2021年4月の先端医療センターオープンに向け、医師採用が急務となっていた湘南鎌倉総合病院(658床)。徳洲会グループ初となる陽子線治療導入など、ビッグプロジェクトを陰で支えるのが事務部長の芦原教之氏です。医師採用では「求職者とのニーズのズレから採用効率が著しく低下していた」と語ります。そんな状況が劇的に改善した理由とは――。
あわせて、今後の医師採用に求められる視点、急性期病院における医師の働き方改革の実情についても伺いました。
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目次
マッチング率の低さが、採用効率を下げていた
──今回は病院増築プロジェクトに伴う採用と伺いました。
現在、大きく2つの領域に分けて増築計画を進めています。1つ目は救急・急性期機能のさらなる向上を図るための外傷・救命救急センター棟、そして2つ目が2021年4月にオープンする予定の先端医療センターです。先端医療センターではグループ初となる陽子線治療などを取り入れ、より高度な医療に取り組む予定です。このため、腫瘍内科や呼吸器内科、乳腺外科、消化器内科、人間ドックなど、特にがんを扱う内科領域の先生の募集を強化しています。
──採用実務を担う事務部門として、内科系医師の採用にどのような課題を感じていましたか。
前提として、当院は教育病院でもあることから若手の先生は比較的集まりやすいです。しかし、外科系が手術数を重ねることでスキルを身につけていくという成長プロセスなのに対し、内科系は領域が幅広い上に、専門性を高める過程で複数領域にまたがって勉強したいという先生が多く、当院に定着してもらう土台を築くのが難しかったのです。
このため人材紹介会社や一般公募による採用を実施してきましたが、課題は主に2つあります。1つ目はそもそも候補者数が多くない点です。そして2つ目が紹介や応募があっても入職に至る確率が低い点で、採用活動の効率が著しく低い状態でした。
病院としては、新たな領域のリーダーになってくださる先生を求めています。一方で、応募くださる先生方は救急病院というイメージを前提に「既存の診療科の中で修練を積みたい」という意向の方が多いというズレがあり、入職に至る確率が下がってしまっていました。
しかも、そのあたりのズレは書面から読み取ることが難しい。このため、本面接の前に事務部門や医師の責任部長が面談してみてマッチング度合いを確認するという工程が必要でした。結果的に、当院にとっても求職者にとっても無駄な時間が発生してしまうことが少なくありませんでしたね。また、求職者と直接やりとりする中でタイミングがなかなか合わなかったり、条件交渉がしにくかったりというストレスもありました。
そんな中、医師採用担当者が窓口となって要件に合う先生を紹介してもらえるサービスがあると聞き、M3Careerプライム(以下、プライム)のフルサポートプランを導入することにしたのです。
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フィルターがかかることで、採用業務の無駄・ストレス解消へ
──導入後、2か月で2名の先生の採用に成功したと伺いました。
正直驚きました。これまで、1名採用するのに半年かかることもありましたから。
プライムのフルサポートプランでは、採用支援担当者の方が求職者に対して当院が求める医師像にマッチしているかをヒアリングし、ジャッジしてくれます。きちんとフィルターをかけた上で当院の要件に合う先生を紹介してくれるので、当院と求職者のニーズのズレが解消されました。結果的に入職に至る確率が上がり、採用の成果・スピードにも結びついています。採用業務の無駄・ストレスも大幅に軽減されました。
雇用には一定のコストが発生しますから、求職者のご経歴や実績、お人柄などについてきちんと裏付けを提示していただけるというのも、安心感があります。
また、第三者が間に入ることで採用業務にかかる時間が短縮しました。意向を伝えれば求職者とのやりとりを代わりにしてもらえますし、お互いの希望が対立することがあっても角を立てずに調整してもらえるのがありがたいです。まだ充足はしていないので、引き続きプライムによる採用効果を期待しています。
急性期病院の医師の働き方改革、事務部としてどう支える?
──近年では、医師の転職軸として「働きやすさ」「ワークライフバランス」の重要性が増しています。働きやすい環境づくりのための取り組みについてお聞かせください。
医師の働き方改革の波を受け、勤務時間の整備やマンパワーの確保、女性が働きやすい環境づくりなどを具体的にどう進めていくべきか、より一層、議論が本格化しています。
当院では従前より医師の働き方改革に取り組み、「働きたい病院」認証も受けました。たとえばERでは3交代勤務制をとっており、8時間ごとに医師が交代して24時間稼働できる体制が整っている。しかし、内科系は慢性期疾患や入院患者さんの対応が多い分、時間をコントロールしにくいのが実情です。
このあたりを変えていくためには、先生本人の意識変容も必要でしょう。たとえば「当直明けは帰って休んでください」と伝えても「患者さんが目の前にいるのに帰ることはできない」という声もあります。医師としての使命感と、法規にかなう働き方をどう両立するのか、どこで折り合いをつけていくかは難しい問題です。現在、当院では各診療科の先生でワーキンググループをつくっていただき、科目の実情に応じた働き方の検討を進めていただいているところです。
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──事務部門としてどのように医師の働き方改革に関わっているのですか。
事務部門としては、その折り合いを形にしていくためのサポートを担っています。たとえば産休・育休といった福利厚生や勤務形態の調整、タスクシフティング、IoT化など、医師が本来業務に時間を割き、超過勤務をせずに済むような仕組みづくりを向こう4年くらいでつくりあげていく計画です。
当院に限らず、急性期の医師の働き方改革は、まだ理想と現実のギャップに苦戦しているのが現実でしょう。院内に散在する矛盾点を解消するには、医師だけでなく看護師などのコメディカル、事務職も含め、病院一丸となって進めていく必要があると考えています。
医師採用は数から質の時代へ
──今後の医師採用においては、どのような視点が重要になってくるとお考えですか。
現在、約1700名の職員中260名と、全体に対する医師の割合が増えてきています。働き方改革の文脈においては“数”の確保が引き続き重要である一方で、今後の病院経営を考えると医師の“質”、言い換えれば生産性がより問われてくると思います。
もちろん、救急医療を担う上で生産性が全てではありません。しかし、都心部のある程度大きな病院は、医師を採用することで得られる収入と人件費の差分をきちんと測って全体のバランスをとっていかないと、立ち行かなくなるでしょう。
コロナ禍の影響もあり、病院の在り方は変化しています。患者さんは病院を選ぶ上で単に医療の質だけでなく、安全性や安心感をしっかり与えてくれるかなどの付加価値をより一層重視するようになりました。
こうしたニーズもふまえ、患者さんに付加価値を提供できる医師かどうかきちんと見極める仕組みが必要だと感じています。たとえば一定の期間を設けて基準に満たない医師は入れ替えるなど、数と質の両方を担保できるような採用プロセスを構築していきたいですね。
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医師採用のスピードを上げるためには、転職意欲の高い先生にアプローチしていくことが大切です。
スピード採用成功の3つのステップ
- エリア内の候補者数や希望年収など、最新の採用データをチェック
- 毎週配信される求職中医師一覧(匿名)から、要件に合う先生を選ぶ
- 先生の希望・相場をふまえ“医師に響く求人”でオファーを出す
この3ステップにより、効果的、効率的な採用活動が可能になります。
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