「経営者倒れる」医師の時短がもたらす影響は─働き方改革調査vol.4

この記事は約3分40秒で読めます

2024年4月以降、国は医師に対しても時間外労働の上限規制を適用し、これに違反すると労務管理違反となります。このため、医療機関では医師の勤務時間短縮に向けた取り組みが必須となってきます。実際に、どのような取り組みが必要なのでしょうか。また、勤務時間短縮に対し医師はどのようなメリット・デメリットを感じているのでしょうか?編集部では、m3.com会員を対象に働き方改革に関するアンケートを実施。医師1213名の回答をもとに、医師の時短がもたらす影響を考えます。

目次

非常勤医師やフレックスタイム制の活用も…勤務時間短縮のために工夫していること

勤務先で取り組んでいる労働時間短縮のための取り組みについて聞いたところ、2020年11月時点では「当直明けの勤務先負担軽減」が27%で第1位、次いで「緊急時を除く時間外の病状説明のとりやめ」が2位となりました(図1)。

図1

13%の「その他」では「特に実施していない」といった回答が目立ちました。一方で、当直業務を非常勤医師に依頼する、フレックスタイム制を導入するなど、独自に時短のための取り組みを行っている医療機関もあります。フリーコメントの一部をご紹介します。

  • 知らない、知らされない
  • 結局何も実施していない
  • 具体策はあまりない
  • なし。気合い
  • 開業医なので自分で時短したければ出来る
  • 医師は院長一人で、仕事量は増大している
  • 記録業務の効率化
  • 診療上支障が出ない範囲内でフレックスタイム制
  • チーム医療(主治医はいない)
  • 病院薬剤師の活用
  • 非常勤医師に当直依頼
  • 診療受付時間の減少
  • 予約制
  • 業務の効率化により時間外におさない仕組み
  • 時間外を原則電話対応のみにした
  • 診療時間の短縮
  • 大学の規定では当直明け働かないといけないが、当科では有給を使って当直明け休みを取っている

施設形態別の傾向を見てみたところ、図2のようになりました。大病院を中心に業務の棚卸が進んでいる一方、クリニックなど医師の人数がもともと少ない施設では、「業務フローの改善」や「シフト制」「採用強化による増員」といった対応が進められているようです。

図2

時間短縮しても、「上限時間内に抑えられない」が多数

これらを実施すれば、本当に医師の労働時間を必要な水準まで短縮できるのでしょうか。取り組みにより「残業時間を36協定の上限時間内に抑えられると感じますか」という質問には、「抑えられないと思う」が37%で、「抑えられると思う」の26%をやや上回る結果となりました(図3)。

図3

職位別の内訳を見てみると、「抑えられないと思う」は医員クラス・医長クラスで4割越えと多い一方で、理事長クラス・院長クラスは「わからない」と経営層が具体的な見通しを持てていない現状が浮き彫りになりました(図4)。まずは医師の労働時間を正確に把握したうえで、どのくらい削減しなければならないのか、そのためにどういった施策が必要なのか整理し、計画的に取り組むことが、メンバー層の不満解消にもつながるでしょう。

図4

「書類上のごまかしで押し切られる」時間短縮の光と影

最後に、「勤務時間短縮により好影響/悪影響を感じたこと」であがっていた意見を一部ご紹介します。

好影響

  • 朝がとても弱いので、始業前の朝のカンファレンスがなくなったことは個人的にとても楽になりました
  • 睡眠時間が多くなり、体調も良くなった
  • もともと残業せずに済むように前倒しで仕事をしているため、見習いたいと申し出る人が出てきた
  • 上司より先に帰りやすい
  • 自己犠牲を過剰に強いられなくなった
  • 聞き取り調査で女性医師、高齢医師の意見に沿うシュアが出来ました。今後も医師のニーズを聞きながら、看護師の意見も聞きながらチームとして考えていきたいと思います
  • 精神的にゆとりができたためか、医局全体として論文の数が増えました
  • 研究、勉強する時間の確保とともに体調管理のための運動を定期的に行える
  • 職場の人間関係が良好になった
  • 書類業務が補助職にかなり移行してくれたのは良かった
  • 学会や医療系ネットからの家庭での医療情報取得の機会が増えた

悪影響

  • 開業医は勤務時間を短縮すると患者が困る、医療側は収益が減る
  • 研修医は勉強不足に陥っている。また内科を多く回ると、日中暇にしている研修医が増え、何のための研修か分からない
  • やはり医療の質は間違いなく下がる
  • 仕事の総量は変わらない、誰かにしわ寄せがくる
  • 最終決定権者が、つまり理事長、現場を知らないという矛盾!
  • 休んでも端末を持って帰って、カルテ記載をするので結局、在宅ワークになっているだけ。仕事の総量を減らす努力はない
  • そもそも当直明けの勤務時間短縮などの最低限のルールすら守られていない、勤務時間短縮などは書類上のごまかしで押し切られる可能性が高い
  • 日中の業務が増え、お昼を食べれない日が増えた。休憩をとっていないのに、とったことにされる
  • 患者サービスの低下や医師以外の医療関連職種の方々との意思疎通と連携の希薄化
  • 個人経営者あり、院長の医師は36協定外のため、業務終了後の片付け掃除も、職員を帰した後に、自身で行う。また、看護師の勤務も減らし、一人での診療、準備、検査など増えて大変疲弊しています。職員は楽になっていても、経営者が倒れてしまいそうです。基本の収入である保険点数をあげる事をしてもらわないと、人員の補填ができない
  • 年次有給休暇5日をかならずとるように言われたが実際とれる状況ではなく、休んだことにしたり、夏休みを年次有給休暇としてカウントしたりしている

ご勤務先での時短取り組みのご状況はいかがでしょうか。本記事でご紹介した他院の取り組みや医師の声をぜひご参考にしていただければ幸いです。

【調査概要】
医師の働き方改革に関するアンケート調査:2020年11月18日~26日、m3.com医師会員を対象に実施。

[adrotate group=”9″]

関連記事

  1. 「院長の右腕」を探す前にお読みください―溝口博重の「院長、それじゃみんなは動きません」vol.1”

コメント

コメントをお待ちしております

HTMLタグはご利用いただけません。

スパム対策のため、日本語が含まれない場合は投稿されません。ご注意ください。

即戦力の医師を、急いで採用したいなら

病院経営事例集について

病院経営事例集は、実際の成功事例から医療経営・病院経営改善のノウハウを学ぶ、医療機関の経営層・医療従事者のための情報ポータルサイトです。