐのが私たちの役割。しかし、現状は求職者側(=医師側)が圧倒的に強い売り手市場となっています。そのなかで良い医師に入職いただくには、“選ばれる”医療機関になるのはもちろんのこと、医療機関側が医師をしっかり“見極める”ことが必要です。

「選ぶ余裕はない」の結果…

──売り手市場なのに、医療機関が選ぶ立場になるのですか?

柳牛氏
その 通りです。矛盾しているようですが、売り手市場だからこそ、買い手の質が問われています。

医療機関の方とお話しさせていただくと、「入職した医師が期待ほどでなかった」「入職後、すぐに退職されてしまった」といった声を少なからず耳にします。その理由を深堀りしていくと、急な退職者の穴埋めやそもそも候補者が少ないなど、医療機関側に不利な状況で採用活動が行われていたケースがほとんどです。

吉田氏
「選べる状況じゃなかったから採用したけど、やっぱりダメだった」ということでしょうか。医師の採用は、良くも悪くも病院経営に与えるインパクトが大きいです。うまく採用できれば収益改善につながる反面、人件費など採用にかかるコストが大きいため、マッチしない医師の入職は経営を圧迫する恐れも。そうした事態を避けるために、なるべく多くの候補者から最良の選択ができる状況をつくりだす必要がありますね。

「勝負の夏」にやるべきこと

──具体的には、夏の間にどのようなことを実行すべきでしょうか。

吉田氏
最も重要なのは、医師採用の「責任者・方法・スケジュール・予算」を明確にすることです。「担当者」ではなくあえて「責任者」としたのは、スピード感を重視し医師採用を推進する存在がいるかどうかが、結果を左右するからです。

別の記事でもお話ししましたが、医師採用においては意思決定までのスピードが非常に重要です。私の経験上、意思決定や決裁に時間をかけてしまう医療機関は、そうでない医療機関と比較して採用の可能性がぐっと低くなってしまいます。

特に200床未満の中小病院やクリニックは、採用担当者が他業務も兼務していることが少なくないと思いますが、それでは医師対応に十分な時間を割くことはできません。

柳牛氏
私たちは採用支援を行う際、採用計画の立案~入職までに掛ける作業時間を、合計1000時間以上と見込んでいます。リソースが限られている中、それだけの時間や人的コストをかけられるかどうか。この点が医療機関にとって大きなポイントであり、障壁になると思います。

──1000時間と聞くと、非常にハードルが高い印象ですが……。

吉田氏
「そんなにかかるの?」と驚かれるかもしれませんが、大都市にある医療機関や高年収などの目立った特徴のある医療機関を除けばむしろ少ないくらいです。1000時間を月単位で換算すると、約6ヶ月です(1000時間÷8時間÷20営業日=6.25ヶ月)。「医師を採用しよう」と思ってから6ヶ月かけて1人採用、と考えていただければイメージが湧くのではないでしょうか。この1000時間をいつ、誰が、どのように使うかが重要です。採用の期日と投下できるリソースから逆算してスケジュール・方法を見定めましょう。

──具体的にどのようにアクションすればいいのかわからない、という医療機関もあるかと思いますが……。

柳牛氏
医療機関の状況によってとりうる手段は異なりますが、ご参考までに私たちが提供している「採用アウトソーシングサービス」の活動内容をご紹介しましょう。なお、当サービスでは支援の質とスピードを担保するため1つの医療機関に対して5名以上のチーム制で支援にあたります。

サービス資料から抜粋

採用活動における4つのフェーズ

まず、採用活動を大きく4つのフェーズに分けます。

  1. 求人資料(病院紹介の資料)を作り込む
  2. 候補者を増やす
  3. 面談や面接、病院見学の件数を増やす
  4. 面接者・内定者のフォロー

「1.求人資料(病院紹介の資料)を作り込む」からご説明します。はじめに、近隣の医療機関や競合となりそうな医療機関の採用条件を調査した上で、求人票を作成します。さらに、デザイナーとともに医師や紹介会社向けの詳細な病院PR資料も作ります。

次に、できあがった資料を用いて「2.候補者を増やす」のフェーズに入ります。当サービスでは他の紹介会社とも提携しているため、弊社に登録のある医師だけでなく他社の登録医師にも情報を届けることが可能です。特定のエリア・医療機関に強みをもつ中小規模の紹介会社にもアプローチすることで、より多くの候補者にリーチすることができるのです。

