「紹介率と逆紹介率」が医療連携の実績に 病院類型別の注意点―診療報酬請求最前線

この記事は約4分0秒で読めます

診療報酬請求最前線

前回に続き、今回は施設基準に関連する「紹介率と逆紹介率」について取り上げます。この2つは非常に身近な指標でありながら、今後の地域医療構想などと絡めて捉えると、かなり奥が深いものです。

地域医療構想は「データに基づく医療改革」

医療機関が紹介・逆紹介の推進を考えるとき、ネックになるのは自院の診療側の協力と逆紹介先との連携構築ではないでしょうか。理屈では、高齢化で患者が急増し、医療資源が不足する直近の課題に立ち向かうには、地域を支える医療機関が力を合わせ、それぞれが自主的に機能分化し、効率的に医療サービスを提供していく方法しか選択肢が無いということは分かります。ところが、医療機関の経営方針や診療機能、抱えている患者の意思を踏まえると一筋縄にはいかないのが医療現場です。

しかし、もうそろそろ、地域医療構想を踏まえて、一層の医療連携を強化しなければならない時が来ています。地域医療構想は「データに基づく医療改革」です。土台にあるのは、地域の実情に合わせた医療提供体制を、医療需要の動向といったデータから推計し、それに合わせた機能分化や連携を促すことです。こうした中で、医療機関の積極性を示す時に求められるのが、「紹介・逆紹介」の実績と言えます。

毎年10月の年間報告 多数の救済措置も?

さて、前置きはこのくらいにして、紹介・逆紹介率の基本的なところを見てみましょう。

まずは、診療報酬と紹介率・逆紹介率の関係を理解するため、「初診料」を押さえる必要があります。初診料では、以下の医療機関に対し、毎年10月に各地方厚生局への紹介率・逆紹介率の年間報告が課せられます。

1.特定機能病院
2.地域医療支援病院(許可病床数400床以上)
3.許可病床数400床以上の病院(1、2、一般病床200床未満の病院を除く)

紹介率が基準値を下回った場合、初診料の282点が209点(-73点)に減額される1年間のペナルティーが課せられています。

基準値は1と2が紹介率50%以上、3は紹介率40%以上ですが、仮にクリアできなくても逆紹介率が基準をクリアすれば救済されるというルールも設定されており、1と2は逆紹介率50%以上、3は逆紹介率30%以上となれば減算が見送られます。この他、年間報告でも救済があって、前年度1年間で紹介率・逆紹介率ともに基準値を満たせなかったとしても、さらに絞り込んだ任意の6カ月間で連続して基準値を上回っていれば除外するという、期間内の変動による救済も施されているのです。

地域医療連携がまだまだ定着していない現状を考慮して、引き締めるところと救済するところをうまく入れながら、緩やかに環境を整えているのでしょう。

類型別で異なる基準値に注意

次に、特定機能病院と地域医療支援病院の認定にかかわる紹介率・逆紹介率について見てみましょう。

この基準値や計算式は医療法の改正と絡み合い、時代とともに変化してきました。今後も変更される可能性があるため、医療機関の関係者は、最新情報を確認するように心がける必要があります。

特定機能病院と地域医療支援病院の紹介・逆紹介の基準値は、医療法施行規則に以下に示すような計算式が定められており、紹介・逆紹介率の用語の定義も決められています。

特に、逆紹介患者については、「診療に基づき他の機関での診療の必要性等を認め、患者に説明し、その同意を得て当該機関に対して、診療状況を示す文書を添えて紹介を行った患者」という診療情報提供書の発行を意味する留意事項も出ています。最近は適時調査も頻繁に行われるようになっていますので、数値に誤りが無いように注意することが大切です。

平成26年1月23日「特定機能病院および地域医療支援病院のあり方に関する検討会」より抜粋

【特定機能病院】

紹介率=(紹介患者数+救急搬送患者数)÷初診患者数
逆紹介率=逆紹介患者数÷初診患者数

(基準値)
紹介率50%以上、逆紹介率40%以上であること

  1. 初診患者数:患者の傷病について医学的に初診といわれる医療行為があった患者の数(休日又は夜間に受診した患者の数を除く)
  2. 紹介患者数:他の病院又は診療所から紹介状により紹介された者の数(初診患者数の内数)
  3. 逆紹介患者数:特定機能病院から他の病院又は診療所に紹介した者の数
  4. 救急搬送患者数:地方公共団体又は医療機関に所属する救急自動車により搬送された初診患者(搬送された時間は問わない)

【地域医療支援病院】

紹介率=紹介患者数÷初診患者数
逆紹介率=逆紹介患者数÷初診患者数

(基準値)
紹介患者に対し医療を提供する体制が整備されているとして、紹介率と逆紹介率の基準値が3通り定められている

1.紹介率が80%以上であること
2.紹介率が65%以上であり、かつ、逆紹介率が40%以上であること
3.紹介率が50%以上であり、かつ、逆紹介率が70%以上であること

  1. 初診患者数:患者の傷病について医学的に初診といわれる診療行為があった患者の数(救急搬送患者(地方公共団体又は医療機関に所属する救急自動車により搬送された初診患者)を除く。当該地域医療支援病院が法第30条の4に基づいて作成された医療計画において位置づけられた救急医療事業を行う場合にあっては、当該救急医療事業において休日又は夜間に受診した患者の数を除く。)
  2. 紹介患者数:開設者と直接関係のない他の病院又は診療所から紹介状により紹介された者の数(初診患者数の内数)
  3. 逆紹介患者数:地域医療支援病院から他の病院又は診療所に紹介した患者の数

<編集:小野茉奈佳>

関連記事

  1. 医師という職業とは―医師への選択、医師の選択(野末睦)
  2. 医師という職業とは―医師への選択、医師の選択(野末睦)
  3. 医師という職業とは―医師への選択、医師の選択(野末睦)

コメント

コメントをお待ちしております

HTMLタグはご利用いただけません。

スパム対策のため、日本語が含まれない場合は投稿されません。ご注意ください。

ログイン

<毎月開催>地域包括ケア病床 導入・転換セミナー

施設基準から届出対応方法まで専門のコンサルタントが解説します

【 詳細・お申し込みはこちら 】

病院経営事例集について

病院経営事例集は、実際の成功事例から医療経営・病院経営改善のノウハウを学ぶ、医療機関の経営層・医療従事者のための情報ポータルサイトです。