山形県で見た、理念が息づく徳洲会病院―医師への選択、医師の選択【第31回】

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著者:野末睦(あい太田クリニック院長)

 
質問:あなたは勤務先の理念について重要だと思いますか?
※編注:質問に対する「私的結論」を次回掲載します。

理念は「救急車を断らない」

徳田虎雄氏と出会ってから2か月ちょっとの、2002年4月1日に庄内余目病院の院長として赴任しました。病院の詳しい状況はほとんど何も知らないで赴任しましたが、いざふたを開けてみると病院の状況は惨憺(さんたん)たるものでした。

300床規模の病院で、実働している常勤医師はたったの5人。病気療養していた副院長が何とか復帰してきたのは5月の連休が過ぎてからという厳しさでした。通常なら、こんな状況で救急車を受け入れることは考えられません。でも、徳洲会の普遍的な理念の中でも「救急車は断らない」は中心的なものであり、全職員が救急車を受け入れることに何の疑いもなく、全力投球しているのでした。

当時は救急当番というものはなく、通常の外来診療の合間を縫って救急車に対応していたので、外来患者さんが長時間待たされることもしばしば起こりました。でも、不思議と不平の声は聞こえてきませんでした。

わたしの余目での最初の当直の時、まず運ばれてきた患者さんのことはまだ覚えています。60歳ぐらいだったと思いますが、首をつって自殺を図り、心肺停止状態で運ばれた方でした。わたし自身は心肺蘇生など、10年くらい行っていなかったので、かなり戸惑いました。

職種問わず、全職員で一丸に

でもその時驚いたのですが、救急車が入るとわかったら、当直している看護師はもちろん、当直している放射線技師、検査技師も、救急車が到着する前から、救急対応室に待機しているのです。そして、実際に患者さんが到着すると、蘇生処置を手伝いながら、胸のレントゲン撮影をしたり、心電図をとったり、採血された血液の検査に走ったりと、縦横無尽に活躍するのです。

それまで勤務していた大学病院では、たとえ救急外来に救急車で運ばれてきた患者さんでも、胸のレントゲン写真を撮影する必要があるときなどは、医師が患者さんをストレッチャーに乗せてレントゲン室に運び、放射線技師に頼み込んで、やっと撮影できるといった状況だったので、その違いに驚き、感心しました。

そして、病院全体の雰囲気が、「救急車はどうぞ来てください。一生懸命対応しますよ」というものなのです。大学病院では、「え、救急車が来るの?大変だなあ。いやだなあ」という雰囲気がどうしても漂っていたので、大きな違いでした。さすが理念として「救急は断らない。年中無休24時間オープン」を掲げている徳洲会グループだと感じました。

≫次回に続きます≪

野末睦(のずえ・むつみ)

初期研修医が優先すべきこと1―医師への選択、医師の選択(野末睦)筑波大学医学専門学群卒。外科、創傷ケア、総合診療などの分野で臨床医として活動。約12年間にわたって庄内余目病院院長を務め、2014年10月からあい太田クリニック(群馬県太田市)院長。
著書に『外反母趾や胼胝、水虫を軽く見てはいませんか!』(オフィス蔵)『こんなふうに臨床研修病院を選んでみよう!楽しく、豊かな、キャリアを見据えて』(Kindle版)『院長のファーストステップ』(同)など。

 

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