──一定のノウハウ・労力が求められそうですね。

吉田氏
はい。時間も手間もかかりますし、紹介会社とのパイプも必要です。こうした作業を1人で行うのはかなり骨が折れるので、専属の担当者を配置するか、あるいはノウハウやパイプを持つ企業などに委託してしまうのが賢明かと思います。

柳牛氏
「3.面談や面接、病院見学の件数を増やす」フェーズは割愛しますが、1つのポイントは1~3を繰り返すことです。

具体的には、候補者が出てきて合格やお見送りをしたときに「なぜ合格、あるいは、お見送りなのか」を明らかにすることで、医療機関も自覚していなかったニーズが浮かび上がってきます。それを求人票や、紹介会社のコンサルタントとのコミュニケーションに反映していきます。一方で、医師からお断りされたらその理由をもとに、対応の見直しを医療機関にご提案することもあります。たとえば「給与や勤務時間が一律なのが不満。通勤時間が長い分、他の条件を柔軟に対応してほしかった」「当直やオンコールについて相談できれば……」など、同じような理由で複数の医師からお断りがあった場合は改善のヒントにすべきでしょう。

柳牛寛行氏

──「4.面接者・内定者のフォロー」とはどのようなものですか。

吉田氏
意外と見落としがちですが、この部分で苦戦している医療機関も多いですね。よくあるのは、「面接が理事長の独演会になってしまう」「面接時と条件提示時で内容が変わってしまう」などです。こうした失敗は取り返しがつきません。事前にあらゆることを想定し、時には慎重に、時には大胆に進めることが大切です。

ただ、自院の面接の良し悪しを客観的に判断するのはなかなか難しいかと思います。その場合は、同席したコンサルタントにヒアリングをしていただくとよいでしょう。これを繰り返すうちに改善点が見えてくると思います。院内で解決できるのが一番ですが、私の経験では、院内の関係性や担当者の状況がボトルネックになって改善が進みにくい、というケースも少なくありません。そこで私たちが第三者の視点から改善を提案・実行させていただきます。手前みそになりますが、当サービスではいわゆるコンサルティングにとどまらず、医療機関に入り込んで実行支援を行うからこそ、成果に繋がるサポートが可能なのだと自負しています。

サービス資料から抜粋

医師採用と本気で向き合う夏

──こうしたアクションを夏のうちから計画的に進められるかどうかが重要なんですね。

吉田氏
その通りです。「戦略の春」から「勝負の夏」、もう戦いは始まっているのです。秋になると弊社でお預かりする求人の数も多くなり、医療機関ごとの競争はさらに激化します。1秒でも早く動き出すことが、結果につながります。

柳牛氏
「いつか来てくれるだろう」と先延ばしにしがちですが、これまで採用できていなかった医療機関に、急に医師が集まることはまずありません。戦略に裏打ちされた能動的なアクションが必要です。ただし、それには多大な時間と手間がかかります。採用責任を担うべき事務長は多忙で時間を捻出するのが難しい、という医療機関も少なくないでしょう。当サービスはそんな医療機関のお力になるべく、全国津々浦々にお伺いします。採用戦略セミナーも開催していますので、不安や疑問のある方はぜひお気軽にご参加ください。

吉田 力哉(よしだ・りきや)
エムスリーキャリア株式会社 医師キャリア事業部 採用アウトソーシンググループ
茨城大学人文学部卒業後、モバイルコンテンツ制作会社に新卒入社。アプリ企画部を経て営業部に配属され、西日本の地場代理店や商社系・メーカー系の大手代理店を担当。
その後エムスリーキャリアに入社し、医師採用コンサルタントとして全国の医療機関の採用を支援。現在は採用アウトソーシングサービスの営業責任者として営業全体の指揮や戦略の立案を行う。
柳牛寛行(やぎゅう・ひろゆき)
エムスリーキャリア株式会社 医師キャリア事業部 採用アウトソーシンググループ
関西外国語大学外国語学部英米語学科卒業後、水道インフラのメーカーに就職し、営業職を経て海外事業部に配属され営業管理職としてベトナム・ホーチミン市に駐在。
その後、エムスリーキャリアに入社し、医師採用コンサルタントとして全国の医療機関をクライアントに持つ。「戦略的な医師採用」をモットーに、医療機関にとって本当に必要な医師を様々な角度から分析し、採用活動を支援。

<協力:吉田力哉、柳牛寛行/編集:角田歩樹/写真:平石果菜子>

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